# 20 分ほど、遅刻 三次元の内積 A = ( a_1, a_2, a_3 ) の時 |A| = det A = ( a_1 x a_2, a_3 ) |A| は、a_1, a_2, a_3 の脹る平行六面体の体積に符号とつけたもの 右手系列の時 + 左手系列の時 - [定理] det(a_1,a_2,a_3) = 0 <=> a_1, a_2, a_3 は線型従属 [定理] (1) a_1, a_2, a_3 の二つの順序を入れ替えると -1 倍 平行六面体は変らないが右手系、左手系が変るので符号だけ変る (2) det(a_1+a_1',a_2,a_3)=det(a_1,a_2,a_3)+det(a_1',a_2,a_3) (3) det( c a_1,a_2,a_3) = c det(a_1,a_2,a_3) 成分表示による三次行列式の計算 |a_11 a_12 a_13| |a_21 a_22 a_23| |a_31 a_32 a_33| = a_21 a_32 a_13 - a_31 a_22 a_12 + a_31 a_12 a_23 - a_11 a_32 a_23 + a_11 a_22 a_33 - a_21 a_12 a_33 # たすきがけの計算方法で覚えよう !! [定理] |AB| = |A| |B| # 二次の時には証明したが、三次では大変なので省略 # やりかたは同じ 三つの三次元ベクトル x_1 v_1 = ( y_1 ) z_1 x_2 v_2 = ( y_2 ) z_2 x_3 v_3 = ( y_3 ) z_3 を考え、 X = (v_1,v_2,v_3) とすると、 |AX| = det(A v_1, A v_2, A v_3) || |A||X| = |A| det(v_1,v_2,v_3) 行列 A をかけると、平行六面体の体積(符号付き) は |A| 倍される ここで、 T:V^3 上の線型変換とすると 座標を一つ入れると、その行列表現は A T=T_A によって、平行六面体は、|A| 倍される 別の座標を一つ入れると、その行列表現は B ( A と異る ) T=T_B によって、平行六面体は、|B| 倍される ところが、元の体積は、座標系と無関係に決るし、また、写した先の体積も、T に によって、定まり、これも座標系列と異る したがって、 |A| = |B| でなければならない。 すなわち、 線型変換 T に対応する行列は、座標の取りかたによらず、その行列式は等しい 例: 二つの直線 l_1 : x + x_1 + t a l_2 : x + x_2 + t b が、ねじれの位置にある ( 平行でもなく、交わりもしない ) とする この時、 P_0Q_0 が最短の時、P_0Q_0 垂直 l_1, P_0Q_0 垂直 l_2 [証明] 背理法による P_0Q_0 が l_2 と直交していないとする。 P_0Q_0' が l_2 と直交するように線を引けば、こちらの方が短い これは、P_0Q_0 の最短性に反する この二つの直線の距離は |P_0Q_0| と定義する。 その値は、 # 二次元の係数行列の行列式が 0 でないことが、連立方程式が一意の解を持つことの必要十分条件 P_0, Q_0 の位置ベクトルを p, q とすれば p = x_1 + t a q = x_2 + s b これに対して (a,q-p) = 0 (b,q-p) = 0 これから、t, s に関する連立方程式 (a,a)t-(a,b)s = (a,x_2-x_1) (b,a)t-(b,b)s = (b,x_2-x_1) これが一意の解を持つ場合は、係数行列が 0 でないことだが、 | (a,a) -(a,b) | | (b,a) -(b,b) | = -|a|^2|b|^2 (a,b)^2 = |a|^2|b|^2 ( 1 - \cos{\thita} ) l_1, l_2 は捻れなので、\thita \ne 0 よって、この行列式は \ne 0 よって、唯一の解 t_0, s_0 を持つ c = P_0 Q_0 = p - q とすれば、 x_2 - x_1 = c + t_0 a - s_0 b なので、 (c,x_2-x_1) = (c,c) + (c,a)t_0 - (c,b)s_0 = (c,c) また、 c = k a × b, ( k\ne0 ) とすると |c| = \frac{|(c,c)|}{|c|} = \frac{(c,x_2-x_1)}{|k||a × b|} [定理] l_1, l_2 が捻れの位置 <=> det(a,b,x_2-x_1) \ne 0 [証明] (=>) 上記より、 捻れの位置にあれば距離は 0 でない 距離の分子は 0 でない すなわち、 det(a,b,x_2-x_1) \ne 0 (<=) (対偶を取る) 捻れの位置になければ、平行か、交わるかどちらか 交わる場合 距離が 0 なので、分子は 0 すなわち、 det(a,b,x_2-x_1) = 0 平行の場合は、 a // b よって、 a × b = 0 よって、 det(a,b,x_2-x_1) = 0 # 以上で、一章は一応終りだが、章末問題も解いてみる 章末問題 8. | (a,a) (a,b) (a,c) | | (b,a) (b,b) (b,c) | = det(a,b,c)^2 | (c,a) (c,b) (c,c) | # これは、左右をそれぞれ計算して、結果を比較すれば済むが、その # 方法だと、計算が面倒なので、別の方法を考える a_1 a = ( a_2 ) a_3 b_1 b = ( b_2 ) b_3 c_1 c = ( c_2 ) c_3 とし、 A = (a,b,c) とする。 この a_1 b_1 c_1 A = ( a_2 b_2 c_2 ) a_3 b_3 c_3 に対して a_1 a_2 a_3 tA = ( b_1 b_2 b_3 ) c_1 c_2 c_3 とすると、 |tA A| = 上記の式 となる。 ここで、 |tA| = |A| となる ( ことは、実際に、|tA| を計算して確かめる ) ので、 上記の式 = |tAA| = |tA| |A| = |A|^2 = det(a,b,c)^2 となる。 # この方法は、何次の場合でもできるという意味でもスマート 章末問題 5. 三次元内の平面 S; (a,x) = 0 に対する折り返し変換 T を考える。 # この平面の法線ベクトルは a で、しかも原点を通る平面であることに注意 # この T が線型変換出歩ことを示す まず、x の a への正射影 v は v = \frac{(a,x)}{a,a}a で与えられた。 折り返しは、x を v の逆方向に二つ分進めた形なので、 Tx = x - 2v = x - 2\frac{(a,x)}{a,a}a これは、明らかに線型変換 # 次に対応する行列を計算すると.. --- 間に合わず --- # 今日はこのへんでおしまい。 # 次回は、これまでの二次元や三次元から離れて N 次元の話に進む ## 前期の残りは、 N 次元の行列の話をしている途中で中間試験 ## 後期は、N 次元の行列と、N 次元の行列の行列式をやる予定