代数幾何 I 古津先生 (2006/04/27) 複素平面上ので図形 図形の性質は、その図形上の点に対応する複素数の性質で表現される。 [例] |z| < 2 原点から距離が 2 未満の円の内部 ( 等号がないので演習は含まれない ) Re Z >= 1 直線 x = 1 で区切られた半平面の右側 z = 3+2i に対応した点を考える x 軸に対称な点 \bar{z} =3-2i y 軸に対称な点 -\bar{z}=-3+2i = \bar{-z} 原点に対称な点 -z =-3-2i 90 度回転した点 iz = 2-3i 180 度回転した点 -z = -3-2i 270 度回転した点 -iz = 2-3i 何れの点も、|z| = \sqrt{13} になる ( 円周上の点 ) iz と -z の間にある点も z で表現できるが、それは各自で.. 極座標表示 ( 普通の平面 ) (x,y) に対して、\r, \thita があり、 x = r\cos{\thita} y = r\sin{\thita} との関係で、1 対 1 になる この (r,\thita) を (x,y) の極座標と呼ぶ \thita は、2\pi 加えると、元に戻るので、適当な範囲 ( 例 [0,2\pi], [-\pi,\pi] ) で、一つに決める。 逆対応は、 r = \sqrt{x^2+y^2} \thita = \arctan{x/y} となる。 極座標表示 ( 複素平面 / 複素数 ) z = x + iy ( \in \C ) に対して、 = r\cos{\thita}+ir\sin{\thita} = r(\cos{\thita}+i\sin{\thita}) を、z の極形式と呼ぶ。 この時、 r = |z| \thita ( z の偏角と呼ぶ ) = arg z [注意] 偏角 は一意に決らない。\thita + 2n\pi も偏角 ( n \in Z ) # 極形式はなぜ嬉しい => 掛け算が簡単になる。 z_1 = r_1 ( \cos{\thita_1} + i \sin{\thita_1} ) z_2 = r_2 ( \cos{\thita_2} + i \sin{\thita_2} ) とすると、 z_1z_2 = r_1r_2\{ (\cos{\thita_1}\cos{\thita_2}-\sin{\thita_1}\sin{\thita_2}) + (\sin{\thita_1}\cos{\thita_2}-\sin{\thita_1}\sin{\thita_2}) \} = r_1r_2(\cos{\thita_1+\thita_2}+i\sin{\thita_1+\thita_2}) つまり、 |z_1z_2| = |z_1||z_2| arg(z_1z_2) = arg(z_1)arg(z_2) # 大きさは掛け算、角度は足し算になる # これを繰り返し適用することができる。 ## 成分表示だと、延々と計算する必要がある 特に、これから、 z_1^n = r_1^n ( \cos{n\thita_1}+i\sin{n\thita_1} ) であり、更に、r_1 = 1, \thita_1 = \thita とおくと ( \cos{\thita}+i\sin{\thita} )^n = ( \cos{n\thita}+i\sin{n\thita} ) これを、「ド・モアブルの式」と呼ぶ \bar{z_1} = \bar{r_1 ( \cos{\thita_1}+i\sin{\thita_1} )} = r_1 ( \cos{\thita_1}-i\sin{\thita_1} ) = r_1 ( \cos{\-thita_1}+i\sin{-\thita_1} ) よって、 |\bar{z_1}| = |z_1| arg(\bar{z_1}) = - arg(z_1) \frac{z_1}{z_2} = \frac{r_1 ( \cos{\thita_1}+i\sin{\thita_1} )}{r_2 ( \cos{\thita_2}+i\sin{\thita_2} )} = ... (略) # 大きさは商, 角度は差になる [例] ( 極形式への変換の例 ) # 極形式は便利だけど、それには極形式に変換する z = \frac{\sqrt{3}}{2}+\frac{i}{2} の時、 |z| = \sqrt{(\frac{\sqrt{3}}{2})^2+(\frac{1}{2})^2} [注意] \sqrt の中には、「実数」のみ、(\frac{1}{2})^2 を(\frac{「i」}{2})^2 と間違える人がいるが注意 !! \cos{\thita} = \frac{\sqrt{3}}{2} \sin{\thita} = \frac{1}{2} より、\thita = \frac{\pi}{6} なので、 z = \cos{\frac{\pi}{6}} + i \sin{\frac{\pi}{6}} z = 2-2i |z| = \sqrt{2^2+(-2)^2} = 2\sqrt{2} \cos{\thita} = \frac{Re{z}}{|z|} \sin{\thita} = \frac{Im{z}}{|z|} # 略 # 極形式を利用すると n 乗根が簡単に求めることができる。 # 実数の n 乗根は既に、学んでいる # => 複素数の n 乗根を学ぶ 複素数の n 乗根 n \in \N, \alpha, \beta \in \C に対して \alpha = \beta^n の時、 \beta を \alpha の n 乗根 と呼び、 \beta = \alpha^{\frac{1}{n}} で表す。 # この表現は、実数の時と同じ形であることに注意 \alpha = r ( \cos{\thita}+i\sin{\thita} ) \beta = r_1 ( \cos{\thita_1}+i\sin{\thita_1} ) とすると、 # ド・モルガンの定理より \beta^n = r_1^n ( \cos{n\thita_1}+i\sin{n\thita_1} ) なので、 r_1^n = r n\thita_1 = \thita + 2k\pi ( k \in \Z ) これより、 r_1 = {}^n\sqrt{r} = r^{\frac{1}{n}} \thita_1 =\frac{\thita}{n} + \frac{2k\pi}{n} ( k = 0, .., n - 1 ) # k = n の時には、結局、2\pi を加えることになるので、k = 0 の時と同じ # n 乗根は、k が違えば、異るの、n 個 ( 0, .., n-1 ) あることが解る。 例 (1+i)^{\frac{1}{3}} 1+i = \sqrt{2}(\cos{\pi}{4}+i\sin{\pi}{4}) なので、 (1+i)^{\frac{1}{3}} = 2^\frac{1}{6}(\cos{\frac{\pi}{12}+\frac{2k\pi}{3}}+i\sin{\frac{\pi}{4}+\frac{2k\pi}{3}}) ( k = 0, 1, 2 ) # 結局角度は、\frac{1}{12}\pi, \frac{3}{4}\pi, \frac{17}{4}\pi の三つ # これらの根は、図示すると、円周上の三等分点になっている。 # 今後は、根号の中に複素数が入っていても外れるはず !! ## その為には極形式に変換し、arg を求めることができないと駄目 [オイラーの公式] e^{i\thita} = \cos{\thita}+i\sin{\thita} # これが、本当に、きちんとした関数になっていることを示す必要があるが、 # 現時点では、それを示すために十分な知識がないので、ここでは、天下り的に与える この公式を利用すると、複素数の極形式は次のように簡単にかける z = r(\cos{\thita}+i\sin{\thita}) = r e^{i\thita} # [メリット] \thita を二度かかずに済む # 積の計算をするときに、指数法則の形になるので覚えやすい |e^{i\thita}| = 1 e^{i\thita_1}e^{i\thita_2} = e^{i(\thita_1+\thita_2)} (e^{i\thita_1})^{-1} = e^{-i\thita} = \cos{\thita}-i\sin{\thita} (e^{i\thita})^n = e^{i n\thita} この\thita に n\pi を代入すると、 e^{n\pi i} = (-1)^n e^{(n\pi + \frac{\pi}{2}) i} = (-1)^n i となる。 \cos{\thita} = \frac{e^{i\thita}+e^{-i\thita}}{2} \sin{\thita} = \frac{e^{i\thita}-e^{-i\thita}}{2i} [例] ( ド・モアブルの定理の応用 ) (\cos{\thita}+i\cos{\thita})^2 = \cos{2\thita}+i\cos{2\thita} 左辺は、普通に展開を行うと \cos^2{\thtia}-\sin^2{\thita} + i 2\sin{\thita}\cos{\thita} 複素数が等しいということは、実部同士、虚部同士がそれぞれ等しいということ。なので、..両辺を比較し.. \cos{2\thita} = \cos^2{\thita} - \sin^2{\thita} \sin{2\thita} = 2\sin{\thita}\cos{\thita} これは、「倍角の公式」になっている。 同様に、「三倍角の公式」も導くことができる。 # n 乗根はもう大丈夫なはず... z = -2i の平方根が欲しい まず、極形式にする |z| = 2 \cos{\thita}=0 \sin{\thita}=-1 より、 \thita = \frac{3}{2}\pi よって、 z = 2 ( \cos{\frac{3}{2}\pi}+i\sin{\frac{3}{2}\pi} ) = 2e^{i\frac{3}{2}\pi} これから、 z^{\frac{1}{2}} = 2^{\frac{1}{2}}e^{(\frac{3}{4}+k\pi)i} となる。 k = 0 の時 -1 + i k = 1 の時 1 - i よって、 (-2i)^{\frac{1}{2}} = \pm (1-i) # 2 乗根は、円周を二つに分ける => \pm で表現できるはず # 残りは、3 年生の「複素間数論」で学ぶ.. # 今日やったことは、代機 I / 代機 II で使うので、覚えておく !!