2005/11/17 代数学幾何学及び演習 I (古津先生) # 前回のやりのこしから.. 定理 2.10 rank(A) = r(A) A の 0 でない小行列式の最大次数を s(A) # s(A)=r(A) を示したい A を基本変形で標準形にすると F(r) になる。 s(F(r)) を考えると、 |E_r| = 1 なので、s(F(r)) >= r であることが解る 逆に、r+1 個数の列を選ぶと、全ての列が 0 の列を選ぶ必要がある この場合、r+1 のサイズ小行列は 0 になる これにより、 s(F(r))=r=r(F(r)) # つまり、標準形では、s と r が一致する # r が標準変形で、影響を受けないので.. よって、 s(A) が基本変形によって、変化しないことを示せばよい。 A を B に基本変形する A の 0 でない s(A) 次の小行列の一つをΔとする B の対応する小行列をΔ' とする。 # 基本変形は、三種類あるが、どれでも変らないならば Okey # 個々に確かめる。 (1) 2 つの行の入れ換え # 行列式の符号は変るが、0 かそうでないかには関係ないので、 s(A)=r(A) (2) ある行に 0 でない数をかける Δ' = cΔ =\= 0 よって、 s(A)=r(A) (3) i 行に j 行目の c 倍を加える # i, j が Δにはいるかどうかで場合わけ a) i が共にΔにはいらなければ Δ'はΔと同じ b) i と j が共にΔに入る Δ' はΔ の i 行目が変化するが 他の行の定数倍を加えても変化なし c) i は中だが、j は外の場合 Δ_1 を i 行目を j 行目に置き換えたものとする。 Δ_1' は ( この変形で影響をうけないので.. ) Δ_1 に等しい すると、 Δ' = Δ+cΔ_1 より Δ' - cΔ_1' = Δ =\= 0 よって、 Δ' と Δ_1 のどちらか一方は =\= 0 すなわち、 s(B) >= s(A) 基本変形は逆変形も可能なので、 s(B)= s(A) == §3 行列式の展開 A: n 次正方行列 第 i 行と第 j 列を取り除いた n-1 次の小行列式を A の第(i,j)行列式といい Δ_{i,j} で表す。 さらに、符号(-1)^{i+j} を掛けたものを A の第(o,j) 余因子とよび、 \~a_{i,j} で表す。 定理 3.1 A=(a_{i.j}) : n 次元正方行列 |A| = a_{1,j}\~a{1,j}+a_{2,j}\~a{2,j}+..+a_{n,j}\~a{n,j} ( j = 1, n ) 第 j 列に関する展開 |A| = a_{i,1}\~a{j,1}+a_{i,2}\~a{i,2}+..+a_{i,n}\~a{i,n} ( i = 1, n ) 第 i 行に関する展開 proof) j=1 の場合 a_11 a_11 0 0 ( a_21 ) = ( 0 ) + ( a_21 ) + .. + ( 0 ) a_31 0 0 .. .. .. a_n1 0 0 a_n1 とすると、多重線型性を用いれば ( 定理 2.2 より ) a11 a12 .. a1n 0 a12 .. a1n 0 a12 .. a1n |A| = | 0 a22 .. a2n | + | a12 a22 .. a2n | + .. +| 0 a22 .. a2n | .............. .............. .............. 0 an2 .. ann 0 an2 .. ann an1 an2 .. ann # 系 2.9 を使いたいので、行の交換を行う符号がかわり = a_11 Δ_11 - a_12 Δ_21 + . + (-1)^{n-1} a_1n Δ_1n = a_11\~a_11 + a_11\~a_11 + .. + a_1n\~a_1n 一般の j の場合、 j 列を先頭にもってくれば、 |A| = (-1)^{j-1} | ... | あとは、j=1 の場合と同様に行う。 # この展開の定理を用いれば、n 次の行列式を n - 1 次の行列式に変形できる。 # 実際の計算では、最悪の場合は、これで行う。これが重要 !! ## 来月のテストで出る !! [例] 3 -2 5 1 Δ = | 1 3 2 5 | 2 -5 -1 4 -3 2 3 2 # これを上の定理で展開すると、三次の行列式が 4 つでる # 4 つも計算するのは大変なので、できれば 0 の多い行で展開したい # 0 の多い行がなければ、作ればよい => 基本変形の R が使える !! 0 -11 -1 -14 = | 1 3 2 5 | # R の基本変形を三回行った 0 -11 -5 -6 0 11 9 17 -11 -1 -14 = 1 (-1)^{2+1} | -11 -5 -6 | 11 9 17 -1 -1 -14 = -11 | -1 -5 -6 | # Q の基本変形を行った 1 9 17 1 1 14 = -11 | 0 4 -8 | # R の基本変形を 2 回行った 0 8 3 = -11 (1)(-1)^{1+1} | 4 -8 | 8 3 = -11 (76) = -836 # できるだけ 0 をふやすが、全部 0 にする必要はない ## 文字式の場合は、無理に 0 にしようとすると、場合分けが必要になるので大変 ## 複数の行列式がでてもきにしない 定理 3.2 a_1j\~a_1l + a_2j\~a_2l + ... + a_nj\~a_nl = δ_jl |A| a_i1\~a_k1 + a_i2\~a_k2 + ... + a_in\~a_kn = δ_ik |A| proof) j=l の時は、定理 3.1 と同じ形なので 左辺 = |A| = δ_jl |A| j=/= の時、左辺は、j 行目と l 行目が同じ行列の行列式なので 0 即ち 左辺 = 0 = δ_jl |A| いずれの場合も、成立する。 定義 (余因子行列) \~a_{j,i} を (i,j) 成分とする n 次行列を A の余因子行列と呼び \~A で表す # 「\~a_{j,i} が (i,j) 成分」と、i と j が交換していることに注意 \~AA の (l,j) 成分を考えると # 行列の積の定義から \sum_{k=1}^n ( \~Aの (l,k) 成分 \times A の (k,j) 成分 ) = \sum_{k=1}^n \~a_kl a_kj = δ_jl |A| 同様に A\~A の (i,k) 成分も δ_jk |A| 即ち、 A\~A = \~AA = |A| E_n 系[3,3] 系[3,4] A : n 次行列 A が正則 <=> |A| \ne 0 A が正則の時 A^{-1} = \frac{1}{|A|}\~A # 逆行列をこの系で逆行列を計算してもよい ## が、実際には計算が大変なので、やっぱり、基本変形 proof) # 上の部分は、すでに証明したので、下だけ \frac{1}{|A|}\~A = E_n より A^{-1} = \frac{1}{|A|} # 基本変形に関する注意 基本変形を行う場合は、原則としてやじるしを使う必要がある # しかし、場合によっては、等号でもよい場合があるので注意 Rank の計算 rank A = rank B 逆行列 (A|E) → (E|B) 行列式 |A| = k |B| P の時 k は -1 Q の時 k は 1/c R の時 k は 1 == 12/8, 12/15 12/8 比較的前のほう 2 章の終から3 章の§1 まで 逆行列 連立方程式 置換 12/15 行列式の展開を山程