代数幾何 I 古津先生 (2006/07/13) # 今日は主に、rank の計算法 ( 掃き出し法のみ ) # 半分は、質問の時間にする 先週の最後に、基本変形の説明した 基本行列が 3 種類, これを左にかけるか右にかけるかの二通りの使い方があるので合計 6 通り ( 3 x 2 ) 定理 (標準形) A : (m,n) 型 => A を基本変形のみで Fm,n(r) の形にできる Fm,n(r) : 標準形 1 0 0 .. 0 0 1 0 .. 0 Fm,n(r) . .. 0 1 .. 0 0 .. 0 .. 0 0 .. 0 .. 0 Fm,n(r) は、 1) m,n 行列であり 2) 左上から対角要素が r 個だけ 1 3) その他の要素が 0 となる行列 定義 (rank) A が Fm,n(r) に基本変形のみで変形できたとき、A の rank を r とする # rank の一意性に関しては、後期に学ぶ 手順 ( rank の計算方法 : 掃き出し法 ) A=O なら終了 rank は 0 である A \ne O の時、 1) 必要であれば、Pm(i,j), Pn(i,j) を用いて (1,1) 成分 \ne 0 とする 2) (1,1) 成分 \ne 1 なら、 Qm(1;1/a11) を利用して、(1,1) 成分を 1 にする 1 | a12 a13 .. a1n ---+--------------- a21| a31| * ... am1| 3) (1,1) をかなめとして、第 1 列を掃き出す Rm(2,1;-a21) .. Rm(m,1;-am1) を左からかける 1 | a12 a13 .. a1n ---+--------------- 0 | 0 | * ... 0 | 4) (1,1) をかなめとして、第 1 行を掃き出す Rm(1,2;-a12) .. Rm(1,n;-a1n) を右からかける 1 | 0 ... 0 ---+-------------- 0 |a22 0 | ... A1 0 | 5) A1 = O なら終了 rank = 1, A1 \ne O の時 A1 に 1)-4) を適用する [注意] 実は、4) は省略できる この場合は、ほとんど、左側からかけるだけで処理できる # 左上の要素を 0 以外にする為だけ右からかける場合が必要 この場合は、標準系にならないが対角線にならぶ 1 の個数が rank となる # ただ、4) は、(結果的に..) 単に 要素を 0 に書き換えるだけなので、普通は省略しない。 具体例[1] 0 2 4 2 A = ( 1 2 3 1 ) -2 -1 0 1 # まず、O 判定、これは O でないので、次へ 左から P_3(1,2) 1 2 3 1 ----> ( 0 2 4 2 ) -2 -1 0 1 左から R_3(1;2) 1 2 3 1 ----> ( 0 2 4 2 ) 0 3 6 3 右から R_4(1,2;-1), R_4(1,3;-3), R_4(1,4;-1) をかける 1 0 0 0 ----> ( 0 2 4 2 ) 0 3 6 3 # ここで、O 判定、これは O でないので、次へ 左から P_3(1,1/2) 1 0 0 0 ----> ( 0 1 2 1 ) 0 3 6 3 左から R_3(2;-3) 1 0 0 0 ----> ( 0 1 2 1 ) 0 0 0 0 右から R_4(2,3;-2), R_4(2,4;-1) 1 0 0 0 ----> ( 0 1 0 0 ) 0 0 0 0 # ここで、O 判定、これは O なので終了 rank A = 2 具体例[2] 1 3 2 1 A = ( 2 6 3 1 ) -2 -5 -2 1 # まず、O 判定、これは O でないので、次へ 左から、 R_3(2,1;-2) R_3(2,1;-2) 1 3 2 1 ----> ( 0 0 -1 -1 ) 0 1 2 3 右から、 R_4(1,2;-4) R_4(1,3;-2) R_4(1,4;-1) 1 0 0 0 ----> ( 0 0 -1 -1 ) 0 1 2 3 右から P_3(2,3) 1 0 0 0 ----> ( 0 1 2 3 ) 0 0 -1 -1 左から Q_3(3;-1) 1 0 0 0 ----> ( 0 1 0 0 ) 0 0 -1 -1 左から R3(3,4;-1) 1 0 0 0 ----> ( 0 1 0 0 ) 0 0 -1 -1 # 1 が壁にぶつかったら終り # [定理] rank A <= min(m,n) == 長方形の紙の話 大きく 6 つに分れる 1) 多項式のユークリッドの互除法 2) 複素数 3) 一章 4) ニ章 (ランクの計算) 5) 一章 6) ニ章 (証明問題) 1-5 は、箱に式か、数値を入れる ( 計算問題 ) 6 は証明問題