Powered by SmartDoc

コンピュータ概論(2002/12/11)
Ver. 1.0

2002年12月11日
栗野 俊一
kurino@math.cst.nihon-u.ac.jp
http://edu-gw2.math.cst.nihon-u.ac.jp/~kurino/comp/index.html
コンピュータ概論2002/12/11 の資料

目次

お知らせ

  1. すみません、現在、手元にNote-PCがない(修理中)なので、確実なことがいえないのですが、おそらく、今回のsecurity updateは、結構、重要な気がしますので、是非、行っておきましょう。

演習

TeX について

TeX(2)は、スタンフォード大学のDonald E. Knuth (ドナルド・クヌース)教授(当時)が作成した文章組版ソフトです。

TeX 年表を見る限り、最初に作成されたのが1978年とありますから、結構古いもの(3)であることが分かります。

しかし、「数学に関わったことがあれば、一度は、TeXの洗礼を受けることになる」と言っても過言でない(4)ほど、数学との関わりが深い(5)ものですので、数学科の皆さんとしても、一応押えておいて良い(6)ものだと思います。

特に、後で示すように、「TeXでの数式の表現」は、未だに、他のシステムの追従を許さないほど素晴らしいものですし、それを除いても決して、他のシステムに劣るものではない(7)と思います。

  1. 「テック」、あるいは、「テフ」と発音する。

    TeXをキーワードに検索エンジン(例えば、Googleなど)を検索すればいくらでも、資料は手に入るが、例えば、以下の以下のpageが参考になるだろう。

    1. Japanese TeX FAQ
    2. @nifty TeX フォーラム(FTEX)公式Webページ
    3. LaTeX Tutorial on the web
    4. 組版ソフト TeX 「超」入門
  2. 「当時としては(超)画期的、現在でも十分に凄い」というのが評価でしょうが、やはり、色々な意味で、「古い」システムであることは否めません。
  3. えっ?「誰も言っていない?」ですか?じゃぁ、僕が...。
  4. そもそもKnuthがTeXを始めたのも..というのは、他の資料を参考に...。
  5. 数学科で、「計算機が利用できる」というのは、「e-mailのやりとり」ができて、「TeXで文章が書ける」ことを言うのだと確か聞いたことがあります。今は、それに「自分のHome Page位はなんとか」が加わるのかもしれません(数学科のコンピュータ、「三種の神器」がこれでしょうか.. )。
  6. まあ、とっつきにくいのは事実なのですが...。

Acrobat Reader の Install

Acrobat Readerは、PDF (Portable Document Format)を表示するためのソフトですが、最近、TeXからPDFが作成できるようになったために、TeXで作成したファイルを表示するため、あるいは、配布するための標準的なファイル形式となっています。

ここでも、TeXから、PDF Fileを作成し、Acrobat Readerで表示することを想定しています。

Download

Acrobat Readerのinstallerは、Acrobat Reader - ダウンロードから入手するのが筋ですが、一応、ここからもdownload可能です。

download先は、いつものようにディスクトップで構いません。

install
installもいつもと同様、donwloadしたファイルをクリックするだけです。

TeX の Install

WindowsへのTeXのInstallは、奥村先生の TeX の Pageを参照するのが、一番ですが、一応、ここでも説明しておきます。

TeX ファイルの Download

TeXは、複雑なシステムであり、様々部品からなっています。この部品の取捨選択によって、より使い易いシステムができるわけですが、ここでは、一応、最低限(8)のシステム構成で行きたいと思います。

Downloadの準備

TeXをDownloadする前にDownload先を用意しましょう。具体的には、新しいフォルダを作成します。

このフォルダは、色々な都合により、ディスクトップでは望ましくないので、次の様にHard Disk上にフォルダを作成します。

[スタートメニュー]→[マイコンピュータ]→[(C:)]

もし、ここにtempという名前のフォルダがなければ作成してください。TeX関係のファイルはここに、Downloadします。

同様にusrというフォルダもなければ作成します。そして、更に、usrの中に、localとtexいう二つのフォルダを作成しましょう。これらが、TeXのInstall先のフォルダとなります。

TeX関係ファイルのDownload

以下のファイルのオリジナルは、角藤(かくとう) さんのページや、Windows へのインストールで紹介されているミラーサイト(9)から入手することが好ましいのですが、いつものように、数学科のサーバにも置いてあります。

なお、保存する先は、先程準備した、ハードディスク内の[temp]に保存してください。

TeXのinstall
TeXのinstallは、いつものように「クリック一発」とはゆきません。次のような作業になります。
「コマンドプロンプト」を開きます

[スタート]→[ファイル名を指定して実行]

としたあとに、"cmd"と入力し、[Enter]を押すと、背景の黒い「コマンドプロンプト」が表示されます。

コマンドプロンプトの表示
C:\WINDOWS>

次のようなcdコマンド(cd \usr\local)をキーボードから入力し[Enter]押します。

Directory の移動
C:\WINDOWS> cd \usr\local
C:\USR\LOCAL>

表示が「C:\USR\LOCAL>」となればOkeyです。だめなら、もう一度cdコマンドを実行してみましょう。

次に、TeXのinstallerを展開します。

texinst の展開
C:\USR\LOCAL> c:\temp\unzip c:\temp\texinst7311.zip
....
C:\USR\LOCAL> 

これで、installの準備はおしまいです。最後に、installを実行します。

texinst の実行
C:\USR\LOCAL> texinst7311 c:\temp
....
C:\USR\LOCAL> 
Pathの設定

Pathは次のように設定します。

Path の設定
C:\USR\LOCAL> path=%path%;c:\usr\local\bin
C:\USR\LOCAL> 

これで、TeXが利用できるようになりました。

Pathの自動設定

Pathの設定は、毎回毎回、手動で行っても構いませんが、これでは面倒なので、次のようにして、この設定を自動化します。

まず、Windows/XPの場合は、

[スタート]→[設定]→[コントロールパネル]→[システム]→[詳細]→[環境変数]

と開いて、その中の[ユーザ環境変数]を見ます。

Windows/Meの場合は、上記の「コマンドプロンプト」の中で、msconfig [Enter]とします。

PATHという欄があれば、それをクリックして、選択した後に、[編集]ボタンを押し、更に、[変数値]に"%PATH%";c:\usr\local\binと入力し、[OK]を押します。

PATHがなければ、[新規]を押し、[変数名]の所にPATH、[変数値]の所は、上と同じにし、[OK]を押します。

tex.bat

ついでなので、tex.batもdownloadして置きましょう。これは、ディスクトップに置くとよいと思います。

これをクリックすると、「コマンドプロンプト」が開き、texの場所になると思います。

tex.bat の実行
C:\USR\TEX> 

必要なら、PATHの設定もしましょう。

  1. とは、いっても、普通の用途には十分。
  2. このような著名なソフトを広く公開するために、同じ内容をミラー(完全に映)して、公開しているサイトのこと。Ring Serverは、そのようなミラー専用のサーバ。

TeX の利用

TeX ファイルの入手

まずは、tex.batを実行して、コマンドプロンプトを開きます。

次に20021211.texをDownloadします。保存先は、

[スタートメニュー]→[マイコンピュータ]→[(C:)]→[usr]→[tex]

とします。

コマンドプロンプトで、dirコマンドを実行し、実際に20021211.texがあるかどうかを確認してみましょう。

dir コマンドの実行
C:\USR\TEX> dir
...
C:\USR\TEX> 

TeX ファイルのコンパイル

次に、次のようなplatexコマンドを実行します。

platex コマンドで 20021211.tex をコンパイル
C:\USR\TEX> platex 20021211
...
C:\USR\TEX> 

特に、問題がなければ、もう一度、dirコマンドを実行すると、先程と異なり、新しいファイルが増えていることがわかります。

特に、20021211.dviというファイルが作成されていることに注意してください。

TeXの仕事は、ここまでです。

dvipdfm による PDF ファイルの作成

TeXが作成するのはdviファイルですが、このままでは、せっかく作成された内容を確認することができません。

そこで、更に、これを表示させるために、PDFファイルを作成します。

そのためのコマンドがdvipdfmです。

dvipdfm コマンドで dvi から pdf を作成
C:\USR\TEX> dvipdfm 20021211
...
C:\USR\TEX> 

同様にdirコマンドで、新たに、20021211.dviファイルが作成されていることを確認してみてください。

PDF ファイルの表示

pdfファイルを表示させてみましょう。

[スタートメニュー]→[マイコンピュータ]→[(C:)]→[usr]→[tex]

として、20021211.pdfをクリックして開いても構いませんし、あるいはコマンドプロンプトから、20021211.pdfと入力し[Enter]しても構いません。

コマンドプロンプトから pdf ファイルを表示
C:\USR\TEX> 20021211.pdf
C:\USR\TEX> 

20021211.pdfの内容が表示されたと思います(10)

  1. あれ...どこかでみたことがあるような..

test.tex の作成

今度は、自分で、TeXファイルを作成してみましょう。

コマンドプロンプトから、notepadコマンドを使って、test.texを作成してみましょう。

「メモ帳」を利用して test.tex を作成する
C:\USR\TEX> notepad test.tex
C:\USR\TEX> 

内容は、例えば、以下のよう(11)にします。

test.tex
\documentclass{jarticle}
\begin{document}

This is \TeX System.

日本語も Okey です。

\end{document}

後は、20021211.texと同様、platex, dvipdfmを利用します。

test.tex コンパイル、表示
C:\USR\TEX> platex test.tex
...
C:\USR\TEX> dvi2pdfm test.tex
...
C:\USR\TEX> test.pdf

なお、platexの実行中、途中で?や*などが表示されて止まることがあります。

これは、texファイルの中に、なんらかの誤りがあるからです。

この場合、表示をみて、誤りの場所を確認した後に、キーボードからCtrl-Cを何度か押すと、再びプロンプト(C:\USR\TEX>)が表示されるようになります。

最悪の場合は、コマンドプロンプトのウィンドウを消して、もう一度tex.batをクリックすれば、続きから作業を再開させることができます。

なお、その場合は、notepadを実行して、誤りを訂正後、platexからやり直しになります。

  1. 根性のない人はtest.texを利用。

tex 数式

TeXを利用して、数式を利用しないなんて、とんでもない話しです。ここでは、TeXでの数式の例をいくつか紹介することにします。

詳しくは、検索エンジンを利用するか、TeXの本(12)を入手しましょう。

  1. 図書館か、本屋さんに行けばTeX 関係の本は山程手に入ります。

    キーワードは「LaTeX2ε」でしょう。

    なお、奥村先生の改定版 LaTeX2e 美文書作成入門はお勧めです。

数式 mode

TeXで数式を利用する場合は、その数式の範囲を$$と$$で囲みます(13)

数式 mode
\documentclass{jarticle}
\begin{document}

数式は次からはじまります。

$$
y = f(x)
$$

数式終了。

\end{document}

数式modeの内側では、数式が真中に表示されます。

  1. mathmode.tex

数式の例

数式の例もちろん、書籍を参照して欲しいのですが、例えば、TeX 数式コマンド簡易マニュアルなどを参照してみましょう。

分数や、平方根など、簡単に表示できることがわかります。

以下の例(14)は、ちょっと複雑な例(意味はありません)です。

複雑な数式の例
\documentclass{jarticle}
\begin{document}

\section{はじめに}

\TeX では様々な数式が扱えます。

\section{数式の例}

\subsection{例えば、こんな感じ}

数式 $y=f(x)$ 
\footnote{ \$ 一つで囲むと、文章の中にいれることもできます。}
は次のようになります。

$$
y = f(x)
$$

数式終了。

\subsection{複雑な数式も簡単}

積分記号も利用できます。

$$
\int_{0}^{\infty}{\frac{1}{x}}dx = \left[\log{x}\right]_{0}^{\infty}
$$

行列だって、この通り

$$
\left( \begin{array}{ccc} 1 & 2 & 3 \\ x & y & z \\ x^2 & \frac{1}{y} & \sin{z} \end{array} \right)
$$

ほら、簡単でしょう。

\section{おわりに}

だから、明日から、みなさんも \TeX ですね。

\end{document}
  1. compmath.tex

課題提出

内容
TeXを使って、自己紹介の文章を作成してください。
形式

以前、紹介したsample.xmlを参考(15)に、XML文章を書きます。

<author>の所
当然ながら、自分の名前、学生番号学科を書く
<id>の所
20021211001
<title>の所
TeXでの自己紹介
<date>の所
2002/12/11
<body>の<contents>の場所
TeXの文章をそのままいれる

なお、reportとして、提出するe-mailのSubjectには、必ず、[R]から始まる、わかり易いSubjectを付けてください。

提出方法
提出は、e-mailで行いますが、次の点に注意してください。
宛先
math-comp-examine@media.cst.nihon-u.ac.jp
表題( Subject )
[R]から始まる、わかり易いSubject (例「[R] TeXでの自己紹介」など)
内容
課題のXML文章そのもの(送付書類は不可)
電子署名
clear署名を付けること。なお、その公開鍵は、Webを登録するのに用いるものと同じものとする。
  1. このテキストを利用する時には、[ファイル]→[名前を付けて保存]とするか、[表示]→[ソース]としてから、マウスでカットアンドペーストしてください。なにもせずに、そのままマウスでカットアンドペーストすると変なものになります。