2003/12/09 先週まで、常微分方程式 今週、来週、偏微分方程式 # まとまった、内容の最後の項目 # のこりは、トピックス == 常微分方程式 変化するものは一つ 時間か場所か ? ( 数学的には同じ、物理としては違う.. ) 偏微分方程式 複数の変数がある 時間(t)と場所(x,y,z)の両方を.. # 物理現象は本質的に、4 次元 ( 1+3 ) だが、解くのが大変 # 対称性と、近似で、次元を落とす。 電磁界の問題などは、本質的に 3 次元 # 二次元だと、磁現象 (rot) が生じない 三次元を二次元に落とす 無限に長い円柱(三次元) : 断面積のみ(二次元)に落せる 次元を落とすと、本質的でないものを視ることになる。 しかし、計算量は減る... # ぜんぜん、解らない問題は、近似(次元を下げ)で、様子 # 視をしてから、本質 ( 次元の高いもの ) を考える。 現象 ( model ) を単純化するテクニックとして意味はある。 # model が単純化されていることを「意識」して扱う必要がある == # Text は戸川先生のものを利用する 二変数の偏微分方程式 a\frac{d^2u}{dx^2}+b\frac{d^2u}{dxdy}+c\frac{d^2u}{dy^2}+d\frac{du}{dx}+e\frac{du}{dy}+f(x,y) = 0 # \frac{d^2u}{dxdy} (cross term) の項目がある点がポイント # 三次元では、更に dxdy, dxdz, dydz がある # 物理学の現象では、この cross term がなくなることが多い 判別式 : D = b^2 - 4ac D < 0 楕円型 D = 0 放物型 D > 0 双曲型 楕円型 ラプラス方程式 \frac{du^2}{dx^2} + \frac{du^2}{dy^2} = 0 ポアソン方程式 \frac{du^2}{dx^2} + \frac{du^2}{dy^2} = f 放物型 熱方程式 \frac{du}{dt} = \frac{du^2}{dy^2} # この他でよく解く方程式 (発展方程式) # \frac{du}{dt}=\frac{du^2}{dx^2} + \frac{du^2}{dy^2} = 0 # 時間的変化を含む項 (\frac{du}{dt}) を含む # ラプラス方程式と良くにている # 発展方程式で表現できる現象が与えられ、 # 無限時間たって、現象が釣り合い、 # 時間に対する変化がなくなった場合が # ラプラス方程式の結果 # 時間の経緯が視たいかどうか ? ## 問題としては、異なるが、数値計算的には、実は、同程度の問題 ## 時間項目で繰り返し、収束させれば、似たような結果になる ## ラプラス方程式の場合は別の解法もあり、それは固有値問題と似ている == 具体的な問題 熱方程式 \frac{du}{dt} = \frac{du^2}{dy^2} を考える 均一な棒の両端は 0 度で、真中が 100 度 どのように温度が冷えて行くか.. ? 数値解法 1. 微分を差分化する \frac{du}{dt} = \frac{u(t+\delta t,x)-u(t,x)}{\delta t} \frac{du^2}{dx^2} = \frac{u(t,x+\delta x)-2u(t,x)+u(t,x-\delta x)}{\delta x^2} # 差分にも、色々あり、それによって、精度などが異る # この式では、\delta t を大きくすると不安定になる 2. 微分方程式に代入する \frac{u(t+\delta t,x)-u(t,x)}{\delta t} = \frac{u(t,x+\delta x)-2u(t,x)+u(t,x-\delta x)}{\delta x^2} 3. 初期条件を与える t=0 の時の温度分布 ( 普通は sin 波 ) # 次の境界条件も満すようにする。 4. 境界条件 両端 ( x = 0 )で 0 とする # 「両端から熱が逃げる」という方式もあるが解きにくい ここで、 2. の式をよくみると、 \frac{u(t+\delta t,x) を他の項から計算できることが解る # 実は、そのように作ったのだが.. t = 0 の値がわかる ( 初期条件 ) x の値が変化しても値がわかる ( 境界条件 ) u(t+\delta t,x)= u(t,x) + \frac{\delta t}{\delta x^2}(u(t,x+\delta x)-2u(t,x)+u(t,x-\delta x)) これで、t を変化させる ( 発展させる ) ことで、全ての t, x に対して、値を計算することができる。 # \frac{\delta t}{\delta x^2} を 0.1 以下にする (安定条件) この場合は、t に関する漸化式になったが、一般的には、 未知項が複数ふくまれた、連立方程式となるので、これを 毎回解くことになる。 == Excel で、偏微分方程式を解く方法 Cell の値が u(x,t) だと思えば、漸化式を利用して、 Cell 間の計算だけで、計算ができる。 グラフもすぐに出せるので便利 == 計算式が出てしまえば後は、計算するだけ 問題は、形のデータが必要になる。 == 安定条件 \delta t が大きくできない (方程式が表す)物理現象の移動より計算を先に進めると、変 なことが.. == 偏微分方程式の問題 差分方程式の導出 ( 頭がいる ) 次元をあげると、計算量が大変 空間の場合は、形状のデータの入力も大変 == 偏微分方程式の解法 (有限)差分法 # 計算機以前の手法 有限要素法 # 計算機以後の手法 差分法 微分を差分化 有限要素法 各々の区間で、それぞれ関数を定義 (関数の形は同じ係数が違う) 関数の関係を微分方程式を利用して、関数の値(係数)を決める # 本質的には、連立方程式ことに.. # 答の形を予想し、(区間間の)境界条件を満すように補正を行う # ラグランジェの方法 ( 関数近似 ) によくにている 差分法は、点を細かく取る必要がある。 有限要素法は、点が少くても Okey 関数近似の点からながめると.. 差分法 : 関数そのものを近似 有限要素法 : 積分値が一致すれば十分 # 「解」の意味が異る ## 有限要素法は、 「解」の定義を広げた ## 結果成功した 差分法 : 強収束 # 数値微分で近似 有限要素法 : 弱収束 # 数値積分で近似 有限要素法の利点 区間 ( 形状 ) を自由に選ぶことができる。 # 形状の定義が簡単 == 今週から演習はなくなる。 == 今後の予定 12/16 01/13 01/20 まとめ 試験 1/27 or 2/3 のどちらか == 演習問題を出していない人は、少しぐらい遅くてもよいので、出そう。 == 一年でやった内容は、全て理解する必要がない どうせ、全ての内容は使わない 必要になった時に、思い出して、導入が楽になれば... なぜ、このような方法を取るかという観点で説明している ====== 安定条件 :「 \delta t が大きくできない」 (方程式が表す)物理現象の移動より計算を先に進めると、変なことが起きる 例 1: 移動する波 時間を進めると波(=影響)が移動する 移動する前 ( 影響が起きない範囲 ) の計算をする # 影響がないはずなのに、影響されてしまう ??? と、数値解が不安定現象を起す Q. (発散してしまった..) 数値解の物理的な意味は ? A. 基本的には、全く意味がない 元々発散する現象 ( プラズマ現象など.. ) であれば発散解も意味がある しかし、安定現象にまともな方法を適用すれば、安定な数値解になること は言える ( ので、安定現象に対する不安定数値解には意味がない ) # 安定現象を解く場合、不安定な解が出たらこれは失敗 ( 勿論逆も真 ) # しかし、不安定現象で、不安定解が出たときは悩む必要がある # この発散は、現象なのか、それとも解法に誤りがあるのか.. ? 熱方程式の場合、発散した結果(凸凹する) を平滑化させると、解に近く なる。 しかし、計算式を理論的にしらべると、大きな \delta t で 計算してから、平滑化することは、結局、小さな \delta t で計算できる結果を別の順で、計算しているだけだということに なる。 # 「結論」は、小さな \delta t で計算しろ !! 一次元であれば、\delta x (物理現象の伝達速度) と \delta t (計算の速度) で計ればよいが、二次元だと \sqrt{\deta x^2 + \deta y^2} との比較となる。 近似を行い次元を落して計算する時は注意 一次元なら、\delta x で Okey (誤差が入って.. 二次元成分が入ると..) \sqrt{\deta x^2 + \deta y^2} となり、いきなり、不安定現象が.. # (誤差が入らない) 最初は上手くいっているのに # (誤差がはいった) 途中から、突然不安定に. == 数値計算手法の解に及ぼす影響は大きい 現在、学んでいる手法は、主に陽解法 安定しないという性質をもっている # 誤差を増幅する構造がある 逆に、陰解法であれば、安定する # 誤差を減少させる構造 (しかし..) システム全体のエネルギーを減少 ( ダンピング ) させる性質もある。 # \delta t を 0 に近付けたとき.. # 陽解法は系を上から近似 ( 係数が 1 より大きい ) # 不安定化の原因 but エネルギーは保存 # 陰解法は系を下から近似 ( 係数が 1 より小さい ) # 安定化の原因 but エネルギーは減少 ? # ## \delta t が無限小なら、一致するわけだが... エネルギー現象の数値解法 「エネルギーの保存」が現象自身本質的な性質 例 : ソリトン波 陰解法を適用すると、(エネルギーが失われ..) 現象そのも のが失われる ( 波がなくなってしまう !! )。 # 元々、エネルギーが失われる ( 系の外に出て行く ) 現象 # のであれば、( 陰解法を適用した結果.. ) 多少余分に、 # エネルギーが失われても、問題ないのだが...