2003/05/23 [前回まで] 有限の線型空間を考えると 基底が存在する その数 ( 本数 ) は一通り 基底の数 => 線型空間の「次元」 [今回] V : K - 線型空間 E = F = E, F は共に V 基底 φ : V -> K^n in in x = x1 e1 + x2 e2 + .. + xn en ( x1, .. xn )^t φ' : V -> K^n in in y = y1 e1 + y2 e2 + .. + yn en ( y1, .. yn )^t φ V ---> K^n \ ^ \φ' | \ |φoφ'^{-1} v | K^n つまり φoφ' は、K^n から K^n への同型対応 よって、 \exist P = ( p_{i,j} ) : n 次正則 K 行列 s.t. φoφ'^{-1} = T_P ( 即ち φoφ'^{-1}(x) = P x ) だから T_p(φ'(x)) = φoφ'^{-1}oφ'(x) = φ(x) ( p_11 .. p_1n ) (y_1) (x_1) ( .. .. ) (.. ) = (.. ) .. 式(2) ( p_n1 .. p_nn ) (y_n) (x_n) この P = ( p_ij ) を 基底取り換え ( E -> F ) の行列と言う # 試験によく出る。 特に、x = f_i の時 (y1, .. ,yn) = (0 .. 1 .. 0) ^ i 番目 よって、式(2) より、 (x1,..,xn) = (p1i, .., pni) よって、 fi = p1i e1 + .. + pni en .. 式(3) [定理] E = が基底の時 P = (p_ij) が正則ならば、 式 (3) て定義される f1, .., fn から作られる F= は基底となる (prof) fi = P1i e1 + ..+ Pni en Q = P^{-1} = (q_ij) とすれば、 f1 = p11 e1 + .. + pn1 en ... fn = p1n e1 + .. + pnn en より、 e1 = q11 f1 + .. + qn1 fn ... en = q1n f1 + .. + qnn fn つまり、e1 .., en は f1, .., fn の線型和でかけるので V の元も f1, .., fn でかける F は基底 [定理] 基底の取り換え F -> E の行列は P^{-1} (prof) φ' o φ^{-1} = ( φ o φ'^{-1} )^{-1} = ( T_p )^{-1} = T_{p^{-1}} [定理] G = < g1, .. , gn > を基底とする。 基底の取り換え F -> G の行列が Q => 基底の取り換え E -> G の行列が PQ (prof) φ'' : V -> K^n とすると、 T_Q = φ' o φ''^{-1} よって、 φ o φ''^{-1} = φ o φ'^{-1} o φ' o φ''^{-1} = T_P o T_Q = T_{PQ} [例 1] E_0 = < e1, .., en > ; 単位ベクトルからなる基底 ei = ( 0 .. 1 .. 0 ) ^ i 番目 p1, .., pn が線型独立 E = < p1, .., pn > は基底になる。 すると、E_o -> E の行列は、式 (3) より ( p11 .. p1n ) ( .. .. ) = (p1..,pn) ( pn1 .. pnn ) となる。 [例 2] V = { x = ( x1,x2,x3 ) | x1 + x2 + x3 = 0 } E = < (1,-1,0)^t, (1,0,-1) > F = < (0,1,-1)^t, (1,1,-21) > は共に、基底なので E -> F を考えると <1,-1,0> ( = e1 ) = -1 f1 + 1 f2 <1,0,-1> ( = e2 ) = -1 f1 + 2 f2 P = ( -1 -1 ) ( 1 2 ) § 4 線型部分空間 def. V の部分集合 W が V と同じ演算とスカラ倍に関して K 上ベクトル空間 になっている => W は V の(線型)部分空間 [例] {0}, V 自身は、共に V の部分空間 これ以外の部分空間を真の部分空間と呼ぶ [例 1] V = K^n, A in M_mn(K) W = { x in K^n | Ax = 0 } とすると、 W は、V の部分空間 (prof) x , y in W => A(x + y) =A(x) + A(y) = 0 + 0 = 0 よって x+y in W x in W, c in K => A(cx) = c(Ax) = c0 = 0 よって cx in W 特に、 Rank A = r => dim W = n - r に注意 [例 2] V = Mn(K) とするこの時 W1 = { X in V | tX = X } : 対称行列全体 W2 = { X in V | tX = - X } : 交代行列全体 W3 = { X in V | tr X = 0 } は、全て V の部分空間 (prof) 和とスカラ倍で閉じていることを示すだけ ここで、W1,W2,W3 の次元を知りたい => 具体的に基底を作り、そのサイズを調べる def. E_ij = (i,j) 成分だけが 1 で、他は 0 W1 の基底として、 Eij + Eji ( 1 =< i < j =< n ) Eii ( 1 =< j =< n ) を考える。 # これは、独立であることは明か 実際に、これらは W1 の基底になっていることは 次のように示すことができる ( 具体的に線型和で表す ) X1 in W1 とすると tX = X より xij = xji を満す よって X = \Sum_{i=1}^n \Sum_{j=1}^n xij Eij つまり、dim W1 は n(n+1)/2 W2 の基底は、 Eij - Eji なので dim W2 = n(n-1)/2 W3 は、 tr X = x11+x22+..+xnn =0 という連立方程式を満す。 X の変数は n^2 で、式は 1 つなので、dim W3 = n^2 - 1 [例 3] V^3 in a, b : 線型独立 W = { p a + q b | p, q in R } とすればこれは V の部分空間 # とうぜん、次元は 2 [定理 4.1] W1, W2 : V の部分空間 => W3 = W1 \cap W2 も V の部分空間 (prof) x, y in W3, a in K => x, y in W3 \sub W1 よって x + y, a x in W1 x, y in W3 \sub W2 よって x + y, a x in W2 つまり x + y, a x in W3 def V \sub S \= 0 S の元の線型結合の全体 def _K = { c1 x1 + .. + cn xn | ci in K, xi in S } [定理] _K は部分空間 (prof) 閉じていることを示す # _K を 「S から生成される部分空間」と呼ぶ # 「S よって張られる部分空間」 def 和空間 W1, W2 : V の部分空間 def W1 + W2 = { x1 + x2 | x1 in W1, x2 in W2 } [定理 4.3] W1+W2 は部分空間 # W1 + W2 を W1 と W2 の和空間と呼ぶ (prof) # 閉じていることを示す # 一般には W1 + W2 != W1 \cap W2 だか、 # W1 + W2 = _k はいえる。 [定理 4.4] T : V -> V' ; 線型写像 => T(V) は V' の部分空間 ( Im T ) T^(-1)(0) はV' の部分空間 ( Ker T ) (prof) # 閉じていることを示す [Remark] A in Mmn(K) W = { x in K^n | Ax = 0} とすると、実は、これは、 { x in K^n | T_A(x) = 0} と考えることがでいるので、 W = Ker T_A [定理 4.5] dim V = dim Ker T + dim Im T (prof) Ker T の基底 e1, .., es を拡大して、 V の基底 e1, .., en が得られるならば、 E' = < Te_{s+1}, .. , T(e_n) > が Im T の基底 であることを示せばよい。 # 基底 互いに独立で、任意の元を線型和で表現できる [線型和] x = x1 e1 + .. + xn en in V を考えると T(x) in Im T は、 T(x) = T( x1 e1 + .. + xn en ) = T( x1 e1 ) + .. + T ( xn en ) ところが、前の e1, .. es は Ker T の要素基底なので、 0 つまり = T( x_{s+1} e_{s+1} ) + .. + T ( xn en ) よって、x' = T(x) in V' は、 T(e_{s+1}), .., T(en) の線型和で表現できたことになる。 [独立] x = x_{s+1} e_{s+1} + .. +x_{n} e_{n} = 0 とすると、 T(x) = 0 なので、x は Ker T の要素である。 T(x_{s+1} e_{s+1} + .. +x_{n} e_{n}) = 0 つまり、 x = x_1 e_1 + .. + x_s e_s とできる。 この結果、 x_{s+1} e_{s+1} + .. +x_{n} e_{n} = x_1 e_1 + .. + x_s e_s となるが、e_i は、互いに独立なので、x_i は全て 0 つまり、さいしょの、e_{s+1}, .., s_n も独立 [定理 (1)] W1, W2 : V の部分空間とする W1 \sub W2 => dim W1 <= dim W2 (prof) W1 の基底 を拡大して W2 の基底 ( s <= r ) が作れる。 [定理] W1, W2 : V の部分空間とする W1 \sub W2 & dim W1 = dim W2 => W1 = W2 (prof) (1) より r = s, は W2 の基底にもなる