2003/06/06 liner2 メモ 線型写像/線型変換をやっていた 有限次元のベクトル空間上の線型写像には、それに対応した行列が存在する # 一般のベクトル空間上の線型写像にも、それに対応した行列が存在 # すること示したい。 == V : 線型空間, E = : V の基底 => exist φ : 同形対応 s.t. φ : V -> K^n in in x :-> ( x1, .., xn ) = x1e1 + .. + xnen # 基底 E があれば、それに対応した同形対応 φ が構成できる 基底 E を、それから構成可能な同形対応φといっしょに、 基底 (E;φ) で表現することがある ( 今回は、常にこうする ) == V, V' : K- 線型空間 dim V = n, dim V' = m T : V -> V' : 線型写像 とするこのとき、(E;φ) : V の基底, (E';φ') : V' の基底 とすると.. T V --------------> V' | | φ| φ'| | | v φ'・T・φ^{-1} v K^n -------------> K^m となる。ここで、合成写像 φ'・T・φ^{-1} は、線型写像で、K^n -> K^m なので、 対応する行列 A in Mm,m(K) (s.t. φ'・T・φ^{-1} = T_A) が存在する。 つまり、基底を決定すれば、T に、行列 A を対応させることができる。 def この行列 A を、基底(E;φ), (E';φ')に関する T の行列と呼ぶ # A は、基底によって異なることに注意 # 具体的に T から A を求めたい。 E= E'= とする。 x in V と x'=Tx in V' は、 x = x1e1 + .. + xnen x'= x1'e1' + .. + xm'em' T V --------------> V' | | φ| φ'| | | v φ'・T・φ^{-1} v K^n -------------> K^m と表せるので、 (x1' .. xm') = φ'Tx = T_A(φ(x)) = A(x1, ,xn) ( where A = (aij) ) ここで、(x1,..,xn) = (0,..1,..0) ^ j 番目 とすると、Ax = (a1j,..,amj) となるので、Aの j 行列が求められる。 よって、Tej = a1je1' + .. + amj e'm これから A の要素を求めることができる。 例 4 V=V'=P_2(R) E=E'=<1,x,x^2> の時 Tb : V -> V' in in f :-> Tb(f) Tb(f)(x) = f(x+b) は、線型写像だった。 そこで、Tb の基底E に関する行列 A を求める。 e1 = 1, e2 = x, e3 = x^2 のそれぞれを Tb で変換し、その結果を、 再度、基底の線型和で表現すれば、その係数が、行列の係数になるので、 それを求めてみる。 e1 の時 Tb(e1)(x) = e1(x+b) = 1 = e1(x) = 1e1 + 0e2 + 0e3 なので、 係数は、(1,0,0) これが一列目 ( 縦に並ぶ係数 ) e2 の時 Tb(e2)(x) = e2(x+b) = x+b = be1 + 1e2 + 0e3 よって 係数は、(b,1,0) これが二列目 ( 縦に並ぶ係数 ) e3 の時 Tb(e3)(x) = e3(x+b) = (x+b)^2 = x^2 + 2bx + b^2 = b^2 e1 + 2b e2 + 1e3 よって 係数は、(b^2,2b,1) これが三列目 ( 縦に並ぶ係数 ) 以上により、 1 b b^2 A = 0 1 2b 0 0 1 となる。 例 5 例 2 の V V = { {xn} | x_{n+k} + a_{k-1}x_{n+k-1} + .. + a1 x_{n+1} + a0 = 0 } の時、例 2 の T の線型変換 ( { xn } :-> { x_{n+1} } ) を考える。 まず、基底 E = を考える。ここでは、次のようなものに すればよいことがわかる。 k 番目 ここ以降は、漸化式より自動的に確定 v v e0 = { 1, 0, .., 0, -a0, .. } e1 = { 0, 1, .., 0, -a1, .. } .. e_{k-1} = { 0, 9, .., 1, -a_{k-1}, .. } これを利用して、T に対応する行列 A を考えたい。T が要素をずらす という写像であることを考えると、 Te0 = { 0, .., 0, -a_0, .. } = - a_0 e_{k-1} Te1 = { 1, .., 0, -a_1, .. } = e_0 - a_1 e_{k-1} ... Te_{k-1} = { 0, .., 1, -a_{k-1}, .. } = e_0 - a_{k-1} e_{k-1} となるので、 0 1 0 ... 0 0 0 1 ... 0 A= .. 0 0 0 ... 1 -a_0 -a_1 -a_2 ... -a_{k-1} となる。 例 3 の V V = { y = f(x) | d^ky/dx^k + a_{k-1}d^{k-1}y/dx^{k-1} + .. + a_1dy/dx + a_0y = 0 } D V -> V in in y :-> Dy = dy/dx をかんがえる。ここで、基底 E = < e0, .., e_{k-1} ) として次のものをとる。 e^{(j)}_i = δ_ij = [if ( i=j ) then 1 else 0 ] という初期値を満す解 この基底 (E;φ) に関する、線型変換 D に対応する行列 A を求めることを 考える。 まず、 e_i^{(k)}(0) + a_{k-1}e_i^{(k-1)} + .. + a_0e_i(0) = 0 なので、 e_i^{(k)}(0)= -a_i であることに注意。 まず、y = f(x) in V が y^{(0)} = x_i ( i = 0, .., k-1 ) を満せば、 y = x_0 e_0 + .. + x_{k-1}e_{k-1} となる。 # 線型微分方程式の解は、「初期値が一致していれば、解も一致する」 # ということを、「微分方程式論」で学ぶので、ここでは、 # そうゆうものだと思うことにする。 つまり、 φ : V -> R^n in in y :-> ( x_0, .., x_{k-1} ) そこで、基底をそれぞれ D で変換すると.. D(e_i)^(j)(0) = e_i^{(j+1)}(0) δi,j+1 = e_i^{(k)}(0) = - a_i ( j=k-1 ) # これは、上記で示した.. よって、 e_{i-1} - a_i e_{k-1} ( i >= 1 ) D(e_i)^(j) = a_0 e_{k-1} ( i == 0 ) これによって、行列 A を求めると 0 1 0 ... 0 0 0 1 ... 0 A= .. 0 0 0 ... 1 -a_0 -a_1 -a_2 ... -a_{k-1} となる。 # 実はこれは、一つ前の例と同じ結果 == 変換 T に対応する行列は、基底の取りかたによって、異なる。つまり、 基底が変化すれば、行列がかわることになる。そこで、基底の関係 が変換行列にどのような影響を与えるかをしりたい。 T: V -> V' : 線型変換 A: 基底 (E;φ), (E':φ') に関する T の行列 B: 基底 (F;φ), (F':φ') に関する T の行列 P: 基底の取り換え E -> F Q: 基底の取り換え E' -> F' とする これより、 K^n -- TB --> K^m ^ ^ | | | | TP V -- T ---> V' TQ | | | | v v K^n -- TA --> K^m よって、 TA o TP = TQ o TB AP = QB B = Q^{-1} A P となる。 == T : V -> V' : 線型写像 V' sub T(V) : 像を考え、その基底 < e'1, .., e'r> を取る 更に、これを拡大して、V' の基底 E' = < e'1, .., e'r, e'r+1, .. en> がえられる。 この時、 e'i in T(V) に対して、ある ei in V s.t. Te_i = e'_i を選ぶ。 すると、 e_1, .., e_r は線型独立 prof) c_1 e_1 + .. + c_r e_r = 0 とする。 これを T で変換した結果、 c_1 e_1' + .. + c_r e_r' = 0 ここで、e_1',..,e_r' は線型独立つなので、c_i は 0 つまり、e_i も線型独立 更に、[4.5] より、核の次元は、dim T^{-1}(0) = n - r なので、その基底 を < e_{r+1}, .., r_n > とする。 この時 E = < e_1, .., e_r, e_{r+1}, .., e_n > は V の基底になる。 # ここで、E が線型独立であることを示せばよい。 # 基底かどうかについては、もし、基底でないとすると、 # 表せない要素があり、その要素を加えても独立なので、次元が増えて # しまい、次元が n であることに反する。 (prof) 線型和をとり、T で移すと、 後半は 0 になる。 よって、前半も 0 となり、これらは基底なので、 係数が 0 つまり、全ての係数が 0 いま、T の E, E' に関する行列を求めてみる。 i = 1, .., r の時 Tei = e'i i = r+1, .., n の時 Tei = 0 よって、 <- n 個 -> <- r 個 -> 1 A = 1 .. 1 0 .. 0 = Fr(m,n) [Th. 5.1] T : V -> V' 線型写像にたいして、基底 F, F' を適当にえらべば F, F' にかんする T の行列は、標準型 Er O F=Fr(m,n) = O O となる。 (prof) 上記のように基底を定めれば良い def T : V -> V' : 線型写像の時 T(V) の次元を T の階数 (ランク) と呼び rank T で表す # [4.5] より # rank T = dim V - dim Ker T [Th. 5.2] T : V -> V' 線型写像、 A : 基底 E, E' に対する T の行列とすると rank T = rank A (prof) [5.1] の基底 F, F' をとれば、 rank T = dim T(V) = rank F_r(m,n) = B (2) より、 B = Q^{-1}AP であり、P, Q は正則なので、これは rank を変化させない。つまり、 rank B = rank A よって、 rank T = rank B = rank A となる。