2005/09/29 代数学幾何学及び演習 I (古津先生) [前回までの内容] 基本行列 P, Q, R 基本変形 P, Q, R を右と左からかけるという作業が、基本変形 基本変形の応用 Rank 計算 : 前期試験でやった 逆行列の計算 : 後期試験でやる予定 三つめの応用 : 一次方程式の解法 == §5 一次方程式の解法 未知数 n 個 : x_1,..,x_n 式 m 個 の一次方程式系 (1) a_11 x_1 + a_12 x_2 + .. + a_1n x_n = c_1 a_21 x_1 + a_22 x_2 + .. + a_2n x_n = c_2 ... a_m1 x_1 + a_m2 x_2 + .. + a_mn x_n = c_m を考える。 これに対して、 a_11 a_12 .. a_1n A = ( a_21 a_22 .. a_2n ) ... a_m1 a_m2 .. a_mn c_1 c = ( c_2 ) ... c_m \~A = (A|c) x_1 x = ( x_2 ) ... x_n x_1 \~x = ( x_2 ) ... x_n -1 と置く。すると、元の連立方程式は、次のように表現できる。 A x = c (1') \~A \~x = 0 (1") これに対して、P : m 次元正則行列とすると、 P \~A \~x = o となる。つまり、正則行列をかけても、式の意味は変えない。 # 基本変形を利用して、P \~A の形をできるだけ簡単にできると嬉しい。 [定理] (1') と (1") は同値 正則行列は左からしかかけられない ( Ax の形なので PAx はできるが APx とはできない .. ) => 行の基本変形しか使えない # 変数の変換をすれば、列の変換に相当する形にできる => 答のと変数の対応が入れ替わるので、最後に答を出す時にまちがえないように.. prof) # 2 step で証明を行う # rank A = r を示す # \~A -> \~B とできることを示す。 [5.1] B = ( 1 0 .. 0 b_{1r+1} .. b_n d_1 ) 0 1 .. 0 b_{1r+1} .. b_n d_1 ) の時 r = rank B \~A -> \~B なら A -> B なので、 \~B = (B|d) と置くと、 rank A = rank B = rank F_m,n(r)=r [\~A -> \~B とできること] A = 0 の時は Okey A \ne 0 の時 # 本当は、帰納法を使うほうが厳密だが、実際の計算に合せて証明する 行、列の変換によって、 (1,1) 成分 \ne 0 とできる (1,1) を要に一列を掃き出せば 1 | ... 0 | A_1 A_1 = O なら、Okey、そうでなければ、(2,2) で..以下同様に行う できなくなったら、\~B になっている # 連立方程式を解くときも、この手順で行う。 == 変換を繰り返してできた最終結果の式 \~B x = o (2') が表す、連立方程式は、次のようになる。 x_1 b_{1r+1} x_{r+1} + .. + b_{1n} x_n = d_1 .. x_r b_{rr+1} x_{r+1} + .. + b_{rn} x_n = d_r 0 = d_{r+1} ... 0 = d_{m} # この方程式の意味は、次のようになる。 d_{r_1} - d_{m} で 0 でないものがあれば、解なし そうでなければ、パラメータ変数 \alpha_{r} 〜 \alpha_{N} を用いて x_{r+1} = \alpha_{r} .. x_{N} = \alpha_{N} # [注意] N = max(n,m) とおいて、 x_1 = d_1 - b_{1r+1} \alpha_{r} - .. - b_{1m} \alpha_{n} x_2 = d_2 - b_{2r+1} \alpha_{r} - .. - b_{2m} \alpha_{n} ... x_r = d_r - b_{rr+1} \alpha_{r} - .. - b_{rm} \alpha_{n} x_{r+1} = \alpha_{r_1} .. x_{N} = \alpha_{N} が答。 ベクトル表示すれば - b_{1r+1} - b_{1n} x = d + \alpha_{r+1} ( - b_{2r+1} ) + .. + \alpha_{n} ( - b_{2n} ) ... ... - b_{rr+1} - b_{rn} 0 0 ... ... 0 0 となる。 [注意] 列の入れ換えた時には、変数も入れ替える必要がある。 [5.2] 上記の結果をまとめたもの。 [例] 3 x_2 + 3 x_3 - 2 x_4 = -4 x_1 + x_2 + 2 x_3 + 3 x_4 = 2 x_1 + 2 x_2 + 3 x_3 + 2 x_4 = 1 x_1 + 3 x_2 + 4 x_3 + 2 x_4 = -1 # 途中、列の入れ換えが入るので、その時に変数の順番を変える x_1 7 -1 ( x_2 ) = ( -2 ) = \alpha ( -1 ) x_3 0 1 x_4 1 0 # このように形式的に行えば、計算機にも乗りやすい [系 5.3] (1) が解を持つ <=> rank A = rank \~A prof) \~B を考えると、d_r+1 .. d_m が 0 なら、既に標準形式であり rank \~B = r となる。 一方、 d_i に 0 でないものがあれば、その要素を r,r 成分に移動して 掃き出せば、標準形式になり、 rank \~B = r +1 になる。 すなわち、 (1) が解を持つ <=> d_i = 0 <=> rank \~B = r <=> rank \~A = r <=> rank \~A = rank A # 連立方程式が解を持つかどうかは、rank だけで判断できる [系 5.4] m = n で A が正則なら (1) は丁度 1 つの解を持つ prof) A が正則なので rank A = n よって、 \~B = (E|d) よって、 x = d となって ( パラメータ変数は現れず.. ) 解は一意 [別証明] A x = c なので、x = A^{-1}c よって、一意 [注意] 大学の連立方程式の場合 1) 解がない場合がある 2) 解が不定の場合がある その場合は「不定」で済まさず、きちんと「パラメータ形式」で答える == [配り物] 成績表 前期の場合 S A,B,C,D,E 後期も場合 点数がかいてある 英語(遠藤先生) 点数がついていない 受け取れなかったものは、教務課へ !!