代数幾何 I 古津先生 (2006/06/15) 三次行列とV^3 の線型(一次)変換 # 空間ベクトルでもほぼ、平面ベクトルと同じだが、取り敢えずやる 線型変換の定義 ( これは、平面の場合と同じ ) [定義](線型変換) T : V^3 の変換が、次の二つを満す場合、 T(x+y)=Tx + Ty T(cx)=c(Tx) T は V^3 (上)の線型変換と呼ぶ 線型変換の合成 S・T = ST も同様に定義 # 線型変換の具体例 ( 原点対称とか、x 軸の周りの回転など.. ) は、後でやる 線型変換に対応する行列は、3 × 3 になる a_11 a_12 a_13 A = ( a_21 a_22 a_23 ) a_31 a_32 a_33 # 行列とベクトルの積は後で行うとして、まずは、行列同士の掛け算を定義する 行列 A (上で定義) と次の行列 B が与えられているとき、 b_11 b_12 b_13 B = ( b_21 b_22 b_23 ) b_31 b_32 b_33 その積 AB は次のように定義 # 本当は、Σで定義するのがよいのだが、ここでは、具体的に書く AB = ( .. 省略 .. ) # 将来、行列のサイズが大きくなった場合は、Σででかかないとやってられない AB = C とし、 c_11 c_12 c_13 C = ( c_21 c_22 c_23 ) c_31 c_32 c_33 の時、 c_ik = \Sum_{j=1}^3 a_ij b_jk ( i, j = 1, 2, 3 ) とあらわされる。 # この形なら、サイズが増えても大丈夫 同様に、成分をつかって、ベクトルとの積も定義される x_1 v = ( x_2 ) x_3 に対して Av = ( .. 省略 .. ) となる。 # 平面ベクトルと同様にして以下の性質が成立する ( 証明も同じ ) (AB)x = A(Bx) (AB)C = A(BC) A(x+y)=Ax+Bx A(cx) = c(Ax) 特に、 A に対して T_A を次のような変換とする T_A : V^3 -> V^3 \in \in x |-> Ax すると、T_A は線型変換 # 線型性は、上記の行列とベクトルの積の性質から示される # これで、行列から線型変換が作れるが逆も ( V^2 と同様に.. ) いえる。 # 考え方は V^2 と同じだが、次元が一つ増えている点が異る T を V^3 の線型変換 e_1, e_2, e_3 を、V^3 の単位ベクトルとする ここで、 a_11 Te_1 = ( a_12 ) a_13 a_21 Te_2 = ( a_22 ) a_23 a_31 Te_3 = ( a_32 ) a_33 の時、 \forall v ( \in V^3 ) x v = ( y ) = x e_1 + y e_2 + z e_3 z Tx = T(x e_1 + y e_2 + z e_3) = x T e_1 + y T e_2 + z T e_3 a_11 a_21 a_31 = x ( a_12 ) + y ( a_22 ) + z ( a_32 ) a_13 a_23 a_33 a_11 x + a_21 y + a_31 z = ( a_12 x + a_22 y + a_32 z ) a_13 x + a_23 y + a_33 z a_11 + a_21 + a_31 x = ( a_12 + a_22 + a_32 ) ( y ) a_13 + a_23 + a_33 z || A = A v よって、T = T_A となる。 # 平面と同様 一対一対応 {三次行列} <------> {V^3 の線型変換} \in \in A <------> T_A # ここまでは、座標なしでできたが、これからは座標を入れる # 入れかたは、右手系と、左手系の二つがある # どちらでも構わないが、混乱しないように一方を選ぶ、ここでは Text に合せて、右手系を採択する。 [例] 原点に対する対称 (x,y,z) -> (-x,-y,-z) よって Tx = -x -1 0 0 A = ( 0 -1 0 ) 0 0 -1 # e_1, e_2, e_3 の行さきで考える !! z 軸に関する回転 \cos{\alpha} -\sin{\alpha} 0 A = ( \sin{\alpha} \cos{\alpha} 0 ) 0 0 1 [射影子] a \ne 0 a への射影子 T を考えると.. # a と x が同一平面上にあれば、実は、平面上とまったく同じ議論ができる ## 二つのベクトルを含む平面は常に取れるので、結局、どの場合も同じ # 図形的に同じなので、式も同じになる Tx = \frac{(a,x)}{(a,a)}a # 空間なので、平面への射影子というもの考えられる # b, c が独立でないと平面が作れないでの、b,c は独立とする b,c を独立として、b, c を含む平面 ( b, c の脹る平面 ) への射影子供 S の法線ベクトルを、a とする。 ベクトル a, b, c, x の始点を平面上で同一の点 O に合せる。 ベクトル x から、O を始点、平面への垂線の足を終点とするベクトルを x_0 とすれば、 x_0 = Sx x-x_0 // a すなわち、 x - x_0 は、x の a への射影 ( T x )になっている よって、 x - x_0 = Tx = \frac{(a,x)}{(a,a)}a すなわち、 Sx = x_0 = x - Tx = x - \frac{(a,x)}{(a,a)}a == 問1 イ) e_1, e_2, e_3 がどこにゆくかをみると e_2 は移動せず => 移動しないのは軸になるので、y 軸が回転軸 e_1 = - e_1 e_3 = - e_3 よって、 y 軸に関する角度 \pi の回転 y 軸に関する対称 ロ) e_1 = e_1 ( よって、x 軸が回転軸 ) e_2, e_3 は、α回転 よって、 x 軸に関するα回転 ハ) Ae_1 = e_2 Ae_2 = e_3 Ae_3 = e_1 # 移動しない要素はないので、この中に軸はない # しかし、これら関係から次のように軸をみつけることができる。 1 1 A ( 1 ) = ( 1 ) 1 1 つまり、これが移動しないので、軸 x = y = z という直線 回転の量だが、三回回転すると元にもどるので、120度 ( 4/3 \pi ) 回転 問 2 # 単位ベクトルのいった先を並べるだけ a^2 Te_1 = ( ab ) ac ab Te_2 = ( b^2 ) bc ac Te_3 = ( bc ) c^2 より、 a^2 ab ac A = ( ab b^2 bc ) ac bc c^2 となる。 問 3 # b と c が垂直なので、独立。よって平面をはる # よって、平面への射影子と思ってよい T : a への射影子 S : b, c の脹る平面への射影子 とすれば x = Sx + Tx # これで、(ハ) が出た # 計算してもできるが、図形の性質を利用すると(ハ)から出る # 他も示す イ) これは、平面と全く同じ ( 式も同じ ) なので、省略 ハ) より、x = Sx + Tx よって、Sx = x - Tx S^2 x = S (S x) = S ( x - Tx ) = Sx - STx ここで、 S(Tx) = Tx - T(Tx) = Tx - Tx = 0 よって、 S^2x = Sx ロ) T(Sx) = T(x-Tx) = Tx - T^2x = Tx - Tx = 0 # かわったのは、平面への射影子だけ。 # 線型空間の話は来年やる !! == 行列式 ( 二次の行列式 ) A = ( a b ) c d に対して、 ad - bc を A の行列式 と呼び |A| | a b | c d det A で表す。 v = ( a ), u = ( c ) b d の時、 A = (a,b) # これは、内積のかきかたと同じなので混同しやすい # 将来はベクトルの本数が増えて、区別できるようになる # 混同するのは、二次元の場合のみ と書き det(a,b) とも書く。 [定理] イ) a, b が線型独立 <=> det(a,b) \ne 0 ロ) det(a,b) = - det(b,a) ハ) det(a+b,c) = det(a,c)+det(b,c) # イ) と ハ) を組合せれれば後ろも分られることが解る 二) det(ca, b) = c det(a,b) ホ) |AB| = |A| |B| # この最後は非常に重要 proof) イ) 対偶をを示す ad-bc = 0 <-> a : b = c : d <-> v // u <-> v, u は従属 ロ), ハ), ニ) は、両辺を計算して、比較するだけ ホ) これも原則、計算するだけ ( 省略 ) 実は、 v = ( a ), u = ( c ) b d n とすると、v, u の作る平行四辺形の面積 S は、 S = |ad-bc| だった。 よって、 S = |det(u,v)| つまり、逆にいえば、det(u,v) は S に符号を付けたもの # この符号はどうなる ? 前から後計った角度が 0 - \pi の時は、正, \pi から 2\pi は負の数になる。 行列式は、0 の時と \pi の時だけ 0 になり、それ以外で 0 にならない \pi を越るまえは正のまま\pi を越るた後は負のまま == v = ( a ), u = ( c ) b d に対して X = (v,u) とすると、 |AX| = det(Au,Av) = |A| |X| = |A| det(u,v) よって、 |A| = \frac{ det(Au,Av) }{ det(u,v) } つまり、面積費 この平行四辺形の面積は、座標の取りかたによって、変らない。 変換 T に対して、座標をかえるとそれに対応する行列は変る しかし、行列式は面積比なので、変らない つまり、座標がかわって、行列は変っても、行列式は変らない 行列式は、変換 T にのみ依存する量だということが解る # これは、後にもっと高い次元の立場から示される。 [例] (クラーメルの公式) ad-bc \ne 0 の時、連立方程式 a x + by = e c x + by = f に対して、 x = \frac{ | e b | }{ | a b | } | f d | | c d | y = \frac{ | a e | }{ | a b | } | c f | | c d | == [定義] 外積 a, b が独立に対して、 \exist 1 c \in V^3 s.t 1) c は、a, と b に垂直 2) a, b, c は右手系 3) |c| は a, b 脹る平行四辺形の面積 proof) # 具体的に一つあり、かつただ一つであることを示す必要がある -- 省略 -- なので、c を a と b の外積 (ベクトル積) とよび、a × b で表す。 a, b が独立でない時は、a × b は 0 と定義する。 [定理] a × b = - b × a c ( a × b ) = (c a) × b = a × ( c b ) [定理] (外積の成分表示) a a' u = ( b ), v = ( b' ) c c' とすると、 | b b' | c c' u × v = ( | c c' | ) a a' | a a' | b b' となる。 proof) (a, c) を計算すると、0 になるので、a, c は直交、b も同様 |c|^2 を計算すると |a|^2|b^2|-(a,b)^2 で、これは平行四辺形の面積なので、長さも大丈夫 # あとは、向き (右手系) だけ e_1 × e_2 = e_3 であることは外積の定義からでる。 これを上記の形で計算すると、一致する。 右手系の性質は、 # 外積は、空間固有の性質で、この後一般的なベクトルを学ぶ