代数幾何 I 古津先生 (2008/05/22) # また、20 分遅刻 ## 以下は、去年のメモの一部をコピー -- 8< ---- 8< ---- 8< ---- 8< ---- 8< ---- 8< ---- 8< -- 代数幾何 I 古津先生 (2006/06/07) # 今週から「線型変換」の話 # 今週は平面、来週は空間の話をするが、内容的には同じような感じ == 平面の線型変換 平面上の点 P (x,y) ( その位置ベクトルを v ) を原点を中心にαだけ、反時計周りに、回転した点を P'(x'y') ( その位置ベクトルを v' ) としたとき、このような操作を行う変換はどうなるか ? # 面倒なので、OP と x 軸がなす角を、θとしておく ( これはちょっと反則 ) v と v' の関係を考える 回転なので、長さは変らないはず |v| = |v'| = r よって、 x = r \cos{\thita} y = r \sin{\thita} x' = r \cos{\thita+\alpha} = r \cos{\thita}\cos{\alpha}-r\sin{\thita}\cos{\alpha} = \cos{\alpha} x - \sin{\alpha} y y' = r \sin{\thita+\alpha} = r \sin{\thita}\cos{\alpha}-r\cos{\thita}\sin{\alpha} = \sin{\alpha} x + \cos{\alpha} y よって、 ( x' ) = ( \cos{\alpha}x - \sin{\alpha} y ) y' \sin{\alpha}x + \cos{\alpha} y = ( \cos{\alpha} -\sin{\alpha} ) ( x ) \sin{\alpha} \cos{\alpha} y この行列 ( \cos{\alpha} -\sin{\alpha} ) \sin{\alpha} \cos{\alpha} を 角度\alpha だけ回転する、回転の行列と呼ぶ この行列を A で表せば、 v' = A v の形で、成分を記述しない形にかける # 実は、このようにベクトルと係数を分けて書くために、行列が考え # られ、この等式が成立するように、行列とベクトルの積が定義され # た。この定義は、もちろん、高校までで学んだ内容と同じである。 更に、P' を \beta だけ回転させる行列を B とし、その結果を P'' とする。 また、元の P を、\alpha + \beta だけ回転させる行列を C とすれば、 当然、結果が等しいので、 v'' = B v' = B(A v) = (BA)v = C v とならなければならない。そこで、この等式 BA = C となるように、行列 A, B の積を定義すればよい。 ( \cos{\alpha} -\sin{\alpha} ) ( \cos{\beta} -\sin{\alpha} ) \sin{\alpha} \cos{\alpha} \sin{\beta} \cos{\beta} = ( \cos{\alpha + \beta} -\sin{\alpha + \beta} ) \sin{\alpha + \beta} \cos{\alpha + \beta} # これが、行列の掛け算の本来の由来 これを一般にすると、 AB = ( a b ) ( p q ) c d r s = ( pa + qc pb + qd ) ra + sc rb + sd となる ( ように定める = 定義 !! )。 #!! 行列の積はきちんと計算できるように !!!! == 定理 (線型性) A(x+y) = Ax + Ay A(cx) = c Ax # 証明は略 ( 行列の積の定義からすぐにでる ) # この関係は、今年と来年の講義で、なんども嫌というほど出てくる -- 8< ---- 8< ---- 8< ---- 8< ---- 8< ---- 8< ---- 8< -- # ここから、今日の話題 ## 行列の計算も、結局は、行列とベクトルの積で表現できるので、最小限度、 ## 行列とベクトルの積はできるようにしておく !!! == 色々な線型変換 x 軸に関する折り返し ( x 軸に関して、線対称な点へ写す変換 ) 素の点 P を (x,y), それと x 軸に対して、線対称な点 P' を (x',y') とする 図形の性質から x' = x y' = -y となる、 これから、変換の行列は、 ( 1 0 ) 0 -1 となる。 同様に、y 軸に関する折り返しは、 x' = -x y' = y となる、 これから、変換の行列は、 ( -1 0 ) 0 1 となる。 また、直線 y = x, y = -x に対する折り返しを考えると、 y = x の場合、図形の性質から、x 座標と y 座標が入れ替わるので、 x' = y y' = x となる、 これから、変換の行列は、 ( 0 1 ) 1 0 となる。 y = -x の場合、図形の性質から、x 座標と y 座標が入れ替わり更に符合も変るので、 x' = - y y' = - x となる、 これから、変換の行列は、 ( 0 -1 ) -1 0 となる。 # 実は、原点を通る直線に関する、一般的な折り返し変換の公式があり、それを利用すれば、 # 以上の話題は、一つにまとめて考えることができるが、それは、今回は後回し # 以上で、線に関する折り返しの話は済んだので、今度は点に関する対称 原点に関する折り返し 図形の性質から、 x' = -x y' = -y これから、変換の行列は、 ( -1 0 ) 0 -1 となる。 # 一方、「平面の場合」(空間の場合は、そうならない..) は、原点の # 廻りの 180 度回転とみなすことができるので、先の回転の公式に # \pi を代入してもよい # このように平面上の点の変換は、行列で表すことができるただ、平面上の点 # の変換が、必ず行列で表すことができるわけではない例えば、平行移動など # は、良く利用するが、これは行列では表現できない ## 実は、ちょっと工夫すれば、できるのだが、それはまた今度 # そこで行列で表現できる変換は特別だと考えてよいので、以下のように行列 # で表現できる変換を定義する。 [定義](線型変換) T : V^2 --> V^2 変換が T(x+y) = T(x) + T(y) T(c x) = x T(x) を満す時に、「T は、V^2 の線型変換」という # 「変換」というのは、「写像」の内、「値域」と「定義域」が同じもの # だから、「変換」は、常に「写像」でもある # この式は、この後いやというほどでてくる !! [定理] T_A : V^2 --> V^2 (変換, A は、実 2 次行列) を、 T_A(x) = Ax とすると、 T_A は、線型変換である。 (proof) T_A(x+y) = A(x+y) = Ax + Ay = T_A(x) + T_A(y) T_A(c x) = A(c x) = c (Ax) = c T_A(x) [定理] 上記のことは { 実2次行列 } ----> { V^2 上の線型変換 } \in \in A |----------------> T_A となる対応があること意味するが、実は、逆も成立する。 # これは重要 !! # 「次の変換に対応する行列を求めよ」という問題が出る !!! 逆に T を V^2 お線型変換とする e_1 = ( 1 ), e_2 = ( 0 ) 0 1 に対して、 T e_1 = ( a ), T e_2 = ( b ) c d とすれば、 V^2 の任意の元 v = ( x ) y に対して v = x e_1 + y e_2 なので、 T ( v ) = T ( x e_1 + y e_2 ) = T(x e_1) + T(y e_2) = x T(e_1) + y T(e_2) = x ( a ) + y ( c ) b d = ( ax + by ) cx + dy = ( a b ) ( x ) c d y よって、 A = ( a b ) c d とすれば、 = A x よって、 T = T_A # 単位ベクトルの行き先を並べれば行列が得られる { 実2次行列 } ----> { V^2 上の線型変換 } \in \in A <----------------| T_A # つまり、逆対応ができたので、一対一対応になっている # 有限なら数が同じと言いたいが、無限なので、「一対一対応になる」としか言えない [定理] T_B T_A = T_{BA} proof) (T_B T_A) x = T_B( T_A(x) ) = T_B( Ax ) = B( Ax ) = (BA)x = T_{BA}(x) == 射影子 [定義] (正射影) ベクトル a を固定し、任意のベクトル x に対して、 始点を一致させ、x の終点から、a へ下した垂線の足を H とする そして、始点から H へのベクトル x' を x の a への「正射影」と呼ぶ # 二次元の場合は一つしかないので簡単 # 三次元になると、直線や平面への射影子が出てくるのややっこしい [定義] (射影子) 変換 T : V^2 ---> V^2 \in \in x |-----> x' を、a への「射影子」と呼ぶ 具体的に T を求めてみると.., # 点と線分の距離の公式と同じことをやっている x' = ta (a, x-x') = 0 となるので、 (a, x -ta ) = 0 (a,x) = t(a,a) より、 t = \frac{(a,x)}{(a,a)} よって、 x' = \frac{(a,x)}{(a,a)}a = Tx これは、x の a への正射影を求める式になっている。 [定義] 射影子は、線型変換 proof) T (x,y) = \frac{(a,x+y)}{(a,a)}a = \frac{(a,x)}{(a,a)}a + \frac{(a,y)}{(a,a)}a = T(x) + T(y) T (c x) = \frac{(a,c x)}{(a,a)}a = c \frac{(a,x)}{(a,a)}a = T (x) # 射影子は、線型変換なので、それに対応する行列があるはずなので、それを求める a = (a) ( =/= 0 ) とすると b T e_1 = \frac{(a,e_1)}{(a,a)}a = \frac{a}{a^2+b^2} ( a ) b T e_2 = \frac{(a,e_2)}{(a,a)}a = \frac{b}{a^2+b^2} ( a ) b よって、 A = ( \frac{a^2}{a^2+b^2} \frac{ab}{a^2+b^2} ) \frac{ab}{a^2+b^2} \frac{b^2}{a^2+b^2} ) # この話をややっこしくしたものを後期にやる。ただし、その話は 4 章にある == アンケート : Web で行う 古津先生のコード 1190 # アンケートに答えてくれた人は、ちょっとボーナスがある !! 利根川先生のコード 1191 二週間以内に行うこと !!