2003/10/03 前期 chap 4 をやった、後期は、 chap 5 から始める。 == 5. 固有値と固有ベクトル 5.1 固有値と特性根 def. V : K の線型空間 T : V の線型変換 x \in V が T の固有ベクトル def \exist \alpha s.t. T x = \alpha x ( x \ne 0 ) この時、この \alpha を T の固有値と呼ぶ。 また、特に、固有値と固有ベクトルの関係を明示したい場合は、 x を T の \alpha に対する固有ベクトル とよぶ。 # x が固有ベクトルならば、k \in K ( k \ne 0 ) に対し、k x も固 # 有ベクトル # prof) # Tx = \alpha x より # T( k x ) = k Tx = k \alpha x = \alpha ( k x ) # x \ne 0 が、 T の固有ベクトル # <=> _K = { cx | c \in K } が T-不変 # prof) # ( -> ) # Tx = \alpa x より # v \in _K # -> \exist c s.t. v = c x # -> T(v) = T(cx) = cT(x) = c \alpha x \in V # よって、_K の元は、T によって _K の中に写される # ( <- ) # x \in _K で、_K が T-不変なので、T x \in _K # つまり、\exist \alpha s.t. T x = \alpha x # これは、x が T の固有ベクトルである # ( この \alpha は固有値 ) ことを意味する == def. T - 不変部分空間 \alpha : T の固有値の時 W_\alpha = { x \in V | Tx = \alpha x } とすれば、 W_\alpha は T - 不変部分空間 これを、\alpha に対する T の固有空間という。 # prof) ( W_\alpha が線型空間であることをしめす ) # x, y \in W_\alpha T の W_\alpha の制限 T_W_\alpha は \alpha I に等しい == # 以上は、線型変換の世界で考えたが、以下は、行列の世界で考える A : n 次正方行列 T_A : A によって定まる C^n の線型写像 # 変換は、かならず、複素数の上で考える # 行列の要素が実数でも、固有値、固有ベクトルは複素値 T_A の 固有値 ->_A の 固有値 T_A の 固有ベクトル ->_A の 固有ベクトル T_A の 固有空間 ->_A の 固有空間 == V : C 上の線型空間 T : V 上の線型写像 (E;\phai) : V の基底 A:(E;\phai) に対する T の行列 => T と A の固有値は一致 固有ベクトル、固有空間は、\phai で移りあう。 T V ----> V | | |\phai |\phai | | C^n---> C^n T_A prof) # T x = \alpha x と T_A x = \alpha x が同値であること示 # せばよい == th. T が 0 を固有値をもつ <=> T は正則でない prof) T は正則でない <=> \exist x \in V s.t. x \ne 0, Tx = 0 <=> \exist x \in V s.t. x \ne 0, Tx = 0x <=> 0 が T の固有値 Th [1.1] T の相異なる固有値に対する固有ベクトルは線型独立 prof) \beta_1, \beta_2, .. \beta_n を相異なる固有値 x_1, x_2, .. x_n を対応する固有ベクトルとする # x_i が線型従属と仮定して、矛盾を導く {x_n} が線型従属ならば、ある 1 < i < n が存在し、 x_1, x_2, x_{i-1} が線型独立かつ、x_1, x_2, .., x_i が線型従属なものがあるはず。 x_1, x_2, .., x_i が線型従属より x_i = c_1 x_1 + .. + c_{x-1} x_{x-1} ... (1) とできる。 両辺に T をかければ、... T(x_i) = c_1 T(x_1) + .. + c_{x-1} T(x_{x-1}) ... (1) == \beta_1, \beta_2, .. \beta_n を相異なる固有値 W_1, W_2, .. W_n を対応する固有空間 => [1.1] より、 W_1 + W_2 + .. + W_n は直和 # しかし... V = W_1 <+> W_2 <+> .. <+> W_n とはかぎらない !! Th.[1.2] V : K の線型空間 T : V の線型変換 T の適当な基底に対して、対角行列で表される <=> V = W_1 <+> W_2 <+> .. <+> W_n のとき <=> V が固有ベクトルからなる V の基底が存在する # chap 5 の目的は、「行列の対角化」であり、この定理は、 # 対角変化が行えるための必要十分条件を与えている prof) ( -> ) 基底 ( E;\phai ) に関する T の行列 A が対角行列 A = { \alpha_i } T_A = \phai T \phai{-1} より \phai ( T ( e_i ) ) = T_A ( \phai ( e_i ) ) = \alpha_i \phai ( e_i ) よって、 T e_i = \alpha_i e_i なので e_i は固有ベクトル ( <- ) e_1, .., e_n を T の固有ベクトルとすれば、 T e_i = \`alpha e_i より、 E = < e_1, .., en > にたいす T の行列は、 A = { \alpha_i } th [1.2'] A : n 次正方行列 \exist P s.t. P{-1}AP が対角行列 <=> n 個の線型独立な固有ベクトルが存在する。 この固有ベクトルを p_i とすると、 P = ( p_i ) がその P prof) A p_i = \alpha p_i より P{-1}AP の 第 j ベクトル を b_j とすると b_j = P{-1}AP e_j .. = \alpha_j e_j [例 1] 平面上の \theta 回転行列は、実数上では、固有ベクトルをもたない ことになるので、対角化できないことになる。 # 平面上のベクトルは必ず向きをかえる。 しかし、実際には、複素数上で考えるので、 e_1 = ( 1, i ) e_2 = ( 1, -i ) とすれば、 A e_1 = (\cos(\theta) - i \sin(\theta)) e_1 つまり、 A e_1 = e^{-i \theta} e_1 # e^{-i \theta} は、 e_1 の固有値 同様に、 A e_2 = e^{i \theta} e_2 # e^{i \theta} は、 e_2 の固有値 e_1 と e_2 は、異なるので、[1.2'] より、対角化可能で、 P = ( e_1, e_2 ) すれば、 P{-1}AP = .. = ( e^{-i \theta} 0 ) 0 e^{i \theta} # 行列の要素が実数でも、固有値や固有ベクトルが # 実数とはかぎらないことに注意 [例 2] # [例 1 ] では、e_1, e_2 を天下り的に与えたが、本来は探す必要 # がある。ここでは、探し方についての説明をする。 A = ( 2 1 ) 1 2 の対角化を考える 固有ベクトルを x とすれば、 A x = \alpha x となる。 x \ne 0 でなければならないので、 A x - \alpha E x = 0 より (A - \alpha E) x = 0 の時、(A - \alpha E) が逆行列を持たない。 したがって、 |A - \alpha E| = 0 を解くと \alpha に関する方程式がでるので、これが固有値 求めた、\alpha に監視て A x = \alpha x とすると、x の要素 ( x_1, x_2 ) に関する比例式がでるので、 その適切ものを選べば、固有ベクトルがえられる。 # n > 2 の時も同様 [例 3] A = ( 1 2 ) 0 1 の場合は、固有値が重解になるため、独立な固有ベクトルが、 とれないので、対角化できない。