2005/06/16 代数学幾何学及び演習 I (古津先生) # 今日は、5 分ほど遅刻した.. (_v_) 行列 A : (m,n) 型行列 要素が、a_{ij} で、次のように m, n の長方形の形に並べたもの a_11 a_12 .. a_1n A = ( a_21 a_22 .. a_2n ) ... a_m1 a_m2 .. a_mn この時に A = (a_ij) と表現する。 # 以下、特に断らない限り a_ij \in \C として話をする ## いままでのベクトルは、要素が実数だった。 縦 横 (m,n) 行 列 def 行列 A, B が等しい A, B が共に (m,n) 型で、 A = (a_ij), B = (b_ij) としたときに、 a_ij = b_ij が成立する時 def 特に (m,1) 型は m 項 列/縦 べくとる def 特に (1,n) 型は n 項 行/横 べくとる def (行列の和) A, B, は共に (m,n) 型の行列の時、同じ (m.n) 型の行列 C が A+B=C であるとは、 c_ij = a_ij + b_ij def (スカラー倍) A に対して cA は、( c a_ij ) 特に (-1)A を -A をかき、A+(-1)B を A-B とかく 要素が全て 0 の (m,n) 行列 ( 0 ) を O_{m,n} で表現する。 [定理] A+O=A, A-A=O [定理] (A+B)+C=A+(B+C) A+B=B+A c(A+B)=cA+cB (c+d)A = cA + dA (cd)A = c(dA) 1A = A, 0A = O def (行列の積) A : (m,n) 型、 B : (n,l) 型の時、 行列 AB の積 C は、 (m,n) 型になり、 c_ik = \Sum_{j=1}^n a_ij b_jk を成分とする。 [注意] AB は、存在するとは限らない 存在しても型が同じとは限らない 同じ型でも AB が BA と同じになるとは限らない # この事は、2, 3 次でも解っていた。一般化しても同様 [定理] A:(k,l), B:(l,m), C:{m:n) の時 (AB)C=A(BC) prof) # 行列の比較なので.. # 型が同じ # 個々の対応する要素が同じ # の二つを示す必要がある。 AB が (m,n) 型になるので (AB)C は、定義でき、(k,n) 型になる (BC) が、(l,n) 型なので、A(BC) は、定義でき、(k,n) 型になる よって、両辺の型は同じ。 AB の (p,q) 成分は \Sum_{q=1}^l a_{pq} b_{qr} よって、(AB)C の (p,s) 成分は、 \Sum_{r=1}^m (AB の (p,r)成分)×(C の (r,s) 成分 ) = \Sum_{r=1}^m (\Sum_{q=1}^l a_{pq} b_{qr})c_{rs} = \Sum_{q=1}^l \Sum_{r=1}^m a_{pq} b_{qr} c_{rs} # 有限個数の和なので、交換しても問題ない # 各々の要素は、全て複素数なので、交換しても大丈夫 となる。 一方、BC の成分は、 \Sum_{r=1}^m b_{qr} c_{rs} となり、A(BC) の (p,s) 成分は、 \Sum_{q=1}^l (A の (p,q)成分)×(BC の (q,s) 成分 ) =\Sum_{q=1}^l a_{pq} \Sum_{r=1}^m b_{qr} c_{rs} = \Sum_{q=1}^l \Sum_{r=1}^m a_{pq} b_{qr} c_{rs} よって、成分が等しい。 # 行列の計算で \Sum を使うのは、慣れが必要 # 具体的な行列の掛け算の計算はできるようにしておく !! [定理] A(B+C) = AB+AC (A+B)C = AC+BC AO=O, OA=O def (単位行列) # (n,n) 行列のみ意味がある (n,n) 行列で、 (i,i) が 1 その他が 0 な行列を、「単位行列」と呼び E_n (=E=1_n) で表す。 def (クロネッカーのデルタ記号) δ_ij = 1 ( i = j ) = 0 ( i \ne j ) 単位行列 E は、クロネッカーのデルタ記号 δ_ij を使って E=(δ_ij) と表現できる。 [定理] A: (m,n) 型の時 AE_n = A E_mA = A # 注意、左からかける場合と右からかけるときでは、単位行列の # 大きさが違う時に注意。 # 特に A :(n:n) であれば、 A E_n = E_n A = A となる !! prof) # 上だけを証明する # 型が同じなのは、明らか。成分を比較すると.. A E_n の (i,k) 成分は \Sum_{j=1}^n a_ij δ_jk となる。所が、δ_jk の性質より、 = a_ik これは、A の (i,k) 成分なので、 A E_n = A == def A の 第 j 列 # 行で表すということもあるのだが、今はまだ、転置行列を学んでいないでの # 書き表すのが面倒 => 必要になった時にまた、改めてやる。 a_1j a_j = ( a_2j ) ... a_mj を、縦ベクトルとみたときに、これを 「Aの j 列ベクトル」と呼ぶ この時、 A = ( a_1, .., a_n ) とも表現する。 def 単位行列 E_n の列ベクトルを「n 項単位ベクトル」とよび e_i で表す 1 e_1 =( 0 ) . 0 0 e_2 =( 1 ) . 0 .. 0 e_n =( 0 ) . 1 [定理] A : (l,m) 型, B : (m,n) 型の時 B = (b_1, .., b_n) とすれば、 AB=(Ab_1, .., Ab_n) となる。 # 行列の積の性質を利用する 特に、B=E_m として、 A=(Ae_1, .., Ae_m) # 2, 3 次でも同じ記法を使ったが、一般でも利用する。 x_1 [定理] 任意の縦ベクトル x = ( x_2 ) に対して .. x_n x = x_1 e_1 + x_2 e_2 + .. + x_n e_n となる。 # 任意のベクトルは、単位ベクトルの線型和で表現できる !! # 証明の時によく利用するので、良く理解しておくこと。今後も良く出てくる def) 一般に、 ベクトル a_1, .., a_n に対して x_1 a_1 + x_2 a_2 + .. + x_n a_n を、 「a_1, .., a_n の線型結合」と呼ぶ def) A = ( a_ij ) に対して、\Bar{A} = ( \Bar{a_ij} ) を A の複素共役行列とよぶ。 # [注] \Bar{a_ij} は a_ij の共役複素数 [定理] \Bar{\Bar{A}}=A \Bar{A+B}=\Bar{A}+\Bar{B} \Bar{cA}=\Bar{c}\Bar{A} \Bar{AB}=\Bar{A}\Bar{B} prof) # 最後のだけ \Bar{AB} の (i,j) 成分 = \Bar{ AB の (i,j) 成分 } 、 = \Bar{ \Sum_{j=1}^m aij bjk } 、 = \Sum_{j=1}^m \Bar{aij} \Bar{bjk} = \Bar{A}\Bar{B} の (i,j) 成分 def) 転置 行列 A = (a_ij) に対し ^tA = ( a_ji ) を A の転置行列と呼ぶ # 普通は、右上に記号を付けることがおおいのだが、転置の記号だけは左につけるので、めずらしい。 # 転置は、行と列を交換した形になっている。 A が (m,n) 型ならば、^tA は (n,m) 型 [定理] ^t(^tA)=A ^t\Bar{A}=\Bar{^tA} ^t(A+B)=^tA+^tB ^t(cA) = c^tA ^t(AB) = ^tB^tA # <= 積だけ反対になること注意 !! # 最後のだけ証明 : 間に合わない !! == def) 区分け # 具体的な、行列では理解りやすいが、抽象的に行うと面倒 [例] 1 2 -1 0 A = ( 2 1 3 2 ) 1 2 3 4 を、次のように成分を区切り、 1 2 -1 | 0 A = ( 2 1 3 | 2 ) -------+-- 1 2 3 | 4 それぞれの区画の領域の要素を持つ行列 A_ij を、それぞれ、次のようにする A_11 = ( 1 2 -1 ) A_12 = ( 0 ) 2 1 3 2 A_21 = ( 1 2 3 ) A_22 = ( 4 ) この時、元の A を A_ij を利用して、次のように表現し、 A = ( A_11 A_12 ) A_21 A_22 これを、行列 A の「区分け」と呼ぶ def) 一般に A=(a_ij) : (l.m) 型とし、 横に p - 1 本、 縦に q - 1 本 の線で、行列を区切、pq 個の区画に分る。 この時、上から s 番目、左から t 番目の区画を表す行列 A_st とする A_st は ( l_s, m_t ) 型 l_1 + l_2 + .. + l_p = l m_1 + m_2 + .. + m_q = m となる。 # これらの A_ij を、A の区分けと呼ぶ。 [定理] B=(b_ij) を (m,n) 型とする。 横に q - 1 本、 縦に r - 1 本 の区分けをし、A と同様、縦は、m_1, .., m_q に分割する 横は、自由に n_1, .., n_r に分割する。 すると、行列 AB の積 C に対して、 ( \Sum_{j=1}^m A_ijB_jk ) は、C の (p,s) に分割する区分けになっている。 prof) C_su = A_s1 B_1u + A_s2 B_2u + .. + A_sq B_qu であることを確かめればよい。 型は、 左は (l_s, n_u) 型 右は (l_s, m_j) × (m_j,n_u) = (l_s, n_u) 型 なので一致 値は、を比較すると .. 同様に成分同士の比較を行う # ノートが取れないのでパス # 区分けの話は、具体的にしないと理解しにくいので、次回は、具体的な例を示す。 # 一般的な性質を説明するときには、多数に分割するが、普通は、2 x 2 位に # 分けて使うことの方が多い。 一学期は、このままずっと、行列の話、できれば、Rank 位までやりたい。