2005/10/13 代数学幾何学及び演習 I (古津先生) C^n = n 項ベクトル R^n = n 項ベクトル A : m,n 型 [6.3] (Ax,y) = (x,{}^t\bar{A}y) 逆に (Ax,y) = (x,By) => B = {}^t\bar{A} proof) [前半] (Ax,y) = {}^t(Ax)\bar{y} = {}^tx {}^tA\bar{y} = {}^tx {}^t\bar{\bar{A}\bar{y} = {}^tx {}^t\bar{\bar{Ay}} = (x,{}^t\bar{A}y) [後半] 0 = (Ax,y)-(x,By) = (x,{}^t\bar{A}y)-(x,By) = (x,({}^t\bar{A}y-B)y) ここで、x = ({}^t\bar{A}y-B)y とすると、 = ({}^t\bar{A}y-B)y),({}^t\bar{A}y-B)y) より、 ({}^t\bar{A}y-B)y = 0 よって、 {}^t\bar{A}y-B = O よって、 {}^t\bar{A}y = B [注意] A = O <-> Ax = 0 <-> (Ax,y) = 0 [def] {}^t\bar{A} を A の随伴行列(アジョイント行列)と呼び、A^* (エースター)で表す [Th] (A^*)^* = A (A+B)^*=A^*+B^* (AB)^* = B^*A^* [def] A が正方行列 = (a_ij) の時 A = A^* の時、「エルミート行列」と言う ( <=> a_ij = \bar{a_ji} ) 更に、A が実行列の時には、「実対称行列」と言う ( <=> a_ij = a_ji \in R ) A*A = E の時「ユニタリ行列」と言う 更に、A が実行列の時には、「直交行列」と言う [Th.] A : ユニタリ => A は正則 proof) A^{-1} = A^* [Th.] A,B : ユニタリ => AB : ユニタリ proof) (AB)^*(AB) = (B^*A^*)(AB) = B^*(A^*A)B = B^*EB = B^*B = E [Th.] A : ユニタリ => A^{-1} : ユニタリ proof) (A^{-1})^*(A^{-1}) = (A^*)^*(A^{-1}) = AA^{-1} = E # これより、ユニタリ全体は、群になるが、ここでは、群を学んでいないので、 # 詳しくは述べない。ここらへんは二年生で学ぶ。 [6.4] A : n 次正方行列の時、次の四つは同値 イ) A はユニタリ ロ) |Ax| = |x| ハ) (Ax,Ay)=(x,y) ニ) A = (a_1,..,a_n) としたとき、(a_i,a_j) = \delta_{i,j} proof) [方針] ロ) => ハ) => イ) => ロ) <=> ニ) [イ=>ロ] |Ax|^2 = (Ax,Ax) = (x,A^*Ax) = (x,x) = |x|^2 [ロ=>ハ] |x+y|^2 = |x|^2 + (x,y) + \bar{(x,y)} + |y|^2 |Ax+Ay|^2 = |Ax|^2 + (Ax,Ay) + \bar{(Ax,Ay)} + |Ay|^2 ここでロより (x,y) + \bar{(x,y)} = (Ax,Ay) + \bar{(Ax,Ay)} これに x の所に i x を代入すると、 i((x,y) - \bar{(x,y)}) = i{(Ax,Ay) - \bar{(Ax,Ay)}) この二つより、 (x,y) = (Ax,Ay) となる。 [ハ=>ロ] o = (Ax,Ay) - (x,y) = (x,A^*Ay) - (x,y) = (x,(A^*A-E)y) よって、 A^*A - E = 0 A^*A = E [イ<=>ニ] {}^tA\bar{A} = ( {}^ta_1 )(\bar{a_1} \bar{a_2} .. \bar{a_n}) {}^ta_2 .... {}^ta_n = ( ({}^ta_1 \bar{a_1} ) ({}^ta_1 \bar{a_2}) .. ({}^ta_1 \bar{a_n} ) ( ({}^ta_2 \bar{a_1} ) ({}^ta_2 \bar{a_2}) .. ({}^ta_2 \bar{a_n} ) ... ( ({}^ta_n \bar{a_1} ) ({}^ta_n \bar{a_2}) .. ({}^ta_n \bar{a_n} ) # ここまでは、常に成立 E とこの積を比較することにより、 {}^tA\bar{A} = E <=> (a_i,a_j) = \delta_{i,j} が解る。 [Col 6.4] A が実の時も同様 ( 証明もにたようなもの [ロ=>ハ] の後半がいらない ) [例] A = ( \cos{\theta} -\sin{\thita} ) \sin{\theta} \cos{\thita} は、二次直交行列 proof) A^* = ( \cos{\theta} \sin{\thita} ) -\sin{\theta} \cos{\thita} = ( \cos{-\theta} -\sin{-\thita} ) \sin{-\theta} \cos{-\thita} なので、 A^*A = E # これはイを使っているが、ロやハでも証明できる == def 合同変換 空間または、平面の点の変換で、二点間の距離を変えないものを空間 または平面の合同変換と呼ぶ すなわち、 T : P -> P' => |PQ| = |P'Q'| Q -> Q' ということ。 # 空間と平面は並行して説明できるが、空間の内容を平面に制限すれ # ば成立するので、以下では、主に空間だけで行う。 空間に一つの直交座標系を固定する。すると、空間の点の変換を V^3 の変換と同一視できる。 合同変換は、線型変換とは限らない、 なぜなら、平行移動は、合同変換だが、線型変換ではないから。 # 線型変換は、原点を移動しないが、平行移動は、移動してしまう ## 回転は、線型な合同変換 T_o : 原点 O を O 自身に移す合同変換とする。 一直線上に三点 P,Q,R があるとき |PQ|+|QR|=|PR| となる。この時、T_o によって変換された結果 P', Q', R' でも |P'Q'|+|Q'R'|=|P'R'| となる。 すなわち、 P', Q', R' は一直線上にある => T_o は、直線を直線に移す # ここまでが準備、以下、線型性を示す。 x \in V^3, c \in R に対して OP = x, OQ = cx となる、P,Q を取る。 すると、T_o は、原点を原点、直線を直線に移すので、 OP'=cOQ' となる。 即ち T_o(cx) = cT_o(x) # 定数倍が外に出る となる。 x, y \in V^3 に対して、 x = OP, y = OQ, x+y = OR とすれば、 OP=OP', OQ'=OQ, PQ=P'Q' より、 三角形 OPQ は OP'Q' と合同 同様にして、 平行四辺形 OPRQ は OP'R'Q' と合同 これから、 OR' = OP' + OQ' がいえる。 すなわち、 T_o(x+y) = T_o(x) + T_o(y) # 和が外に出る となる。 この二つより、T_o は、線型変換。また、T_o は、長さをかえないので、 \exist A : 三次正方行列 s.t. T_o(x) = T_A(x) = Ax で、しかも、A は直交行列になっている。 # ここまでで、原点を移動しない変換が解ったので、今度は、原点を移動する変換 T_1 : 平行移動とし、 T_1 : O -> O' とする。 この時 OO' = a とすれば、 T_1(x) = x + a と表現できる。 T:一般の合同変換 とすると T : O -> O' となる。 そこで、 OO' = a とおき、 T_1(x) = x + a と考えれば、 T_1^{-1}(x) = x - a となる。 今、 T_o = T_1^{-1} T とおくと T_o : O -> O となる。 これは、原点を変えない合同変換なので、 \exist A : 三次直交行列 s.t T_o(x) = Ax T = T_1 T_o となるので、 T(x) = Ax + a となる。 # このままだと、線型変換にならないので、これまでの議論が使えない # 仮想的に、線型の形に変形して扱う方法がある x, A に対して、 \~x = (x) \in R^4 1 \~A = ( A a ) 0 1 とおくと \~A\~x = ( Ax + a ) = ( T(x) ) 1 1 となる ( つまり、行列の掛け算の形になった.. ) この \~x を「非斉次位置ベクトル」と呼ぶ。 [Th. 7.1] 逆のこの形の変換は全て、合同変換 prof) T(x) = Ax+a = T_1 T_o (x) T^{-1} : T の逆変換も合同変換で \~A^{-1} = ( A^{-1} -A{-1}a ) 0 1 となる。 proof) T = T_1 T_o より T^{-1} = T_o^{-1} T_1^{-1} よって、 T^{-1}(x) = A^{-1} ( x - a ) = A^{-1}x - A^{-1}a これから、上の式が成立 逆に、上記で定義された \~A^{-1} が \~A の逆行列かどう かは掛けてみれば解る [Th] T , S が合同変換 => T S も合同変換 # T も S も長さを変えないので、合成しても長さをかえないのは明らかだが.. proof) S T (x) = S(Ax+a) # 合同変換の全体も群になるが.. ( やるのは来年 )