二項定理 (x+y)^n = \sum_{k=0}^n _nC_k x^{n-k}y^k 二項定理の応用 定理 x=y=1 とすれば 2^n = \sum_{k=0}^n _nC_k 定理 x=1 y=-1 とすれば 0 = \sum_{k=0}^n (-1)^k_nC_k # 偶数項と奇数項の数の和は等しい == f(x), g(x) \in K[x] に対して \exist q(x) \in K[x] s.t. f(x)=g(x)q(x) の時 f(x) は g(x) で割切れる ( g(x) の倍数 ) と呼ぶ また、 g(x) は、f(x) を割切る ( f(x) の約数, f(x) の因数 ) と呼ぶ # この用語は、自然数の時と同じ f(x) の約数が、 自分自身の定数倍 0 次多項式 # 0 次多項式は、0 でない定数であることに注意 だけしかない時 f(x) は既約である という。 # これは、自然数における、素数に対応する。 [例] x^2+1 R[x] では既約 C[x] では既約でない x^2+1 = (x+i)(x-i) # どこで考えているかによって、答が違うことに注意 定理 f(x) が g(x) で割切れ、 g(x) が h(x) で割切れる => f(x) は h(x) で割切れる 定理 f(x), g(x) が共に h(x) で割切れる => \forall u(x),v(x) \in K[x] u(x)f(x)+v(x)g(x) は h(x) 割切れる 定理 f(x), g(x) \in K[x], g(x) \ne 0 とすると \exist 1 q(x), r(x) \in K[x] s.t. f(x)=g(x)q(x)+r(x) かつ r(x)=0 又は、deg r(x) < deg g(x) # 後半の条件を付けないと唯一性が出てこない !! この時 q(x) を整商 # 整数の商と余りに対応する r(x) を余り と呼ぶ。 # 証明は、教科書を参照 # この定理から、直に次の定理が出てくる 定理(剰余定理) f(x) \in K[x], \alpha \in K に対して f(x) を x-\alpha で割った余りは f(\alpha) [証明] f(x)=(x-\alpha)q(x)+r(x) 上記の定理より、r(x) は 0 か、次数が 0 ( つまり、何れも定数 ) つまり、 r(x)=r よって、 f(\alpha) = (x-\alpha)g(\alpha)+r(\alpha) = 0 * g(\alpha) + r = r [定義](公約数) h(x) が f_1(x),..,f_n(x) のそれぞれを割切る時、 h(x) は、f_1(x),..,f_n(x) の公約数 公約数の中で、最も次数の高い公約数を最大公約数と呼ぶ [定義](公倍数) h(x) が f_1(x),..,f_n(x) のそれぞれで割切れる時、 h(x) は、f_1(x),..,f_n(x) の公倍数 公倍数の中で、最も次数の低い公倍数を最小公倍数と呼ぶ # 次数が同じだが、係数が異る多項式がある [定理] d(x) が f_1(x) .. f_m(x) の最大公約数 => \exsit u_1(x),..,u_m(x) \in K[x] s.t. f_1(x)u_1(x)+..+f_m(x)u_m(x) = d(x) # このような u_1,..,u_m の組は色々あるかもしれないが、少くても一つはあるということ !! [証明] A = { f_1(x)u_1(x)+..+f_m(x)u_m(x) | u_1,..,u_m \in K[x]} # このような形をしたものを全部集めてみる とする。この A の中で、次数の最低なものを \phai(x) とする # A には 0 も入るが、0 の場合は次数を考えないので、\pha(x) は 0 でない \phai(x) \in A なので、\phi(x) = \sum_{i=1}^m f_i(x)u_i(x) の形でかける。 f_i(x)=\phai(x)q_i(x)+r_i(x) r_i(x)=0 または dig r_i(x) < dig \phai(x) ところが、 r_i(x) = f_i(x)-\phi(x)q(x) なので、 r_i(x) \in A ここで、\phi(x) は、最低次数をとったので、 dig r_i(x) < dig \phai(x) とはならない。即ち r_i(x) = 0 よって、 \phi(x) は、f_i(x) を割切る これは、任意の i について成立するので、\phi(x) は f_i の公約数 d(x) は最大公約数なので dig \phi(x) \ge dig d(x) 一方、 \phi(x) = \sum_{i=1}^m f_i(x)u_i(x) なので、 \phi(x) は、d(x) の倍数 即ち \phi(x) = c(x)d(x) 処が dig \phi(x) \ge dig d(x) だったので c(x) の次数は 0 となり c(x)=c つまり、 \phi(x) = c d(x) よって、 d(x) = \sum_{i=1}^m f_i(x)\frac{1}{c}u_i(x) [系] f_1(x),..,f_m(x) の最大公約数は任意の公約数で割切れる 最大公約数は定数倍を除いて一つ [証明] (前半) d(x) = \sum_{i=1}^m f_i(x)\frac{1}{c}u_i(x) なので、 右辺が、公約数で割切れるので、左辺も割切れる (後半) d'(x) が d(x) と異る多項式とする。 すると、前半より、d(x) は、d'(x) の倍数 処が、次数は同じなので、結局定数倍になる == ユークリッドの互除法 f(x), g(x) \in K[x], deg f(x) \ge deg g(x), g(x) \ne 0 f(x) = g(x) q(x)+r_1(x) deg q(x) > deg r_1(x) g(x) = r_1(x)q_1(x)+r_2(x) deg r_1(x) > deg r_2(x) r_1(x) = r_2(x)q_2(x)+r_3(x) deg r_2(x) > deg r_3(x) .. r_{k-2}(x) = r_{k-1}(x)q_{k-1}(x)+r_k(x) deg r_{k-1}(x) > deg r_3(x) r_{k-1}(x) = r_k(x)q_k(x)+r_k(x) # この操作を割切れるまで繰り返す この操作は、必ず有限回数で終る !! これは、最初の次数が有限で、割る度に少くても 1 は減る 次数は、0 より小くならないので、結局有限であることが解る この r_k(x) は、f(x), g(x) の最大公約数 [証明] h(x) が f(x) と g(x) の約数ならば、r_i(x) # 約数を求める場合、因数分解をすればできるのだが、因数分解は難しい。この方法は、割り算だけで、因数分解しなくても、約数を求めることができる点がおいしい [例] f(x)=x^5+2x^4+x-1 g(x)=x^4+3x^3-3x+1 # 来年「ソフトウェア概論」で使うので、覚えておくこと == 次回、代数の基本定理