代数幾何 I 古津先生 (2007/01/11) # 遅刻して、前回の続きは駄目だった p.71 問 6 A:n 次 # 幾つか、太字の用語があるので、これだけは押えておきたい。 イ) \exist k \in N s.t. A^k = E => A は正則 proof) (A^{k+1})A=A(A^{k+1})=E より (A^{k-1}) が A の逆行列なので..) A は正則 ロ)A^2 = A, A\ne E => A は正則でない proof) # 背理法による。 A が正則とすると A^{-1} が存在する。 これを両辺からかければ、 A = E これは、矛盾 ハ) \exist k \in N s.t. A^k = O => A は正則でない # [定義] \exist k \in N A^k = O の時に、A は「羃零」であると言う # 背理法による。 A が正則とすると A^{-1} が存在する。 これを両辺に、k 回数かけると E = O これは、明らかに矛盾 二) A:羃零 => E \pm A は、正則 proof) # 具体的に、逆行列をつくってみればよい。 B = E+A+A^2+..+A^{k-1} とおくと、 B(E-A) = (E-A)B = E - A^k ここで、 A^k = O なので、 = E すなわち、B は、E-A の逆行列となるので、E-A は正則 # 以上は、+ の場合だが、- の場合も同様 C = E-A+A^2-...+(-1)^{k-1}A^{k-1} とおくと、同様に、 C(E-A) = (E-A)C = E - (-1)^{k-}A^k = E となる。 # E と他の行列が一つしかなければ、これらの計算は、多項式と同じ ## x, y \in { A, E } => xy = yx が成立するから.. ## 一般には、積の交換ができないので、これほど巧く行くとは限らない 問 7 XY-YX=E_n となる n 次行列 X, Y は存在しない。 # この問題は、成分表示でやると、大変 !! ## 両辺の Tr を取る Tr(XY-YX) = Tr(XY)-Tr(YX) # Tr は和に関して分られる = Tr(XY)-Tr(XY) # Tr は積を分られないが、交換しても値が変らない = 0 ところが、等式の右辺は、E_n なので、Tr(E_n) = n なので、この等式が成立するような、X,Y の組は存在しない [定義] XY-YX = [X,Y] を X, Y の「交換子積」と呼ぶ 問 11 p:n 次、^tPP = E, P+E は正則の時、 イ) A = (P-E)(P+E)^{-1} とおくと、^tA = -A [定義] ^tA = -A の時、A を「交代行列」と呼ぶ proof) 両辺に (P+E) をかけると A(P+E)=P-E # これをするのは、両辺の転置が欲いから。 ## 逆行列の転置はやっていないので、それを避けた 両辺の転置を取る ^t(P+E)^tA=^tP-E ここで、P^t = P^{-1} なので、書き換えると (P^{-1}+E)^tA=P^{-1}-E よって、 (P^{-1}+E)^tA=P^{-1}-E よって、 ^A = -(E-P^{-1})(P^{-1}+E)^{-1} ここで、 (A-E)(P+E)=(P+E)(P-E) なので、両辺の両側から(P+E)^{-1} をかけると、 (P+E)^{-1}(P-E) = (P-E)(P+E)^{-1} よって、 = -(P-E)(P+E)^{-1} = -A ロ) E-A は正則 proof) E-A = (P+E)(P-E)^{-1} - (P-E)(P-E)^{-1} = {(P+E) - (P-E)}(P-E)^{-1} = 2(P-E)^{-1} よって、正則 ハ) (E+A)(E-A)^{-1} = P proof) E+A = (P+E)(P-E)^{-1} + (P-E)(P-E)^{-1} = 2P(P-E)^{-1} ここで、ロ) より、 (E-A)^{-1} = {2(P-E)^{-1}}^{-1} = (1/2)(P+E) よって、 (E+A)(E-A)^{-1} = 2P(P+E)^{-1}(1/2)(P+E) = P 問 12 A:n 次 A^*A = AA^* <=> |Ax|=|A^*x| (\forall x) [定義] この時、A は「正規行列」という proof) # 同値なので、両側を示す必要がある (->) (A^*Ax,x,)=(AA^*x,x) より、 (A^*x,A^*x,)=(Ax,Ax) より |A^*x|^2 = |Ax|^2 より |A^*x| = |Ax| # 逆がちょっと大変だが、以前にやったことをもう一度行う (<-) |A(x+y)|^2 = (Ax+Ay,Ax+Ay) = |Ax|^2 + |Ay|^2 + 2Re(Ax,Ay) |A^*(x+y)|^2 = (A^*x+A^*y,A^*x+A^*y) = |A^*x|^2 + |A^*y|^2 + 2Re(A^*x,A^*y) ここで、仮定より、長さが等しいので、 2Re(Ax,Ay) = 2Re(A^*x,A^*y) こんどは、y を iy で置き換えれば、同様にして 2Im(Ax,Ay) = 2Im(A^*x,A^*y) なので、これから、(実部も虚部も同じなので..) (Ax,Ay) = (A^*x,A^*y) よって、 (A^*Ax,y)=(AA^*x,y) # 実は、これが、任意の x,y で成立すれば、AA^*=A^*A と考えてよいが、少し丁寧に、先をすすめると.. よって、 ((A^*A-AA^*)x,y) = 0 ここで、 y = (A^*A-AA^*)x とすれば、 |(A^*A-AA^*)x|^2 = 0 (\forall x) ここで、x = e_1, .., e_n とすれば、 A^*A-AA^* = O となる。 == # 四角い紙の話し +-----------------------+ | | | 連 (二章) | 基(2) | | ク(1) # 答だけではだめで、途中計算が必要 | | | 逆 (二章) | # 求めるだけ | | | | | (三章) | # タイトル | | | S_n (三章 1 節)| | | | 証明 | | | +-----------------------+ == 来週は、演習問題を引続き行う。