代数幾何 I 古津先生 (2006/05/31) # 本日の内容を大雑把にいうと、曲線と平面 ( と曲面 ) == 1. 平面の直線 平面上の異る 2 点 P_1, P_2 を取ると、それを通る直線 l が一つ決る ( 点が異れば、必ず一つ決ることに注意 )。 平面上の原点を O とし、直線上の任意の点を P とし、夫々の位置ベクトルを v_1 = OP_1 v_2 = OP_2 v = OP とし、更に、直線 l に平行な ( 0 でない.. ) ベクトルを a とすれば、 点 P が、l 上にある <=> P_1P // P_1P_2 <=> P_1P = t P_1P_2 ( t \in R ) <=> v - v_1 = ta ( t \in R ) <=> v = v_1 + ta ( t \in R ) l: v = v_1 + ta ( t \in R ) を「直線のベクトル表示」と呼ぶ # 実は、直線をベクトルを用いて表す方法はもう一つあるが、こちらを取りあえず、「ベクトル表示」と呼ぶことにする。 a : l の方向ベクトル # ここで、更に、成分がわかっていれば、成分を用いても l を表現できる v_1 = ( x_1 ), v_2 = ( x_2 ), v = ( x ) y_1 y_2 y とすると、上記の式に代入して、 x - x_1 = t(x_2 - x_1) y - y_1 = t(y_2 - y_1) これより、t を消去して、 (t=) \frac{x-x_1}{x_2-x_1} = \frac{y-y_1}{y_2-y_1} これが、l の直線の方程式 これより、 y = \frac{y_2-y_1}{x_2-x_1}(x-x_1) + y_1 となる。 定義(内積表示) 直線 l の一般形式は、 l : a x + b y = c 特に、原点を通る場合は、 l_0 : a x + b y = 0 となる。 この式の右辺は、 o = ( a ) b とすれば、内積 (v,o) = 0 の形になっている。 # これも、ベクトルを用いての表現であるが、区別するために、こちらは、「内積表示」と呼ぶ。 o と直線上のベクトルは、直交している ( 内積が 0 なので.. ) 一般の直線 l の式は、 a x + b y = c なので、 (o,x) = c で表現できる。 o は、l と垂直なので、「法線ベクトル」と呼ぶ == [距離の公式] # 距離の公式は、直線の表現によって、それぞれ対応する形で作られる 直線 l と l 上にない点 P との距離を求める。 P から、 l への垂線の足を P' とする。 # 位置ベクトルは、それぞれ x_0, x_0' 求める距離は、 |PP'| = | x_0 - x_0' | である。 # 直線との距離は、垂直の足との距離 # 別の点だと、直角三角形になり、そっちの方が長い (1) [ベクトル版] l : x = x_1 + t a の時 P' は l 上の点なので x_0' = x_1 + t a ( となる t が存在する ) a は PP' と垂直なので、 (a,x_0-x_0') = 0 この式から、t を求めると t = \frac{(a,x_0-x_1)}{(a,a)} よって、 x = x_1 + \frac{(a,x_0-x_1)}{(a,a)} a これから、 |PP'|^2 = ( x_0 - x_0', x_0 - x_0' ) = \frac{|a|^2|x_0-x_1|^2 - (a,x_0-x_1)^2}{|a|^2} がいえるので、 |PP'| = \frac{\sqrt{|a|^2|x_0-x_1|^2 - (a,x_0-x_1)^2}}{|a|} これが、ベクトル表記の直線と点の距離の公式 # ベクトルの計算ができるようにしておくこと !! (2) [内積版] l : ( o, x ) = c の時 P' は l 上の点なので ( o, x_0' ) = c o は PP' と平行なので、 o // x_0-x_0' より、 x_0 - x_0' = s o ( となる s が存在する ) これより、s を求めると s = \frac{(o,x)-c}{(o,o)} よって、 |PP'| = \frac{|(o,x_0)-c|}{|o|} (3) [方程式版] l : a x + b y = c, P = (x_0,y_0) の時、 |PP'| = \frac{|a x_0 + b y_0 - c|}{\sqrt{a^2+b^2}} # 上の内積版から、直に出る。 # 直線と点の距離は、三つの版があるので、注意 !! == # この他の平面のベクトルによる図形の表示 円のベクトル表記 円の中心の位置ベクトルを c, 半径を r, 演習上の点の位置ベクトルを x とすれば、 |x-c| = r 二点間の線分のベクトル表記 OA と OB が線型独立 ( 三点 O, A, B が直線上にない ) 場合、 x = t a + s b を考えると... s+t = 1 という条件をつけると、直線 AB 上 s+t = 1, 0 <= t <= 1 とすると、線分 AB 上 s+t <= 1, s >= 0, t>= 0 とすると三角形 OAB の内部及び辺の点 0 <= t, s <= 1 とすれば、平行四辺形 OACB 内部ならび辺 # このような形で、色々なものが、ベクトルで表記できる == # 空間のベクトル表記 [空間内の直線] [定義] (空間の直線のベクトル表記) 空間内部の異る点 P_1, P_2 を通る空間上の直線 l を考える。 同様に、方向ベクトルを d とすれば、平面と全く同じように、 l : v_1 + t a となる。 # ベクトル表記では、平面と空間は同じ形でかけることに注意 # 方程式にすると、当然 z 成分が増えているので、表現が異る ## 空間内の直線に関しては、内積形式はない ( 考えれば作れるが面倒なのでやらない ) x_1 v_1 ( y_1 ) z_1 x_2 v_2 ( y_2 ) z_2 x_3 v_3 ( y_3 ) z_3 とすれば、 (t=) \frac{x-x_1}{x_2-x_1}=\frac{y-y_1}{y_2-y_1}=\frac{z-z_1}{z_2-z_1} となる。 [距離の公式] 同様にして、 x_0' = x_1 + t a ( となる t が存在する ) (a,x_0-x_0') = 0 # 始めの二つの式が同じなので、結果も同じ # これも平面と同様、空間でも、ベクトルでの操作は同じなので、 |PP'| = \frac{\sqrt{|a|^2|x_0-x_1|^2 - (a,x_0-x_1)^2}}{|a|} # 平面版と同じ !! == [空間内の平面] [定義] (平面のベクトル表記) 空間内の同一直線上にない三つの点を P_1, P_2, P_3 とすると、この三つの点を含む平面は、一つしかない。これを S とする。 P_1P_2 = a P_1P_3 = b とすれば、 P が S に含まれる <=> P_1P = t a + s b ( t, s \in R ) <=> x = x_1 + t a + s b ( t, s \in R ) 平面のベクトル表示 [定義] (平面の内積表記) 平面の方程式の一般形は、 S : a x + b y + c z = d S で平行な平面で、原点を通る平面 S_0 は、 S_0 : a x + b y + c z = 0 a x o = ( b ), v = ( y ) c z とすれば、 S_0 : (o,x) = 0 S : (o,x) = d ( 平面の内積表示 ) S, S_0 と o は垂直 となる。 o : 法線ベクトル [定義] 平面の交角 二つの平面 S, S' が垂直ならば、その法線ベクトル o, o' も垂直 特に、平面の交角は、その法線ベクトルの作る角のことである。 # 直線間の交角は、普通に定義するが、これは方向ベクトルの交角でよい [公式] (内積表示版) 平面と点の距離の公式 平面 S と点 P の距離を考える。 S の法線ベクトルを o, P から S への垂線の足を P' とすると、 求める距離 : |PP'| 平面の内積表示 : S : (o,x) = d # 以下は、直線の内積の場合と同じなので、結果も同じ |PP'| = \frac{|(o,x_0)-d|}{|o|} [公式] (方程式版) 平面と点の距離の公式 S : a x + b y + c z = d , P = (x_0,y_0,z_0) の時、 |PP'| = \frac{|a x_0 + b y_0 + c z_0 - c|}{\sqrt{a^2+b^2+c^2}} # 上の内積版から、直に出る。 [定義] 平面と直線の成す角 l と S が直交していないとする。すると、l の各点から、S への垂線の足を考えると、これは、直線になる ( これは証明が必要だが、あきらか.. ) ので、この直線を l' とする。 この l' と l の交角が、l と S の交角 # l と l' を含む平面を S' とする。 ここで、 a を S の法線ベクトル b を l の方向ベクトル とする。 今、0 <= \thita <= \frac{\pi}{2} とすると \frac{(a,b)}{|a||b|} = \cos{\frac{\pi}{2}-\thita}=\sin{\thita} or = \cos{\frac{\pi}{2}+\thita}=-\sin{\thita} よって、 \sin{\thita} = \frac{|(a,b)|}{|a||b|} == # 応用 [公式] 空間の球面の方程式 |x-c| = r O, A, B, C が同一平面上にない、すなわち、 OA = a OB = b OC = c が線型独立の時、 x = r a + s b + t c ( r, s, t \in R ) は、空間上の全ての点を表している。 r + s + t = 1 ならば、ABC を含む平面 r + s + t = 1 かつ r, s, t >= 0 ならば、三角形 ABC の内部ならび周 r + s + t <= 1 かつ r, s, t >= 0 ならば、四面体 OABC の内部 == 本日の内容は、一部、高校の話の復習 次回は、今後はこれに行列が関る