代数幾何 I 古津先生 (2006/06/01) # 平面ベクトルと空間ベクトルの話をしていた # 前回の最後にやったのは、平面上の直線のパラメータ表示、ここから始める。 平面上の直線は二点をきめれば決る。 二点 P_1, P_2 を通る直線を考える。 直線上の点 P の位置ベクトル x, P_1, P_2 の位置ベクトルを x_1, x_2 P_1P_2 をベクトル a とすれば、 x = x_1 + t a ( t は任意の実数 ) = x_1 + t ( x_2 - x_1 ) = (1-t) x_1 + t x_2 という形で表現できる。 ( この表現には t というパラメータがあるので、パラメータ表現 ) と呼ぶ。 これにもうひとつパラメータを導入し、次のよう表現することもできる = s x_1 + t x_2 ( ただし s + t = 1 ) このように、s,t のパラメータに制約を与えた形でも表現できる。 この形であれば、制約を色々かえると色々な図形になる 例 s>0, t>0, s+t < 1 とすれば、三角形の内部 s+t=1, s>0, t>0 とすれば線分 P_1 P_2 s+t=1/2 とすれば、OP_1, OP_2 の中点を通る直線 円のベクトル表示 点 P_1 を中心として、半径 r の円周 | x - x_1 | = r 直線のもう一つの表現 直線の一般形は次の形 a x + b y = c とくに原点を通る場合は (l) a x + b y = 0 (l0) いま、直線上の点の位置ベクトルを x, v を ( a ) とすれば、 b (l) は、 (a,x) = c を (l0) は、 (a,x) = 0 をそろぞれ表している。 特に、(a,x) は、x と a が直交していること意味するので、a を法線ベクトルと呼ぶ # これは、直線の内積表示 直線 l と、点 P の距離 直線 l と、直線上にない点 P との距離を考える。 P から、 l へ垂線を下し、その足を P' とすると、PP' の長さが P と l の距離 P, P' の位置ベクトルを、x_0, x_0' とする。 (I) l の式を x = x_1 + t a とすると、P' は直線上にあるので、 x_0' = x_1 + t a (II) PP' と l が直交するので、 (a,x_0-x_0') この二つの条件から、t を求めると... t = (a, x_0 - x_1)/(a,a) よって、x_0' は、 x_0' = x_1 + ((a, x_0 - x_1)/(a,a)) a 次に PP' の長さの二乗を考えると |PP'|^2 = |x_0 - x_0'|^2 = ( x_0 - x_0', x_0 - x_0 ) = ( x_0 - x_1 - ((a, x_0 - x_1)/(a,a)) a, x_0 - x_1 - ((a, x_0 - x_1)/(a,a)) a ) = ( x_0 - x_1, x_0 - x_1 ) - 2 ( x_0-x_1, ((a, x_0 - x_1)/(a,a)) a ) + ( ((a, x_0 - x_1)/(a,a)) a, ((a, x_0 - x_1)/(a,a)) a ) = ( |a|^2 |x_0 - x_1|^2 - (a,x_0-x_1)^2 ) / |a|^2 よって、元の長さ |PP'| は |PP'| = \sqrt{|a|^2 |x_0 - x_1|^2 - (a,x_0-x_1)^2} / |a| # これが、パラメータ表示の時の公式 # 今度は内積表示の場合 (b,x)=c の時の点と直線の距離を考える x_0 - x_0 = s b (b,x) = c これより s を求めると s = ( (b,x_0) - c) ) / (b,b) これより、直線の距離は.. |PP'| = ( (b,x_0) - c) ) / |b| # これが内積表示の時の距離 # 一般の直線の式と、点の距離の公式もある。 # これは習っているはず !! # こっから、空間の話 空間の場合も、平面の場合と同様直線のパラメータ表示はまったく同じ x = x_1 + ta # t に関する制限の話も同様 ## この形であれば、空間も平面もまったく同じ ただし、成分を使う場合は、当然、平面と空間では異る ( z 座標が入るので.. ) \frac{x-x_1}{x_2-x_1} = \frac{y-y_1}{y_2-y_1} = \frac{z-z_1}{z_2-z_1} == 交点 二つの直線 l, l' が交わり、その角度を \theta とすると.. l, l' の方向ベクトルが a, b であれば、 \cos{\theta} = \frac{|(a,b)|}{|a| |b|} となる 直線と点の距離、 平面とまったく同じ == 空間内の平面 : 三点 (P_1,P_2,P_3) が決れば決まる P_1P = s a + t b ( r, s は任意 ) よって平面は、 x = x_1 + s a + t b = r x_1 + s x_2 + t x_3 ただし、r+s+t=1 球面 P_1 中心半径 r の球面 |x - x_1| = r # ベクトルで考えると、平面と空間が同じように進む (座標でやると、こうは簡単にならない) 空間の平面のもう一つの表現方法 (内積表示) 一般の平面の公式は a x + b y + c z = d ここで、 a v = ( b ) c とすれば、 原点を通る直線は、 (x,v) = 0 一般には、 (x,v) = d となる。 このベクトル v は平面自身と直交する ; 法線ベクトルと呼ぶ [まとめ] 平面の直線 1 パラメータ表示 内積表示 空間の直線 1 パラメータ表示 (上と同じ) 空間の平面 2 パラメータ表示 内積表示 (上と同じ) 点と平面の距離 |x-x'| = \frac{|(a,x_0) - d}{|a|} 座標を代入すると、 \frac{|a x_0 + b y_0 + c z_0 - d|}{\sqrt{|a^2+b^2+c^2|}} 平面の交角 二つの法線ベクトルの交角 直線と平面の交点 垂直なら \pi/2 平行なら 0 その他 交点があるので、それを求める。 P_1 から S への垂線の足を考え、l を含む平面を考える その平面と元の平面 ( S への l の射影 ) の交わりは 直線になるので、その直線と l の交角 \theta を利用する。 \frac{|(a,b)|}{|a||b|} = \sin{\theta} となる。 == 問 x+2y+3z = 1 3x+2y+z = -1 # これは二つの平面の連立 (共通部分) なので、直線になる # これをパラメータ表示にする。 これを連立させ、整理すると x+1 = (1-y)/2 = z が求める直線の式。これから、二点がわかればよいので、例えば (0,-1,1) (-1,1,0) などを取り、これから x 0 -1 ( y ) = ( -1 ) + t ( 2 ) z 1 -1 元の式の方向ベクトルは、直線式の係数の逆数になっている == 次回 ベクトルと行列 ベクトルを行列で移すとベクトルになる この行列による変換の幾何学的な意味を考える