2005/10/27 代数学幾何学及び演習 I (古津先生) # 前回に引続き text p.77 の問題 問 1 の後半 4 次の置換を、それぞれ互換の積で表し、符号を求める。 # 黒板が間に合わなかったので.. => 自分でやる 問 2 S_n の個数は n! であることに注意 A_n : 偶置換全体の集合 B_n : 偶置換全体の集合 \tau : 互換 とすれば、 L_{\tau} が全射であることは以前行った。 \sigma \in A_n に対して、L_{\tau}(\sigma} \in B_n \sigma \in B_n に対して、L_{\tau}(\sigma} \in A_n なので、 L_{\tau} は、A から B へ全単射 よって、 |A| = |B| よって、 |A| = |B| = \frac{1}{2}{|S_n|} = \frac{n!}{2} 問 3 n = 2m の時 \sigma = (1 n)(2 n-1)..(m m+1) よって、 sgn(\sigma) = (-1)^m n = 2m+1 の時 \sigma = (1 n)(2 n-1)..(m m+2) よって、 sgn(\sigma) = (-1)^m # 置換は、行列式の所で使うので、行列式で使う部分だけ理解していればよい。 # 行列式に無関係な置換の性質は、2 年生以降でやるので、知らなくてよい。 == §行列式 [定義] (n 次の多項式の行列式) n^2 の変数 x_{ij} ( i,j = 1,..,n ) の多項式 \sum_{\sigma \in S_n} sgn\sigma x_{1\sigma{1}}x_{2\sigma{2}}..x_{n\sigma{n}} を、「 n 次の行列式」と呼び、 | x_11 x_12 .. x_1n | | x_21 x_22 .. x_2n | | .. | | x_n1 x_n2 .. x_nn | で表す。 # これは、多項式の行列式だが、実際は ( 各々の変数 x_ij に、行列 A = # {a_ij} の要素 a_ij を代入すれば.. ) 、行列の行列式と同じものなので、 # 以下は区別せずに考える。 [例] n = 1 の時 |x_11| = \sum_{\sigma \in S_1} sgn\sigma x_{1\sigma{1}} S_1 は 1_1 しかないので、結局、動かさず、sig 1_1 = 1 なので = x_11 n = 2 の時 |x_11 x_12| =\sum_{\sigma \in S_2} sgn\sigma x_{1\sigma{1}}x_{2\sigma{2}} |x_21 x_22| ここで、 S_2 = { ( 1 2 ), ( 1 2 ) } 1 2 2 1 なので、 = x_11 x_22 - x_12 x_21 となる。 n = 3 の時 サラスの公式 n = 4 以上の場合は、簡単ではない ( 襷掛けは使えない !! ) 定義 ( 行列の行列式 ) A = (a_ij) : n 次正方行列に対して、 \sum_{\sigma \in S_n} sgn\sigma a_{1\sigma{1}}a_{2\sigma{2}}..a_{n\sigma{n}} を 「A の行列式」と呼び、 | a_11 a_12 .. a_1n | | a_21 a_22 .. a_2n | | .. | | a_n1 a_n2 .. a_nn | や、|A|, det A などと表す。 また、 A = (a_1,..,a_n) の時 det ( a_1, .., a_n ) も A の行列式である。 [例] 対角成分以外の成分が、全て 0 であるような行列の行列式の値は、 対角成分の積になる。 すなわち、 |a_11 0 .. 0| | 0 a_22 .. 0| = a_11 a_22 .. a_nn | .. | | 0 .... a_nn| である。 更に、これから、 |E| = 1, |O| = 0 がいえる。 proof) A = (a_ij) a_ij = 0 (i\ne j) = a_ii (i = j) とする。 i \ne \sigma(i) の時 a_{i\sigma(i)} = 0 よって、行列式の加える項目内、i \ne \sigma(i) であるような 項目は 0 になるので考えなくてもよい。 逆に、考えなければならないのは、 i = \sigma(i) の場合で、これは、\sigma = 1_n の場合で、一通り よって、 |A| = a_11 a_22 .. a_nn [例] 行列 A の一つ行 (あるは列) が 0 なら、 |A| = 0 prof) 第 i 行が 0 であるとする。 a_ij = 0 ( \all j ) よって、 |A| = \sum sig\sigma ... a_i\sigma(i) ... || 0 = 0 同様に、j 列が 0 であれば、何処の a_i\sigma(i) で\sigma(i) = j となるので、どこかの項目が 0 になり、全体として 0 [例] |cA| = c^n|A| prof) cA = B = (b_ij)=(c a_ij) |cA| = |B| = \sum sgn\sigma b1\sigma(1) .. = \sum sgn\sigma c a1\sigma(1) .. = c^n \sum sgn\sigma a1\sigma(1) .. = c^n |A| [定理 2.1] |{}^tA| = |A| prof) A = (a_ij) |A| = \sum_{\sigma \in S_n} sgn\sigma a1\sigma(1) .. ここで、[定理 1.2] より、\sigma が S_n を動く時、\sigma も S_n 全体を動くので、 = \sum_{\sigma^{-1} \in S_n} sgn\sigma a1\sigma(1) .. ここで、 \sigma = ( 1 2 .. n ) \sigma(1) \sigma(2) .. \sigma(n) の時 \sigma^{-1} =( 1 2 .. n ) \sigma^{-1}(1) \sigma^{-1}(2) .. \sigma^{-1}(n) = ( \sigma(1) \sigma(2) .. \sigma(n) 1 2 .. n ) sgn \sigma^{-1} = sgn \sigma であることに注意すると、 = \sum_{\sigma \in S_n} sgn\sigma a\sigma(1)1 .. となるが、これは、|{}^tA| に等しい。 [定理 2.2] (列に関する、 n 重線型性) イ) det ( a_1, .., a_j' + a_j'', .. a_n ) = det ( a_1, .., a_j', .. a_n ) + det ( a_1, .., a_j'', .. a_n ) ロ) det ( a_1, .., c a_j, .. a_n ) = c det ( a_1, .., a_j', .. a_n ) proof) A = ( a_1, .., a_j' + a_j'', .. a_n ) とすれば、 |A| = |{}^tA| = \sum_{\sigma \in S_n} sgn\sigma a\sigma(1)1 .. (a_j\sigma{j}+a_j\sigma{j}')...a_n\sigma{n} = \sum_{\sigma \in S_n} sgn\sigma a\sigma(1)1 .. a_j\sigma{j}'...a_n\sigma{n} \sum_{\sigma \in S_n} sgn\sigma a\sigma(1)1 .. a_j\sigma{j}''...a_n\sigma{n} = det ( a_1, .., a_j', .. a_n ) + det ( a_1, .., a_j'', .. a_n ) # ロ) も同様 [定理 2.3] \tau \in S_n に対して det ( a_\tau(1), .. a_\tau(n) ) = sgn \tau det ( a_1, .. a_n ) proof) det ( a_\tau(1), .. a_\tau(n) ) = | a_1\tau(1) .. a1\tau(\sigma(1)) ... | | | = \sum_{\sigma \in S_n} sgn\sigma a\sigma(1)\tau\sigma1 .. a_j\tau\sigma{j}...a_n\tau\sigma{n} ここで、 sgn\tau\sigma = sgn\tau sgn\sigma (sgn\tau)^2 = 1 であり、 \sigma が S_n 全体を動けば \tau\sigma が S_n 全体を動く ことから、 = sgn\tau |A| # 二つの行を交換するという基本変形は、置換を一度行っていることになるので、行列式の符号を変更していることに繋がる !! [系 2.4] A の二つの列 ( または行 )が一致すれば、|A| = 0 proof) a_i = a_j とする。 |A| = |(i,j)A| = sig(i,j) |A| = -|A| なので、 |A| = 0 [定理 2.5] ( 基本変形による行列式の変化 ) A のある行(又は列) を他のある行 (列) に定数倍して加えて得られる行列 の行列式は元の行列の行列式に等しい。 proof) det( a_1, .., a_i, .., a_j + c a_j, ..., , a_n ) = det( a_1, .., a_i, .., a_j, ..., , a_n ) + c det( a_1, .., a_j, .., a_j, ..., , a_n ) = det( a_1, .., a_i, .., a_j, ..., , a_n ) + c 0 = |A| [まとめ] 基本変形 c 倍 => c 倍 交換 => -1 定数倍を加える => 変らない