2005/11/10 代数学幾何学及び演習 I (古津先生) 前回やったこと det(a_1,..,a_n) = \sum_{\sigma \in S_n} sgn \sigma a_{1\sigma(1)}..a_{n\sigma(n)} と、行列式を定義すると |{}^tA|=|A| |A| は n 重線型性を持つ |A| は交代性を持つ 定理 2.6 F(x_1,..,x_n) がn 重線型性を持つ, 交代性を持てば、 F(x_1,..,x_n) = F(e_1,..,e_n) det(x_1,..,x_n) # F(e_1,..,e_n) は定数であることに注意 proof) 任意の n 次元ベクトル x_j は、成分表示を行い、 x_1j x_j = ( x_2j ) = \sum_{i=1}^n x_{ij}e_i .. x_nj のように表現できる。 これを F に代入し、多重線型性を利用すると、 F(x_1,..,x_n) = F( \sum_{i_1=1}^n x_{ij}e_{i_1}, .., \sum_{i_n=1}^n x_{ij}e_{i_n}) = \sum{i_1=1}^n .. \sum{i_n=1}^n x_{i_1 1}..x{i_n n} F(e_{i_1},..,e_{i_n}) ここで、i_1,..,i_n の中で同じものがある -> 0 => 交代性 ここで、i_1,..,i_n が全て異る -> 1,..,n の並び変え すなわち、 ( 1 2 .. n ) = \sigam \in S_n i_1 i_2 .. i_n よって、 = \sum_{\sigma \in S_n} x_{i_1 1}..x{i_n n} F(e_\sigma(1),..,e_\sigma(n)) = \sum_{\sigma \in S_n} x_{i_1 1}..x{i_n n} \sig \sigma F(e_1,..,e_n) ここで、 F(e_1,..,e_n) は定数なので前にだせば = F(e_1,..,e_n) \sum_{\sigma \in S_n} x_{i_1 1}..x{i_n n} \sig \sigma = F(e_1,..,e_n) det(x_1,..,x_n) # 多重線型性と、交代性は強い条件なので、殆ど満すものがない # 満すものは、せいぜい、行列式とそのスカラー倍だけ.. ## この性質は、後に利用する、 ## 多重線型性と交代性を利用する例 例 4 ( バンデルモンドの行列式 ) | 1 1 .. 1 | | x_1 x_2 .. x_n | = F(x_1,..x_n) = Δ(x_1,..,x_n) | x_1^2 x_2^2 .. x_n^2 | | .. | | x_1^n x_2^2 .. x_n^n | # 帰納法でも証明できるが、ここでは、多重線型性と、交代性質から直接示す ## この行列式は時々出てくる proof) F は x_i - x_j で割切れるので、Δで割切れる 次数を比較すると共に同じ n(n-1)/n と同じなので、F はΔの定数倍 特定な項に関係して係数を比較すると共に 1 なので F = Δ 定理 2.7 二つの行列の積の行列式は、元の行列の行列式の積になっている |AB|=|A| |B| proof) |AX| = det( Ax_1, Ax_2, .., Ax_n ) = F(x_1,..,x_n) すると、F は n 重線型性と、交代性を持つ、実際 F(x_1,..,x_i+x_i',..,x_n) = det( Ax_1,.., x_i+x_i', .., Ax_n ) = det( Ax_1,.., x_i, .., Ax_n ) + det( Ax_1,.., x_i', .., Ax_n ) = F(x_1,..,x_i,..,x_n) + F(x_1,..,x_i',..,x_n) F(x_1,..,c x_i,..,x_n) = det( Ax_1,.., c x_i, .., Ax_n ) = c det( Ax_1,.., x_i, .., Ax_n ) = c F(x_1,..,x_i,..,x_n) より、n 重線型性 F(x_{\delta(1)},x_{\delta(2)},..,x_{\delta(n)}) = det(A\delta(1)},Ax_{\delta(2)},..,Ax_{\delta(n)}) = sgn(\sigma) det( Ax_1,.., x_i, .., Ax_n ) = sgn(\sigma) F(x_1,.., x_i,..,x_n) より、交代 よって、定理 2.6 より F(x_1,..,x_n) = F(e_1,..,e_n)det(x_1,..,x_n) = det(a_1,..,a_n)det(x_1,..,x_n) = |A||X| [別証明] (問) AX=B=(b_ij) とする |AX| = \sum_{\sigma \in S_n} sgn \sigma b_{1\sigma(1)} .. b_{n\sigma(n)} = \sum_{\sigma \in S_n}(\sum_{j_1=1}^n a_{1j_1}x_{j_1\sigma(n)) .. (\sum_{j_n=1}^n a_{1j_n}x_{j_n\sigma(n)) =\sum_{j_1=1}^n\sum_{j_n=1}^n a_{1j_1}..a_{n j_n}) \sum_{\sigma \in S_n} sgn\sigma x_{1\sigma(1)}..x_{n\sigma(n)} これの後半は、det(x_1,..,x_n) この和で、j_1,..,j_n の中に同じものがあれば 0 この和で、j_1,..,j_n が異れば、並べ替えなので、 すなわち、 ( 1 2 .. n ) = \tau \in S_n j_1 j_2 .. j_n よって、 = \sum{\tau \in S_n} a_{1\tau(1)}..a_{n\tau(n)}..sum_{\tau \in S_n} x_{\tau(1)}..x_{\tau(n)} = \sum{\tau \in S_n} a_{1\tau(1)}..a_{n\tau(n)}..sum_{\tau \in S_n} sgn\tau x_1}..x_n} = |A||X| # 定理 2.6 を利用しなくても、定義からも証明はできる。 # ポイント : 沢山の和が出るが、交代性より、ほとんどが 0 になって、 # 省略出来る所。これは、2.6 でも同じ。 定理 2.8 行列 |A| の対称区分けを考える A = ( A_11 | A_12 ) O | A_22 又は A = ( A_11 | O ) A_21 | A_22 の時 |A| = |A_11| |A_22| proof) A_11 が n 次, A_22 が m 次とする。 A_22 が E の場合を考える |A| = \sum_{\sigma\inS_n} a_{1\sigam(1)}+..+a_{n+m\sigam(n+m)} i > m + 1 では、sigma(1) = 1 でない時には 0 になる よって、 \sigma = ( 1 2 .. m m+1 m+n ) i_i i_n m+1 m_n ) すなわち、 = |A_11| 一般の場合 X=(x_1,..,x_n) F(x_1,..,x_n) = | A_11 O | | A_21 X | とすれば、n 重線型と交代性が成立するので F(a_1,..xn)=F(e_1,..,e_n)|X| ここで F(e_1,..,e_1) は上記より |A_11| よって、F(x_1,.x_n) = |A_11||X| # 定理 2.6 はえらく強力 # なので後半は簡単 ## 定理 2.6 が応用できる問題があるとよいのだが、定理 2.6 が強力すぎるので、その応用も難しいものが多く、数少い # 行列の計算の時に凄く便利(計算が楽になる) ## § 3 をすると、機械的に計算する方法を学ぶが、この方法も是非、使える時にはつかって欲しい。 系列 2.9 イ) | a_11 a_12 .. a_1n | | 0 a_22 .. a_2n | = a_11 |a_22 .. a_2n | | 0 .. | | .. | | 0 a_n2 .. a_nn | |a_n2 .. a_nn | proof) 定理 2.8 より ロ) ( 上三角行列 ) | a_11 a_12 .. a_1n | | 0 a_22 .. a_2n | = a_11 a_22 .. a_nn | 0 0 .. | | 0 0 .. a_nn | proof) イ) の繰り返し == # 話題が少し変る 行列の階数と行列式 A(m,n) 型の行列 A の任意に p 個の業と p 個の列を取り出して作った p 次正方行列を A の p 次症行列という => {}_mC_p \times {}_nC_p 個あることに注意 定理 2.10 (m,n) 型行列 A の階数は、A の 0 でない小行列式の最大次数に等しい # (1,1) の時は簡単 # これの証明は来週行うことにして、今週は、次の系を先に示す。 系 2.11 A : n 次元正方行列の時 A が正則 <-> |A| \ne 0 proof) 既に、 A が正則 <-> rank A = n なる。 ところが、定理 2.10 より rank A = n <-> |A| \ne 0 なので、よって、 A が正則 <-> |A| \ne 0 == [12 月の話] 第三章の内容 メインは行列式の計算 第二章の内容の最後も少し入るかも # 名前と番号が重要 !! 4 次元, 5 次元の具体的な数の問題が出る n 次元の問題 ( 未知数が入っている場合 ) # 基本は、「次元を下げる」 ## 基本変形で 0 の項目を沢山ふやす ## 行の交換は符号が変換 ## 行の定数倍は、外にでる 12/8, 12/15 で計算問題もやる