# 内積の話 ( 計量空間の話をしていた..) 例 5 P_n(R) において、内積 (f,g) を \int_{-1}^{1}f(x)g(x)dx で定義 において、 F_k(x)=\frac{d^k}{dx^k} (x^2-1)^k ( k = 0, 1, .., n ) とおくと、 F = は、互いに直交するP_n(R)の基底。 # 直交であっても、ノルムが1でないので、正規直交系ではない proof) F_k(x) は、2k を k 回微分しているので、k 次式になっている。 よって、F_k(x) \in P_n(R) 各 F_k(x) は、k k 次式で、互いに次数がことなるから、独立 になる P_n(R) の次元は n+1 で、F も n+1 個なので、これが基底になる ことがわかる。 # 後は、直交性を示すのみ いま、 G_k(x) = (x^2-1)^k とおく。 # F_k(x) = G_k^{(k)}(x) であることに注意。 ここで、G_k^{(i)}(x) は、i < k ならば、(x^2-1) という項を もつ。つまり、 G_k^{(i)}(-1) = G_k^{(i)}(1) = 0 いま、k >= l とする。すると、 (F_k,F_l) = \int_{-1}^{1} F_k(x) F_l(x) dx = [ G_k^{(k-1)}(x)F_l(x)}_{-1}^{1} - \int_{-1}^{1} G_k(x)^{(k-1)} F_l'(x) dx (部分積分) = - \int_{-1}^{1} G_k(x)^{(k-1)} F_l'(x) dx ... = (-1)^l \int_{-1}^{1} G_k(x)^{(k-l)} F_l^{(l)}(x) dx ここで、k >= l なので、 F_l^{(l)}(x) = G_l^{(2l)}(x) = (2l)! = (-1)^l (2l)! \int_{-1}^{1} G_k(x)^{(k-l)}dx = 0 よって、直交 # 次に、長さを求める。 ||F_k||^2 = (F_k,F_k) = (-1)^k(2k!)\int_{-1}^{1} (x^2-1)^k dx ここで、 I_k = \int_{-1}^{1} (x^2-1)^k dx とおくと、部分積分より、 I_k = [] - k \int_{-1}^{1} x(x^2-1)^{k-1} 2x dx ところが、後半 \int_{-1}^{1} x(x^2-1)^{k-1} 2x dx = 2 \int_{-1}^{1} [ x^2 - 1 + 1 ](x^2-1)^{k-1} dx なんので、これは、 = 2 (\int_{-1}^{1} (x^2-1)^{k} dx \int_{-1}^{1} (x^2-1)^{k} dx) つまり、 = 2k ( I_k +I_{k-1} ) よって、 I_k = 2k ( I_k +I_{k-1} ) なので、 I_k = -\frac{2k}{2k+1} I_{k-1} より、 I_k = (-1)^k \frac{2^{k+1} (k!)^2}{(2k+1)(2k)!} これより、 ||F_k||^2 = \frac{2^{2k+1}(k!)^2}{2k+1} ||F_k|| = \sqrt{\frac{2}{2k+1}} 2^k k! よって、 E_k(x) = \sqrt{\frac{2}{2k+1}} とおけば、 E = は、正規直交系 # ちなみに 2^k k! \frac{d^k}{dx^k}(x^2-1)^k をルジャンドル多項式と呼ぶ [Memo] E は、基底 <1,x,..,x^n> を、シュミットの直交化した、 正規直交基底と一致する。 proof) <1,x,..,x^n> からできた正規直交基底を E' = < E_0', .., E_n' > とする。 < E_0', .., E_k' > = <1,..,x^{k-1}>_R = P_{k+1}(R) 一方、E_k(x) も k 次元多項式なので、 < E_0, .., E_k > = <1,..,x^{k-1}>_R = P_{k+1}(R) 定理 6.4 ( この後やる ) より P_k(R)= P_{k-1}(R) \prod P_{k-1}(R)^{直交} よって、P_{k-1}(R)^{直交} は一次元 P_{k-1}(R)^{直交} \ni E_k, E_k' より、 E_k = c E_k' 共に、長さが 1 なので、 E_k = +- c E_k' 更に E_k, E_k' の作りかたより、x^k の項目は、互いに 正なので、 E_k = c E_k' == def 直交補空間 W \subset V W^{直交} = { x \in V | (x,y) = 0 \forall y \in W } は部分空間になる。 prof) x, x' \in W^{直交}, a \in K とする \forall y in W に対して ( y, x + x' ) = ( y, x ) + ( y, x' ) = 0 + 0 = 0 ( y, a x ) = a (y, x) = a 0 = 0 定理 6.4 V = W \prod W^{直交} prof) を W の正規直交系とする \forall x in V にたいして x_1 = \Sum_{i=1}^r (x, e_i)e_i とし、さらに x_2 = x - x_1 とおく。 すると、x_1 \in W である。 また、 x_2 \in W^{直交} となる proof) (x_2, e_i) = (x, e_i) + (x_1,e_i) = (x, e_i) - \Sum_{j=1}^r (x, e_i)(e_i, e_j) = (x, e_i) - (x, e_i) = 0 つまり、 x \in V にたいして、 x = x_1 + x_2 x_1 \in x_1 \in W^{直交} がいえるので、 V = W + W^{直交} 特に、 W \cap W^{直交} = {0} proof) x \in W \cap W^{直交} => (x,x) = 0 なので、[定理 4.8] より V = W \prod W^{直交} == 例6 A \in M_{m,n}(R) とし、Ax = 0 とすると、 A = ( tb1, .., tb_n ) V = _R とすると、 V^{直交} = { x | Ax=0 } となる。 == 定理 6.4 (1) (W^{直交})^{直交} = W (2) ( W_1 + W_2 )^{直交} = W_1^{直交} \cap W_2^{直交} (3) ( W_1 \cap W_2 )^{直交} = W_1^{直交} + W_2^{直交} proof) (1) x \in W とすれば、 (x,y) = 0 ( \forall y \in W^{直交} ) よって、 x \in (W^{直交})^{直交} よって、 W \subset (W^{直交})^{直交} 一方、 V = W \prod W^{直交} = W^{直交} \prod W^{直交}^{直交} つまり、 dim W^{直交}^{直交} = dim W よって、Th.6.4 より、 W^{直交}^{直交} = W (2) x \in ( W_1 + W_2 )^{直交} <-> (x,y) = 0 (\forall y \in W_1 + W_2 ) <-> (x,y) = 0 (\forall y \in W_1 ) (x,y) = 0 (\forall y \in W_2 ) <-> x \in W_1^{直交} x \in W_2^{直交} <-> x \in ( W_1^{直交} \cap W_2^{直交} ) だから ( W_1 + W_2 )^{直交} = W_1^{直交} \cap W_2^{直交} (3) (2) で、W_1, W_2 を W_1^{直交}, W_2^{直交} とすればよい == def V, V' : K-計量空間 φ : V -> V' : 同型写像 この時 (φ(x),φ(y)) = (x,y) ( 内積を保存する ) ならば、 φ を V から V' への計量(空間としての)同型写像と呼ぶ 例: V, E= : 正規直交基底 φ : V -> K^k : 同形対応 in in x = \Sum x_i e_i :-> (x1,..,xn) は、計量同型 proof) # 同形は判っているので、内積を保存するかを Check x, y \in V とする (x,y) = .. = \Sum x_i \^y_i 一方、 (φ(x),φ(y)) = \Sum x_i \^y_i つまり、保存 [Memo] K 上の次元の等しい計量空間は、どれも計量同型 [Memo] (E;φ), (E';φ') を共に、V の正規直交基底 P を基底の取り換え E -> E' 行列 => P はユニタリ行列 ( where {}^t\-P = P^{-1} )