# 5 分位遅れた.. [可能世界解釈とクリプキ意味論] 代数的意味論では□A が必然性を表しているという元々の意図が直観的な形で反映されない。 # 記号の解釈を元の意味で考える ◇ A : A が可能である ( ◇ A \def \not □ \not A ) A が正しいような世界を想像できる □ A : A が必然である 想像し得るあらゆる世界で A が正しい => 可能世界解釈 ( possible world semantics ) # A はある、世界では正い ( 実際にあった.. ) が、他の世界では正しくない ( 起きえたかもしれないが、おきなかった.. ) : 反実仮想現実 [クリプキ意味論] W : 空でない集合 ( 可能世界全体の集合 ) v : 付値 v(w,p) ( w \in W, p : 命題 ) v(w,p)=1 : p は w の世界で正しい。 w \True p v(w,p)=0 : p は w の世界で正しくない。 w \not\True p 論理式の意味 w \True A \and B <=> w \True A かつ w \True B w \True A \or B <=> w \True A または w \True B w \True A \arrow B <=> w \not\True A または w \True B w \True \not A <=> w \not\True A w \True □ A <=> 世界 w で想像し得る全ての世界 w' で w' \True A # 「世界 w で想像し得る全ての世界 w'」とは ? # R : W 上の 2 項関係 # wRw' の時に「世界 w で世界 w'を想像し得る」 <=> W の全ての w' で [ wRw' ならば w' \True A ] 「w \True A」の値に関わる、様々な要素 W はどんな世界を含むか ( w はどんな世界か ) W にどんな関係 R が入っているか R は2項関係という以上の制約がない.. □が、「必然」を意味するように、R に制約を与えたい.. 付値 v はどのように決っているか 2 項関係 R には、「必然性」の持つニュアンスに応じられるように、様々な条件をつけ加える。 反射性 : 全ての w に対して wRw # 自分自身の世界も、自分自身から想像し得る。 推移性 : w_1Rw_2 かつ w_2Rw_3 ならば、w_1RW_3 # ある世界で想像された世界で、更に想像される世界は、元の世界でも想像可能 対称性 : wRw' ならば w'Rw # 我々の世界から相手の世界が想像できるならば、相手の世界からも、こちらの世界が想像できる。 # 他にも色々な条件を付け加える可能性がある # 条件を追加する毎に「正しい」という概念が変る。 # 様相論理記号以外の論理記号(\and,\or,\not,\imp..)は、解釈が決っている。 # しかし、様相論理記号(□,◇)の解釈は色々ありうる。 様相論理(□,◇)は、我々が解きたい問題に応じて適切な W, R を取って変更する。 [代表的な R の取りかた] 制限なし 推移的 反射的 反射的, 推移的 推移的, 対称的 反射的, 推移的, 対称的 [クリプキ解釈における恒真] (W,R) : 可能性世界 で A が恒真 任意の付値 v と任意の w に対して w \True A # 恒真より強い概念もある 「任意の (W,R) に対して、A が (W,R) で恒真」 という概念(強恒真????)も重要 # 更に、R に推移性, 反射性等の条件を付けた上での「強恒真????」という概念もある。 # R に推移性, 反射性を入れることによりどんなことが起きるか ? [例] (W,R) が反射的ならば T : □A \imp A は (W,R) で恒真 [prof] W の勝手な要素 w を取り w \Ture □A \imp A を示す。 これは、 w \not\Ture □A または w \Ture A と同じ意味。 今、 w Ture □A と仮定する。すると、定義により、 全ての w' \in W に対して ( wRw' ならば w' \True A ) 特に、 w' として w を取ると wRw ならば w \True A ところが、R は反射的なので、 wRw つまり、 w \True A ここで、w は任意のものをとったので、 □A \imp A は (W,R) で恒真 逆に、T : □A \imp A が、(W,R) で恒真ならば、実は、R は、反射性を持つ (prof) (対偶を取る) (W,R) が反射的でない とする。すると、 「w_1Rw_1 でない」w_1 を取ることができる ここで、付値 v を次のように定義する v(w,p)= 1 ( w \ne w_1 ) = 0 ( w == w_1 ) すると、 w_1 \True □A <=> \forall w ( w_1Rw => w\True p) <=> \forall w ( w_1 \ne w => w\True p) 一方、 w_1 \not\True p なので、この二つから、 w_1 \not\True □p \imp p がいえるので、 T が恒真でない といえる ( p が反例 ) [例] (W,R) が推移的ならば、 4 : □A \imp □□ A は (W,R) で恒真 (prof) まず、 w_1 \True □A <=> \forall w ( w_1Rw ならば w \True A ) と仮定する。 このとき、 w_1 \True □□A <=> \forall w_2 ( w_1Rw_2 ならば w_2 \True □ A) <=> \forall w_2 ( w_1Rw_2 ならば \forall w_3 ( w_2Rw_3 ならば w_3 \True A) ) <=> \forall w_2 ( w_1Rw_2 かつ w_2Rw_3 ならば w_3 \True A) なので、この最後の部分が成立することを示す。 ここで、R が推移的であるので、 w_1Rw_2 かつ w_2Rw_3 ならば w_1Rw_3 よって、仮定より、 w_3 \True A なので、最後の部分が成立している。ここで、w_2, w_3 は、 任意なので、 w_1 \True □□A よって、 w_1 \True □A \imp □□A w_1 は任意なので、 □A \imp □□A は、(W,R) で恒真 # 逆も成立する。 逆に 4 が恒真であるような (W,R) は推移的 (prof) v(w,p) = 1 ( w_1Rw ) = 0 ( それ以外 ) そうすると、 w_1 \True □p w_1 \not\Ture □□p なので、恒真でない。 # 「ある命題が恒真であること」が、「R に特別な性質をもたらす」ことがある ( 何時も起きるわけではないが、上記の T, 4 がそのような例 [例] ( 任意の R で成立する恒真性 ) K : □(A\imp B) \imp (□A \imp □B) は、任意の (W,R) で恒真 prof) w \Ture □(A\imp B) かつ w \True □A を仮定して、 w \Ture □B を導けばよい。 これは、 wRw' ならば w' \Ture B を意味する。 ここで、 wRw' と w \True □(A\imp B) より w' \Ture A\imp B wRw' と w \True □A より w' \Ture A この二つより、 w' \Ture B よって、示された。 [例] (W,R) で A が恒真ならば、□A が恒真 prof) 任意の w \int W で w \True A とする wRw' に対する w' に対して、(仮定より w' \True A なので) w \Ture □A w は任意なので、□A は、(W,R) で恒真 [定理] (S4 の健全性) S4 で証明可能な論理式は 任意の反射的かつ推移的な (W,R) で恒真となる。 # 反射的かつ推移的な (W,R) をクリプキフレームと呼ぶ prof) S4 の T, 4, K は先程の例より、(W,R) で恒真 古典命題論理の公理も (W,R) で恒真 # 古典命題論理は、□が含まれないので W や R とは無関係に議論できる # 以上で、S4 の公理は、(W,R) で、全て恒真 # 次に推論規則を考えると.. A A \imp B A -- ------------ □A B これは、共に、仮定が恒真ならば、結論も恒真 公理が恒真で、推論が恒真性を保存するので、 証明可能ものは、恒真であることが示された。 # 健全性の証明は容易だが、完全性は大変、次回は、完全性 == # 色々な R を考えてみると... 任意の w, w' に対して wRw' => S5 任意の w, w' に対して wRw' でない => 任意の A に対して □A が恒真 ( 意味がない.. ) S5 かつ W = {w} のとき => A = □A なので、実は、古典論理と同じ # 古典論理は、非常に想像力のない世界(自分以外の世界が考えられない世界)で成立する論理