これまで、スペクトル分解をやってきて、これはほぼ、終った。 ただ、これまでは、複素空間でおこなってきたので、これの実数 版を行う。 §3 実数計量空間の対称変換 def. V:実数計量空間 (Tx y)=(x Ty)(\for x、y \in V ) の時 T は対称変換とよぶ。 # もちろん、複素数の世界で考えればエルイート # したがって、T は正規変換になる。 Col. E: V の正規直交基底 A: E にかんする T の行列 T : 対称変換 <-> A: 実対称行列 # prof) エルミート行列を実数空間に限定して考えればよい。 # T の固有値を考える場合は、T の特性根が実数かどうかを確認する必要が # あるが、.. 実は.. Col. T の特性根は、すべて実数。よって、特性根は、すべて固有値。 定理 3.1 \beta_1, .., \beta_k : T の相異なる固有値全部 \W_1, .., \W_k : 対応する固有空間 -> W_i 直交 W_j ( \forall i \ne j ) V = W_1 直和 .. W_k prof) ( 系 2.5 と同様に行う ) k = dim V に関する帰納法 # 以下略 == 系 3.2 ( 定理 2.4 ) T が適当な正規直交基底に関して対角行列 <-> T が対称変換 prof) ( <= ) T 対称 定理 3.1 の各 W_i の正規直交基底をあわせて、 V の正規 直交基底を作ればよい。 ( => ) 対角行列は、対称行列 系 3.2' ( 定理 2.4 ) \exist P : 直交行列 s.t. P^{-1}AP が対角行列 <-> T が対称変換 prof) ( <= ) V = R^n, T = T_A として定理 3.2 を用いると、 \exist < p_1, .., p_n > : 正規直交基底 s.t. T_A P_i = \alpha_i P_i そこで、 P = ( p_1 .. p_n ) とすれば、 \alpha_1 T_A P = P ( \alpha_2 ) ... \alpha_n || D となるので、 P^{-1} T_A P = D ( => ) P^{-1}AP = D とすると、 A = PDP^{-1} ^tA = ^t(PDP^{-1}) = ^t(P^{-1}) ^tD ^tP = P D P^{-1} where ^tP = P^{-1} ^tD = D == 例 1. 2 1 1 A =( 1 2 1 ) 1 1 2 まず、固有多項式を計算し、固有値を求める。 \Phi_A(x) = (x-1)^2(x-4) より 固有値 1(二重), 4 固有値 1 に対応する固有空間 W_1 の正規直交基底をとると 1 p_1 = \frac{1}{\sqrt{2}}( -1 ) 0 1 p_2 = \frac{1}{\sqrt{6}}( 1 ) -2 固有値 4 に対応する固有空間 W_2 の正規直交基底をとると 1 p_3 = \frac{1}{\sqrt{3}}( 1 ) 1 これによって、直交行列 P = ( p_1 p_2 p_3 ) とすれば、 1 P^{-1}AP = ^tPAP = ( 1 ) 4 == # 射影子等も同様に定義できる。 W \sub V V = W 直和 W^直交 のとき \forall \in V に対して、 \eixst1 x_1 \in W, x_2 \in W^直交 s.t. x = x_1 + x_2 P : x :-> x_1 を V から W への射影子と呼ぶ。 [3.3] (2.6) P : 射影子 <-> P が対称変換かつ P^2 = P 定理 3.4 (2.7) \beta_1,..,\beta_k : T の相異なる固有値 \forall i \exist1 P_i : 射影子 .s.t. P_1 + P_2 + .. P_k = I P_i P_j = O (\forall i \ne j) \beta_1 P_1 + .. = T となるとき、これをスペクトル分解とよぶ。 [3.5] (2.6) T の固有値が全て正 ( 非負 ) <=> (Tx x) > (\ge) 0 ( \forall x ) これを満す T を (半)正値対称変換 Col. T^*T は半正値 T^* : T の随伴行列 A_{T^*} = ^tA_T で定義 Col. (T^*x y) = (x Ty) (\forall x, y \in V ) Col. T : 対称 -> T^2 : 半正値 T : 対称正則 -> T^2 : 正値 Col. T : (半)正値 -> \exist1 P : (半)正値 .s.t P^2 = T # P を \sqrt{T} で表す。 定理 3.5 (2。10) \forall T : 正則 \exist1 H:正値対称, P: 直交 s.t T = HP 定理 3.5' (2。10') 定理 3.6 (2。11) 等も同様 # ここまでは sec 3. は sec 2. の焼き直し # これは、特性根が、すべて、実数で、固有値になるため.. == §4 二次形式 ( 次数が 2 次だけの項だけからなる ) 二次形式 ( 次数が 2 次だけの項だけからなる ) x_1, .. x_2 に関する実数係数の斉二次形式を二次形式と呼ぶ x_ix_j の係数を a_ij 二次形式は、一般に、 F(x_1, .., x_n) = \Sum_{i=1,j=1}^n a_ij x_i x_j で表現できるが、この形では、左辺があたえらたときに、右辺の a_{ij} と a_{ji} が 一意に定まらない。そこで、a_{ij} と a_{ji} に制限をあたえ、 ( 制限 の与え方は色々があるが.. ) a_{ij} = a_{ji} とする。 この時、係数 a_{ij} の行列 A を F の行列とよぶ。 定義より、A は実対称行列になる。 x = ( x_1,.. x_n ) とおくと F( x_1,.. x_n ) = F(x) = ^txAx となる。 逆に、実対称行列 A によって、定まる二次形式 ^txAx を A[x] = ^txAx と表現する。 == x を 線型の変数変換をおこなって y で表現することを考える。 P : 正則行列を与えて x = Py とする変換を考える。 すると、 F(x) は y にかんしても二次形式になるので、 G(y) = F(x) とおくと、 G(y) = txAx = tytPAPy = tPAP[y] # つまり、変数変換を係数行列の変換で考えることができる。 == # もっと、広くて ( 正則.. ) も成立するが、ここでは、すこし狭い # 直交行列で考える P: 直交行列とすると tP = P-1 なので、系 3.2' より [4.1] F(x) = A[x] にたいして、適当な直交行列 P をとって、 x = Py として、 F(x) = G(y) = \alpha_1 y_i^2 + .. ただし、(固有値の順番を適当に入れ替えて..) \alpha_1 .. \alpha_p > 0 \alpha_p+1 .. \alpha_p+q < 0 \alpha_p+q+1 .. = 0 とできる。 更に、 y_i = \frac{1}{\sqrt{\alpha_i}}z_i (\forall i \in 1 .. p ) y_j = \frac{1}{\sqrt{\alpha_i}}z_j (\forall i \in p+1 .. p+q ) y_k = z_k ( これは係数が 0 なので、意味がないが形式を整え.. ) とおきかえれば、 F(x) = H(z) = z_1^2 + .. + z_p^2 - z_{p+1}^2 - .. - z_{p+q}^2 とかける ( これを正規形とよぶ ) [定理 4.2] (シルベスタの慣性法則) 標準形は一意 prof) 相異なる P, Q によって、それぞれ、 x = Py x = Qz と変数変換した結果、共に標準形になったとする。つまり F(x) = G(y) = y_1^2 + .. y_p^2 - y_{p+1}^2 - .. y_{p+q}^2 H(z) = z_1^2 + .. z_s^2 - z_{s+1}^2 - .. z_{s+t}^2 # p != s だと矛盾であることをしめす。 p != s なので、仮に p > s 仮定する。 x_1, .. x_n に関する斉次一次方程式系 y_i = P^{1}x = 0 ( \for i = p+1 .. n ) z_j = Q^{1}x = 0 ( \for j = 1 .. s ) を考える。これは、n - p + s 本の式で、しかも n - p + s < n ( because p > s ) を満すので、自明でない解 x = ( x_1 ... x_n ) = ( a_1 .. a_n ) = a をもつ。 また、この解が上の方程式系の根なので、 P^{-1}a = ( b_1 b_2.. b_p 0 0 .. 0 ) Q^{-1}a = ( 0 0 c_{s+1} .. c_{s+t} ) よって、 F(a_1..a_n) = G(a_1..a_n) = b_1^2 + .. + b_p^2 >= 0 H(a_1..a_n) = - c_{s+1} - .. + c_{s+t}p^2 <= 0 非負と非正が等しいので、これは、全体として 0 しかありえない ところが、 G(a_1..a_n) = b_1^2 + .. + b_p^2 = 0 ということは、 b_1 = .. = b_p = 0 しかありえず、 a = Pb = P(0) = 0 なので、 a = 0 つまり、a が、非自明解であることに反して、矛盾 これは、 p > s 仮定 したことに誤りがある。 同様に、 p < s 仮定 も矛盾するので、 p = s となる。 == (p,q) 二次形式 F(x) = A[x] の符号と呼ぶ。 p : A の正の固有値 q : A の負の固有値 == 来週 小さなテスト ( 9:15 から 1 時間程度 ) 1A 1B .. にたもの 2A 2B .. にたもの 次回は、 前 1A と 後 2B 次々の回は、 前 2A と 後 1B