2003/11/28 前回 : 二次形式の定義 変数変換を行って、簡単な形にしよう 結局は、二乗の項目に正負の符号を付ただけ これを標準形と呼ぶ ( 一意性がある ) この符号は、結局は、固有値の符号に一致するが、 固有値を求めるより、正負を求める方が簡単なので... # という話を後でやる。 == def. 二次形式 F(x) に対して F(x)が (半) 正値 <-> F(x) > (\ge) 0 ( \forall x \ne 0 ) を満すこと。 Th. F(x)が (半) 正値 <-> F を表す実対称行列 A が(半) 正値 <-> A の固有値の符号の個数に関して、 n = p ( q = 0 ) prof) F(x) = ^txAx = (Ax x) だから。 def. A = {a_nn} の時 A_k = {a_kk} と置く Th. 4.3 A[x] が正値 <-> |A_k| > 0 ( \forall k = 1..n ) prof) ( -> ) \vec{x} = ( x_1, .., x_n ) \vec{x_k} = ( x_1, .., x_k ) とすると、 A_k[x_k] = A[x] > 0 (\forall x \ne 0 ) よって、 A_k[x_k] は、正値 よって、 A_k の固有値は全て正値 よって、 |A_k| は A_k の固有値を全て掛けたものに等しい よって、 |A_k| は正値 ( <- ) n に関する帰納法で行う n = 1 の時 A = (a_11) より明か n = k+1 の時 A_k[x_k] は正値 ( 帰納法の仮定 ) A = ( Ak | b ) ---+-- ^tb| c とし、 P = ( E_k | Ak^{-1}b ) ----+--------- ^t0 | 1 とすると、 A = ^tP ( Ak | 0 ) P ---+------------ ^t0 | c-Ak^{-1}[b] となる。 ここで、 B = ( Ak | 0 ) ---+------------ ^t0 | c-Ak^{-1}[b] とすれば、 定理 4.2 より、A の正値性と、B の正値性は同じ。 また、 |A| = |B| = |Ak| (c-A_k^{-1}[b]) ( where |P| = 1 ) ここで、帰納法の仮定より、 |Ak| > 0 また仮定より |A| > 0 したがって、 d = c -Ak^{-1}[b] > 0 ここで x = ( x' ) - x_{k+1} とすると、 B[x] = (^tx'|x_{k+1} ) ( A_k | 0 ) ( x' ) ^t0 | d ( x_{k+1} ) = A_{k}[x'] + dx_{k+1}^2 < 0 ( \forall x \ne 0 } よって、全て正値。 # 小さな行列式の符号判定の方が固有値の符号判定より簡単 # 計算機などで利用される。 def. 二次形式 F(x) に対して F(x) が (半)負値とは <-> F(x) < (\le) 0 ( \forall x \ne 0 ) を満すこと。 F[x] = A[x] の時 -F[x] = (-A)[x] のなので、 A[x] が負値 <-> -A[x] が正値 Col. 4.4 A[x] が負値 <-> (-1)^k|A_k| > 0 ( k=1..n ) prof) |-A_k| = (-1)^k|A_k| > 0 # 全ての符号が正値或は負値の場合は、小行列の符号だけで解る # 一般には、符号が全て同じとは解らないので、別の方法を考える。 ラグランジェの方法 ( 符号を調べる方法 ) 二次形式に含まれる自乗の項を含む変数に関して、平方完成して、そ の符号だけをみればよい。 自乗の項目がなかったらどうする ? xy という項目を探し、 x' = x + y y' = x - y と変数変換すれば良い。 # 結局は、xy という形の項目を減らす ( その結果として自乗の項目 # しか残らない.. ) 例 1 : F(x,y,z) = x^2+y^2-z^2+4xz+4yz = (x+2z)^2 + (y+2z)^2 - 9z^2 符号は、(2,1) 例 2 : F(x,y,z) = 2xy+2yz = \frac{1}{2}(x'+z)^2-\frac{1}{2}(y'+z)^2 ただし、 x' = x + y y' = x - y 符号は、(1,1) == # 二次形式の応用 §7 二次曲線および二次曲面 # 曲面の式が与えられたときに、これを都合がよい座標で表現して、 # 単純化するために、座標変換の仕組が欲しい。 def. 座標系 ( O ; E ) 空間 V^3 (平面 V^2) において、 原点 O と、正規直交基底 E= (=) を考える。 # 議論上では、単なる基底でよいが、話を簡単にするため、 # 正規直交基底として議論する これによって、空間 (平面) 座標系が決定する。 二つの座標系 (O ; E), (O' ; E') において、基底の取り換え ( E -> E' )行列 を T = (tij) ( これは直交行列となる ) とする。 点 O' の座標系 ( O;E) に関する位置ベクトルを t_0 = ( t_1, t_2, t_3 ) とする。 点 P の (O;E), (O';E') に関する位置ベクトルを x = (x1,x2,x3) y = (y1,y2,y3) とすれば、 x = t_0 + Ty となる。 # これは、線型変換ではない。そこで、疑似的に線型変換の形にするため # 工夫を行う。 # 非斉次 ( アファイン ) ベクトル ここで、 \tild{x} = ( x ) 1 \tild{y} = ( x ) 1 \tild{T} = ( T | t_0 ) 0 | 1 とすれば、上の座標変換は、 \tild{x}=\tild{T}\tild{y} と表現可能できる。 == def. 空間における二次曲面とは、ある座標系にかんする座標の二次式 の零点の集合のこと この定義は、座標系によらない # 二次式を変数変換しても、二次式のままだから.. def. (二次曲線の一般形) 二次曲線(q) (q) : a_11 x_1^2 + a_22 x_2^2 + 2 a_12 x_1 x_2 + 2 b_1 x_1 + 2 b_2 x_2 + c = 0 ここで、 A = ( a_11 a_12 ) a_21 a_22 ( where a_21 = a_12 ) b = (b_1) b_2 x = (x_1) x_2 とすると、 (q): A[x] + 2(b x) + c = 0 更に、斉次化すると.. \tild{A} = ( A | b ) -----+--- ^tb | c として、 (q): \tild{A}[\tild{x}] と表現できる。 def. 上記の A : 係数行列 上記の \tild{A} : 拡大係数行列 == def 2 次曲面 (Q) (Q) : a_11 x_11^2 + .. A = (aij) ( where aij = aji ) b = (bi) x = (xi) (Q) : A[x] + 2(b x) + c = 0 \tild{A} = ( A | b ) -----+--- ^tb | c (Q) : \tild{A}[\tild{x}] = 0 == 二次曲線、二次曲面を A と \tild{A} の階数及び、符号で分離する。 sgn A = ( p, q ) sgn \tild{A} = ( \tild{p}, \tild{q} ) この時、 p < q ならば、元の式を -1 倍する。そうすると、 これにより、 p \ge q, \tild{p} \ge \tild{q} となる。 # p, q と \tild{p} \ge \tild{q} が連動するかどうかが問題 実際は、 ( \tild{p}, \tild{q} ) の可能性は、 ( p, q ) ( p + 1, q ) ( p, q + 1 ) ( p + 1, q + 1 ) の可能性しかないので、この結果、 p > q の場合は、\tild{p} \ge \tild{q} が必ず成立する。