代数幾何 I 古津先生 (2008/01/17) これまで 3 章の章末問題をやっていた 8 まできたのだが、都合により 2 章の章末問題を解いてから、戻る => 2 章の章末問題の太字の用語で、後で利用されるものをやっておきたい P.71. 問 6 A : n 次 イ) A^k = E ( \eixst k \in N ) => A : 正則 proof) A^{k-1}A = A A^{k-1} = E よって、 A^{-1} = A^{k-1} 即ち、正則 ロ) A^2=A かつ A\ne E => A は正則でない # A の行列式が 0 とか、A の rank が n 以下を示してもよいが、こうゆう場合は背理法が簡単 proof) A が正則と仮定する A^{-1}A^2 = A^{-1}A より A = E これは、仮定に反するので矛盾。 ハ) A^k=O ( \exist k \in N ) の時、(この時「冪零(巾零)」と呼ぶ) => A は正則でない proof) A が正則と仮定する (A^{-1})^k A^k = (A^{-1})^k ) O より、 E = O これは矛盾。 ニ) A: 巾零 => E \pm A : 正則 proof) \exist k st. A^k = O なので、 B = E + A + A^2 + .. + A^{k-1} とすると、 B(E-A) = E - A^k ところが、 A^k = O より、 B(E-A) = E 同様にして (E-A)B = E よって、 B = (E-A)^{-1} なので、 E-A は正則 E+A の場合は、 C = E - A + A^2 + .. + (-1)^{k-1}A^{k-1} とすれば、以下、同様。 [問 7] # 用語はでてこないが、思い付かないと大変なので、やっておく X, Y : n 次の時、XY - YX = En とはならない。 # これを成分でやったら、とっても大変 # => うまいアイディアが欲しい.. proof) 左辺のトレースを取る Tr(XY-YX) = Tr(XY) - Tr(YX) # 和は分けられる(績は駄目) = Tr(XY) - Tr(XY) # 交換はしてよい = 0 一方、右辺のトレースは、 Tr E = n よって、上記の等式は成立しない。 [問 11] {}^tA = A の時 A は対称行列 だが、 {}^tA = -A の時 A は交代行列と呼ぶ [問 12] A^*A = AA^* の時、正規行列と呼ぶ。 # 対称行列も、交代行列も、正則行列である。 # 対称行列かつ交代行列なのは、O 行列のみ [問 11] P : n 次元 {}^tP P = E ( {}^tP = P^{-1} ) の時、 P+E : 正則 イ) A = (P-E)(P+E)^{-1} とおくと、 {}^tA = -A proof) [補題] ({}^tB)^{-1} = {}^t(B^{-1}) proof) BB^{-1} = E なので、両辺の転置を取ると {}^t(BB^{-1}) = {}^tE なので、 {}^t(B^{-1}) {}^tB = E よって、 ({}^tB)^{-1} = {}^t(B^{-1}) したがって、 {}^tA = {}^t((P+E)^{-1}){}^t(P-E) = ({}^t(P+E))^{-1}({}^tP-E) = ({}^tP+E)^{-1}({}^tP-E) = ({}^tP+E)^{-1}E({}^tP-E) = ({}^tP+E)^{-1}(P^{-1}P)({}^tP-E) = (({}^tP+E)^{-1}P^{-1})(P({}^tP-E)) = (E+P)^{-1}(E-P) = -(P+E)^{-1}(P-E) # 微妙の式の形が、しめしたいことと異なる # 行列でなければ、績の交換できて簡単なのだが、そうは行かない # ただ、この場合は上手くゆくことを次の補題で示す。 [補題] (P+E)^{-1}(P-E) = (P-E)(P+E)^{-1} proof) (P-E)(P+E)=P^2-E=(P+E)(P-E) なので、両辺の左右から (P+E)^{-1} をかけると、 (P+E)^{-1}(P-E) = (P-E)(P+E)^{-1} よって、 = -(P-E)(P+E)^{-1} ロ) E-A は正則 E-A = (P+E)(P+E)^{-1} - (P-E)(P+E)^{-1} = 2E(P+E)^{-1} = 2(P+E)^{-1} (P+E)^{-1} は正則なので、その 2 倍も正則。 ハ) (E+A)(E-A)^{-1} = P proof) E+A = (P+E)(P+E)^{-1} + (P-E)(P+E)^{-1} = 2P(P_E)^{-1} よって、 (E+A)(E-A)^{-1} = 2P(P+E)^{-1}(2(P+E)^{-1})^{-1} = 2P(P+E)^{-1}(1/2)(P+E) = P # 行列の抽象的な計算もできるようにしておく # 演習を沢山解くしかない !! [問 12] A : n 次元 A^*A = AA^* <-> |Ax| = |A^*x| (\forall x \in V) # 随伴行列の時も同様なことをやったが、証明の方針も同様 proof) (=>) \forall x に対して (A^*Ax,x) = (AA^*x,x) よって、 (Ax,Ax) = (A^*x,A^*x) よって、 |Ax|^2 = |A^*x|^2 よって、 |Ax| = |A^*x| (<=) |Ax| = |A^*x| と仮定し、前の証明の逆を辿ると (Ax,Ax) = (A^*x,A^*x) である。 これが任意の x について成立するので、x の代りに x+y を代入しても成立する (A(x+y),A(x+y) = (A^*(x+y),A^*(x+y)) よって、 (Ax,Ax)+(Ax,Ay)+(Ay,Ax)+(Ay,Ay) = (A^*x,A^*x)+(A^*x,A^*y)+(A^*y,A^*x)+(A^*y,A^*y) ここで、仮定より、 (Ax,Ax)=(A^*x,A^*x) (Ay,Ay)=(A^*y,A^*y) なので、 (Ax,Ay)+(Ay,Ax) = (A^*x,A^*y)+(A^*y,A^*x) 一方、 (Ay,Ax) = \bar{(Ax,Ay)} なので、 (Ax,Ay)+(Ay,Ax)=(Ax,Ay)+\bar{(Ax,Ay)} = Re (Ax,Ay) どうようにして、 (A^*x,A^*y)+(A^*y,A^*x) = Re (A^*x,A^*y) すなわち上記の式は、 Re (Ax,Ay) = Re (A^*x,A^*y) を意味する。 同様にして、 x+yi を使うと Im (Ax,Ay) = Im (A^*x,A^*y) これから、実部と虚部が等しいので、 (Ax,Ay) = (A^*x,A^*y) これから、 (AA^*x,y) = (A^*Ax,y) より ((AA^*-A^*A)x,y) = 0 よって、 AA^* - A^*A = O となる。 # より詳細には、y に(AA^*-A^*A)xを入れたあと、順番に x に e_j を代入すれば、これは 0 だが、(AA^*-A^*A) の j 番目の縦ベクトルとなりこれが常に 0 となるのことから導ける。 # ここまでで、2 章の問題はおわり、3 章に戻る。 [P.91 問 9] 3 点 P_i (x_i,y_i,z_i) ( for i = 1,2,3 ) を通る平面の式は、 | x y z 1 | | x_1 y_1 z_1 1 | = 0 | x_2 y_2 z_2 1 | | x_3 y_3 z_3 1 | proof) 一行で展開すると \~a_11 x + \~a_12 y + \~a_13 z + \~a_14・1 = 0 となる。 これは、x,y,z の一次式 ( 余因子には変数がふくまれないので ) よって、これは平面の式 一方、x, y, z に p_i を代入すれば、これは、左辺が 0 となる ( 同じ列ができるので ) ので、確かに、 p_i を通ることが解る すなわち、上記は三点を通る平面の方程式を表す。 # なので、平面の方程式そのものは簡単に表せるが、最終的に、行列式の展開をする必要があるので、この方法が簡単かどうかはわからない。 [問 10] Aの要素が全て整数の時、A を整数行列と呼ぶ。 A:正則かつ、A:整数行列 <=> |A| = \pm proof) (=>) |A| が整数かつ、|A^{-1}| も整数 |A| |A^{-1}| = |AA^{-1}| = |E| = 1 よって、 |A| = \pm 1 (<=) |A| \ne 0 よって、正則 A^{-1}の (i,j) 成分は、\~a_ji / |A| = \pm \~a_ji これは整数 [問 11] \sigma \in S_n A_\sigma : ( \sigma{j), j ) 成分が 1 他は 0 となる行列を考えると A = ( e_\sigma{1}, e_\sigma{2}, .., e_\sigma{n} ) と、単位ベクトルが並ぶ行列となる。 イ) A_\sigma は直交(実ユニタリ) 行列 proof) 成分は 0, 1 のみなので、実行列である よって、 {}^tA_\sigma A_\sigma = E を示せばよい。 実際、 {}^tA_\sigma A_\sigma = E ロ) A_{\sigma} A_{\tau} = A_{\sigma\tau} proof) B=(b_1,..,b_n) としたとき BA_\tau = B(e_\tau{1},..,e_\tau{n}) = (Be_\tau{1},..,Be_\tau{n}) = (b_\tau{1},..,b_\tau{n}) となることに注意して、B に A_{\sigma} を代入すると A_{\sigma} A_{\tau} = ( e_{\sigma(\tau(1))},..,e_{\sigma(\tau(n))}) = A_{\sigma\tau} ハ) sgn \sigma = \pm <-> det A_{\sigma} = \pm proof) \tau = (p,q) とすれば、A_{\tau} = P(p,q) となるので |A_{\tau}| = |P(p,q)| = -1 となる。 \sigma = \tau_1\tau_2..\tau_k よって、 A_{\sigma} = A_{\tau_1\tau_2..\tau_k} = A_\tau_1 A_\tau_2.. A_\tau_k よって、 |A_{\sigma}| = |A_\tau_1| |A_\tau_2| .. |A_\tau_k| = (-1)^k 一方、 sgn \sigma = (-1)^k よって、 sgn \sigma = |A_{\sigma}| == 大きな四角い紙の話 +-----------------------+ | ランク x 2 | +-----------------------+ | 連立 x 2 | <= 基本変形/クラーメルの解きかたが指定される | x 1 | 基本変形の場合は、最後の変形した結果を書く +-----------------------+ クラーメルの場合は行列式の値を書く | 逆 x 2 | +-----------------------+ | det x 2 | +-----------------------+ | 置換 | +-----------------------+