2005/10/06 代数学幾何学及び演習 I (古津先生) 連立方程式 Ax = c (4) で、c = 0 の時に、これを「斉次一次方程式」と呼ぶ。 [定理] (4) は自明な解 x = 0 を持つ [定理] x_1, x_2,..,x_k が (4) の解なら、その線型和も解 (prof) 略 ## 間に合わなかった [5.5] (4) において、rank A = r ならば、(4) は n-r 個の特別な自明でない解 x_{r+1},..,x_{n} をもち、任意の解は、これらの線型結合として表すことができる。 また、x_{r+1},..,x_{n} は、どの一つも他の n-r-1 個のベクトルの線型和として 表すことができない。 # 最後の部分は、本当は、「線型独立」を意味するが、一般の n 次元での定義がされていないので、このような表現になっている。 [証明] (3') より x_1 d_1 -b_1r+1 ( x_2 ) = ( d_2 ) + \alpha_1 ( -b_2r_1 ) .. .. .. x_n d_r 0 || || || x 0 x_{r+1} (略) 系 [5.6] n>m なら、(4) は少くても、一つの自明でない解を得る prof) rank A = r <= min(m,n) = m < n なので、n-r>=1 [5.5] より、n-r 個の自明な解を持つ # 定理 5.5 では、 n-r が 0 の可能性もあったが、5.6 では、n-r>0 なので、自明でない解がある。 [5.7] m=n とする。 (4) が自明でない解を持つ <=> A は正則でない prof) # 対偶同士の同値を示す (4) が自明でない解をもたない <=> n = r = rank A <=> A が正則 [5.8] A が正則 <=> 「x\ne0 => Ax \ne 0」 ( (4) は自明な解を持たない ) prof) [5.7] より # この定理は、線型空間の所でよく使う == # 斉次でないものと斉次なものの関係を考える Ax=c (1') に対して Ax=0 (4) を(1') に対する、斉次方程式と言う。 [5.9] (1') の一つの解を x_0 を固定すると、(1') の任意の解は、 x_0 に(4) の解を加える ことによって、得られる。 {x|Ax = c} = {x| x=x_0+y, Ay=0} prof) (=>) y を (4) の解とすると、 A(x_0+y) = Ax_0 + Ay = c + 0 = c (<=) x を (1') の解とすると、 y=x-x_0 とすれば、 Ay = Ax - Ax_0 = c-c = 0 よって、 y は(4) の解 で、 x = x_0 + y となる。 # n = 3 つまり、空間の場合を考えてみる。 (1') 解は、 r-3 = 1 の時 x = p_0 + \alpha v # 点 p_0 を通って、適当な距離だけ、v の方向に進んだもの # 空間上の直線 r-3 = 2 の時 x = p_0 + \alpha_1 v_1 + \alpha_2 v_2 # 点 p_0 を通って、適当な距離だけ、v_1, v_2 の方向 # 空間上の平面 とくに、(4) は、p_0 が 0 すなわち、原点なので、それぞれ 上と並行で原点を通る直線 上と並行で原点を通る平面 に対応する。 == 問 イ) 解なし # \~A から \~B への変形ができること # \~B から解が作れること # 解が不定の場合でも、答が必要 # 途中で、列の交換があった場合も正確に答えられること == §6 内積とユニタリ行列・直交行列 def [内積] x, y : n 項目列ベクトル (n,1) 行列 とする。すると、 {}^tx : n 項目行ベクトル (1,n) 行列 となる。この時 {}^tx\bar{y} : (1,1) 行列 => これを単なる複素数と同一視する この値を、x と y の「内積」と呼び (x,y) で表現する。 # これを、こんどは、成分表示でやってみる。 x_1 y_1 x = ( x_2 ), y = ( y_2 ) ... ... x_n y_n の時、 (x,y) = \sum_{i=1}^n x_i \bar{y_i} (1) となる。 特に、x,y が実ベクトルならば、 (x,y) = \sum_{i=1}^n x_i y_i # 実数では、\bar を付けてもいみがないので.. 更に、 n=2 の時 => 平面ベクトルの内積 n=3 の時 => 空間ベクトルの内積 となるので、一般化になっている [6.1] (x_1+x_2,y) = (x_1,y) + (x_2,y) (x,y_1+y_2) = (x,y_1) + (x,y_2) # これは、定義が、行列の掛け算なので、当然成立する (cx,y) = c(x,y) (x,cy) = \bar{c}(x,y) # この \bar を忘れることが多い (x,y) = \bar{(y,x)} # この \bar を忘れることが多い ## ここまでの 5 つを、「共役線型性」と呼ぶ (x,x) >= 0 (x,x)=0 <-> x = 0 ## この 2 つを「正値性]と呼ぶ prof) (x,x) = x_1\bar{x_1}+x_2\bar{x_2}+..+x_n\bar{x_n} = |x_1|^2 + .. + |x_n|^2 >= 0 ( 0 の時は、x_1 = .. = x_n = 0 なので x=0 ) ||x|| = |x| = \sqrt{(x,x)} を x の「長さ」あるいは「ノルム」と呼ぶ [6.2] イ) |(x,y)| <= |x| |y| (シュワルツの不等式) ロ) |x+y| <= |x| |y| (三角不等式) # 三角形を作ったときに、一つの辺の長さは、他の辺の長さの和より小さい prof) イ) y = 0 の時 両辺が共に 0 なので、式は成立 y \ne 0 の時 任意の複素数 a, b に対して 0 \le |ax+by|^2 となる。これより、 a\bar{a}(x,x)+a\bar{b}(x,y)+\bar{a{b}(y,x)+b\bar{b}(y,y) = |a|^2|x|^2+a\bar{b}(x,y)+\bar{a{b}(y,x)+|b|^2|y| これは任意の a, b で成立するので、 a=|y|^2, b=-(x,y) を代入すると、 0 \le |y|^4|x|^2-|y|^2|(x,y)-|y|^2|(x,y)|^2-|y|^2|(x,y)|^2 = |y|^4|x|^2-|y|^2|(x,y)|^2 よって、 |y|^4|x|^2 \ge |y|^2|(x,y)|^2 ここで、|y| \ne 0 より |y| > 0 なので、両辺を |y|^2 でわると、 |y|^2|x|^2 \le|(x,y)|^2 |x||y|, |(x,y)| は共に正なので、両辺の平方根をとれば、 |y||x| \le |(x,y)| ロ) |x+y|^2 = |x|^2 + (x,y)+\bar{(x,y)}+|y|^2 \le |x|^2 +2|(x,y)|+|y|^2... (☆) # (☆)の所は、「複素数の性質」を利用している # これは次ぎに示す。 \le |x|^2 + 2|x||y| + |y|^2 (これは イ から) = (|x|+|y|)^2 よって、 |x+y| \le |x| + |y| (☆) の証明 z \in C => z + \bar{z} \le 2|z| prof) z = x + iy, x, y \in R とすると、 2 |z| = 2 \sqrt{x^2+y^2} \ge \sqrt{x^2| \ge 2x = (x+iy)+(x-iy) = z + \bar{z} def [直交] (x,y) = 0 の時、x,y は直交すると呼ぶ。 # 角度が定義されていないのだが..それでも、「直交する」と呼ぶ 問 1. |x+y|^2 + |x-y|^2 = 2(|x|^2+|y|^2) prof) # 左辺を、定義通り計算するだけで右辺になる 問 2. (x,y) = 0 => |x+y|^2 = |x|^2 + |y|^2 # これは、図形的には、ピタゴラスの定理と同じ # 逆は、実ベクトルでは成立するが、複素ベクトルの場合は成立しない場合がある prof) 左辺 - 右辺 = (x,y) + \bar{(x,y)} = 2 Re (x,y) ここで、(x,y) = 0 なら Re (x,y) = 0 なので、 = 0 # 次は逆 もし、x,y が実ベクトルならば、 Re (x,y) = (x,y) なので、 |x+y|^2 = |x|^2 + |y|^2 の時、 Re (x,y) = 0 よって、 (x,y) = 0 すなわち、直交 # 複素数の場合は逆が成立しない反例を作ることができる [反例] x = ( 1 ), y = ( i ) 0 0 とすると、 (x,y) = -i |x| = 1 |y| = 1 |x+y| = \sqrt{2} なので、 |x|^2 + |y|^2 = |x+y|^2 ところが、 |(x,y)| \ne 0 なので、逆が成立しない。 # 内積の計算ができるように !! # 後期の問題が解けない !! == 後期の履修登録をすること 来週の木曜に配布するので受け取ること !!