来週の講義(2002/12/18)は、誠に申し訳ないのですが、休講とさせてください。
以前、この件に関してアナウンスしたときには、教室変更の予定だったのですが、どうも教室が確保できないことが判明しました。
済みません。
なお、来週は、今週の続きとしてTeXを予定していたので、資料は、あげておきます。
なお、来年は、最初から「模擬テスト」、「期末試験」となりますので、この講義は、実質上今日で終わりとなります。一年の間、ご苦労さまでした。
今週の「補習」
この後、会議があるので、今日は中止です。
TeX(2)は、スタンフォード大学のDonald E. Knuth (ドナルド・クヌース)教授(当時)が作成した文章組版ソフトです。
TeX 年表を見る限り、最初に作成されたのが1978年とありますから、結構古いもの(3)であることが分かります。
しかし、「数学に関わったことがあれば、一度は、TeXの洗礼を受けることになる」と言っても過言でない(4)ほど、数学との関わりが深い(5)ものですので、数学科の皆さんとしても、一応押えておいて良い(6)ものだと思います。
特に、後で示すように、「TeXでの数式の表現」は、未だに、他のシステムの追従を許さないほど素晴らしいものですし、それを除いても決して、他のシステムに劣るものではない(7)と思います。
「テック」、あるいは、「テフ」と発音する。
TeXをキーワードに検索エンジン(例えば、Googleなど)を検索すればいくらでも、資料は手に入るが、例えば、以下の以下のpageが参考になるだろう。
Acrobat Readerは、PDF (Portable Document Format)を表示するためのソフトですが、最近、TeXからPDFが作成できるようになったために、TeXで作成したファイルを表示するため、あるいは、配布するための標準的なファイル形式となっています。
ここでも、TeXから、PDF Fileを作成し、Acrobat Readerで表示することを想定しています。
Acrobat Readerのinstallerは、Acrobat Reader - ダウンロードから入手するのが筋ですが、一応、ここからもdownload可能です。
download先は、いつものようにディスクトップで構いません。
WindowsへのTeXのInstallは、奥村先生の TeX の Pageを参照するのが、一番ですが、一応、ここでも説明しておきます。
TeXは、複雑なシステムであり、様々部品からなっています。この部品の取捨選択によって、より使い易いシステムができるわけですが、ここでは、一応、最低限(8)のシステム構成で行きたいと思います。
TeXをDownloadする前にDownload先を用意しましょう。具体的には、新しいフォルダを作成します。
このフォルダは、色々な都合により、ディスクトップでは望ましくないので、次の様にHard Disk上にフォルダを作成します。
[スタートメニュー]→[マイコンピュータ]→[(C:)]
もし、ここにtempという名前のフォルダがなければ作成してください。TeX関係のファイルはここに、Downloadします。
同様にusrというフォルダもなければ作成します。そして、更に、usrの中に、localとtexいう二つのフォルダを作成しましょう。これらが、TeXのInstall先のフォルダとなります。
以下のファイルのオリジナルは、角藤(かくとう) さんのページや、Windows へのインストールで紹介されているミラーサイト(9)から入手することが好ましいのですが、いつものように、数学科のサーバにも置いてあります。
なお、保存する先は、先程準備した、ハードディスク内の[temp]に保存してください。
[スタート]→[ファイル名を指定して実行]
としたあとに、"cmd"と入力し、[Enter]を押すと、背景の黒い「コマンドプロンプト」が表示されます。
C:\WINDOWS>
次のようなcdコマンド(cd \usr\local)をキーボードから入力し[Enter]押します。
C:\WINDOWS> cd \usr\local C:\USR\LOCAL>
表示が「C:\USR\LOCAL>」となればOkeyです。だめなら、もう一度cdコマンドを実行してみましょう。
次に、TeXのinstallerを展開します。
C:\USR\LOCAL> c:\temp\unzip c:\temp\texinst7311.zip .... C:\USR\LOCAL>
これで、installの準備はおしまいです。最後に、installを実行します。
C:\USR\LOCAL> texinst7311 c:\temp .... C:\USR\LOCAL>
Pathは次のように設定します。
C:\USR\LOCAL> path=%path%;c:\usr\local\bin C:\USR\LOCAL>
これで、TeXが利用できるようになりました。
Pathの設定は、毎回毎回、手動で行っても構いませんが、これでは面倒なので、次のようにして、この設定を自動化します。
まず、Windows/XPの場合は、
[スタート]→[設定]→[コントロールパネル]→[システム]→[詳細]→[環境変数]
と開いて、その中の[ユーザ環境変数]を見ます。
Windows/Meの場合は、上記の「コマンドプロンプト」の中で、msconfig [Enter]とします。
PATHという欄があれば、それをクリックして、選択した後に、[編集]ボタンを押し、更に、[変数値]に"%PATH%";c:\usr\local\binと入力し、[OK]を押します。
PATHがなければ、[新規]を押し、[変数名]の所にPATH、[変数値]の所は、上と同じにし、[OK]を押します。
ついでなので、tex.batもdownloadして置きましょう。これは、ディスクトップに置くとよいと思います。
これをクリックすると、「コマンドプロンプト」が開き、texの場所になると思います。
C:\USR\TEX>
必要なら、PATHの設定もしましょう。
まずは、tex.batを実行して、コマンドプロンプトを開きます。
次に20021211.texをDownloadします。保存先は、
[スタートメニュー]→[マイコンピュータ]→[(C:)]→[usr]→[tex]
とします。
コマンドプロンプトで、dirコマンドを実行し、実際に20021211.texがあるかどうかを確認してみましょう。
C:\USR\TEX> dir ... C:\USR\TEX>
次に、次のようなplatexコマンドを実行します。
C:\USR\TEX> platex 20021211 ... C:\USR\TEX>
特に、問題がなければ、もう一度、dirコマンドを実行すると、先程と異なり、新しいファイルが増えていることがわかります。
特に、20021211.dviというファイルが作成されていることに注意してください。
TeXの仕事は、ここまでです。
TeXが作成するのはdviファイルですが、このままでは、せっかく作成された内容を確認することができません。
そこで、更に、これを表示させるために、PDFファイルを作成します。
そのためのコマンドがdvipdfmです。
C:\USR\TEX> dvipdfm 20021211 ... C:\USR\TEX>
同様にdirコマンドで、新たに、20021211.dviファイルが作成されていることを確認してみてください。
pdfファイルを表示させてみましょう。
[スタートメニュー]→[マイコンピュータ]→[(C:)]→[usr]→[tex]
として、20021211.pdfをクリックして開いても構いませんし、あるいはコマンドプロンプトから、20021211.pdfと入力し[Enter]しても構いません。
C:\USR\TEX> 20021211.pdf C:\USR\TEX>
20021211.pdfの内容が表示されたと思います(10)。
今度は、自分で、TeXファイルを作成してみましょう。
コマンドプロンプトから、notepadコマンドを使って、test.texを作成してみましょう。
C:\USR\TEX> notepad test.tex C:\USR\TEX>
内容は、例えば、以下のよう(11)にします。
\documentclass{jarticle} \begin{document} This is \TeX System. 日本語も Okey です。 \end{document}
後は、20021211.texと同様、platex, dvipdfmを利用します。
C:\USR\TEX> platex test.tex ... C:\USR\TEX> dvi2pdfm test.tex ... C:\USR\TEX> test.pdf
なお、platexの実行中、途中で?や*などが表示されて止まることがあります。
これは、texファイルの中に、なんらかの誤りがあるからです。
この場合、表示をみて、誤りの場所を確認した後に、キーボードからCtrl-Cを何度か押すと、再びプロンプト(C:\USR\TEX>)が表示されるようになります。
最悪の場合は、コマンドプロンプトのウィンドウを消して、もう一度tex.batをクリックすれば、続きから作業を再開させることができます。
なお、その場合は、notepadを実行して、誤りを訂正後、platexからやり直しになります。
TeXを利用して、数式を利用しないなんて、とんでもない話しです。ここでは、TeXでの数式の例をいくつか紹介することにします。
詳しくは、検索エンジンを利用するか、TeXの本(12)を入手しましょう。
図書館か、本屋さんに行けばTeX 関係の本は山程手に入ります。
キーワードは「LaTeX2ε」でしょう。
なお、奥村先生の改定版 LaTeX2e 美文書作成入門はお勧めです。
TeXで数式を利用する場合は、その数式の範囲を$$と$$で囲みます(13)。
\documentclass{jarticle} \begin{document} 数式は次からはじまります。 $$ y = f(x) $$ 数式終了。 \end{document}
数式modeの内側では、数式が真中に表示されます。
数式の例もちろん、書籍を参照して欲しいのですが、例えば、TeX 数式コマンド簡易マニュアルなどを参照してみましょう。
分数や、平方根など、簡単に表示できることがわかります。
以下の例(14)は、ちょっと複雑な例(意味はありません)です。
\documentclass{jarticle} \begin{document} \section{はじめに} \TeX では様々な数式が扱えます。 \section{数式の例} \subsection{例えば、こんな感じ} 数式 $y=f(x)$ \footnote{ \$ 一つで囲むと、文章の中にいれることもできます。} は次のようになります。 $$ y = f(x) $$ 数式終了。 \subsection{複雑な数式も簡単} 積分記号も利用できます。 $$ \int_{0}^{\infty}{\frac{1}{x}}dx = \left[\log{x}\right]_{0}^{\infty} $$ 行列だって、この通り $$ \left( \begin{array}{ccc} 1 & 2 & 3 \\ x & y & z \\ x^2 & \frac{1}{y} & \sin{z} \end{array} \right) $$ ほら、簡単でしょう。 \section{おわりに} だから、明日から、みなさんも \TeX ですね。 \end{document}
以前、紹介したsample.xmlを参考(15)に、XML文章を書きます。
なお、reportとして、提出するe-mailのSubjectには、必ず、[R]から始まる、わかり易いSubjectを付けてください。