代数幾何 B 古津先生 (2008/10/09) 前回やったこと 内積 エルミート行列 ユニタリ行列 # 今回は、ユニタリ行列から始める == 定理 A = ( a_1,..,a_n ) : n 次正方行列の時、次の イ) 〜 ニ) は同値 イ) A はユニタリ行列 ( A*A = E ) ロ) |Ax|=|x| ( \forall x \in C^n ) ハ) (Ax,Ay)=(x,y) ( \forall x,y \in C^n ) ニ) (a_i,a_j) = \delta_{i,j} (\forall i,j) # 同値なので、この定理の方を定義にしてもよいし、実際に、そのように定義している本もある 証明の方針 個々に、同値を示す ( 4 x 3 通りの => を示す ) と大変なので、次の方針でゆく ニ <-> イ) -> ロ) -> ハ -+ A | | | +---------------+ proof) ( イ) => ロ) ) イ) | v |Ax|^2 = (Ax,Ax) = (x,A^*Ax) = (x,Ex) = (x,x) = |x|^2 ( ロ) => ハ ) |x+y|^2 = |x|^2 + (x,y) + \bar{(x,y)} + |y|^2 || |A(x+y)|^2 = |Ax|^2 + (Ax,Ay) + \bar{(Ax,Ay)} + |Ay|^2 ここで、 |x+y|^2 = |A(x+y)|^2 |x|^2 = |Ax|^2 |y|^2 = |Ay|^2 なので ( by ロ) ) (x,y) + \bar{(x,y)} = 2 \Re (x,y) || (Ax,Ay) + \bar{(Ax,Ay)} = 2 \Re (Ax,Ay) 同様に、x を ix に変て同じことをすると (x,y) - \bar{(x,y)} = 2 \Im (x,y) || (Ax,Ay) - \bar{(Ax,Ay)} = 2 \Im (Ax,Ay) すなわち、実部と虚部が等しいので、 (x,y) = (Ax,Ay) ( ハ) => イ) ) proof) ハ) より (Ax, Ay) = (x,y) || || (x,A^*Ay) (x,Ey) よって、 (x,(A^*A-E)y) = 0 (\forall x,y) (A^*A-E)y = 0 (\forall y) A^*A-E = O ( イ) <=> ニ) ) # まず、準備 \bar{A^*A} = {}^tA\bar{A} = ( (a_i,a_j) ) # 成分が個々の列ベクトルの内積になっている !! である。 proof) ( ニ) -> イ) ) \bar{A^*A} = ( (a_i,a_j) ) = ( \delta_{i,j} ) = E よって A^*A = \bar\bar{A^*A}} = \bar{E} = E ( イ) -> ニ) ) 逆に ( (a_i,a_j) ) = \bar{A^*A} = \bar{E} = E = ( \delta_{i,j} ) (実行列) 対称行列の場合でも、証明は全く同じ # ユニタリの話は、まだやることが沢山あるが、それらは、来年の「代機 C」で学ぶ == [合同変換] # この話題は、別に平面や、空間に限って議論する必要はない ( 一般 # でも成立する ) のだが、具体的な例を説明するのが面倒なので、こ # こでは、平面、空間に限定して考える [定義] 空間または平面の壥の変換で、二点間の距離を変えないものを「合同変換」と呼ぶ # 一般的には、単に「二点間の距離を変えない」とすれば一般論が展開できる 例 回転(移動)、並行移動、対称移動 # これは、解り易い例だが、これの一般的な話 # 更に、これを、行列と搦めて議論したい.. # ちょっと準備 T_o : 原点 O を動かさない合同変換とする 更に、一直線上にある異なる三点 P,Q,R を考える P' = T_o P Q' = T_o Q R' = T_o R とすると..、T_o は、距離を変えないので PQR が一直線 | v PQ + QR = PR || || || <- 合同変換 P'Q' + Q'R' = P'R' | v P'Q'R' が一直線 すなわち、 合同変換は、直線上の点を直線に写す が言える ( 一般の合同変換で.. ) x \in V^2 ( V^3 ), c \in \R に対して、 OP=x, OQ=cx とすると、 O, P, Q は一直線上にある 上にあるように、OPQ の T_o の像を O'=O ( T_o が原点を移動しない ) P' Q' とすれば O,P',Q' も一直線上になるので、 OQ' = c OP' すなわち、 T_o(c x) = c T_o(x) # ここまでくれば、次になにをすれば解るすなわち、x+y の像を考える.. x,y \in V^n とし、 x = OP y = OQ とし、 x' = OP' y' = OQ' とすれば、三角形、OPQ と三角形 OP'Q' が合同 ( 三つの辺 OP = OP' OQ = OQ' PQ = P'Q' が等しい ) なので、対角線の長さも同じとなり T_o(x+y) = x' + y' = T_o(x) + T_o(y) ここまで、T_o が線型変換となることがわかったので、ある 行列 A が存在し、 T_o = T_A 特に、長さをかえないので、 |Ax| = |x| すなわち、A は直交行列 T_1 : 並行移動とする 原点 O の行きさきを O' とし a = OO' とすれば、 T_1(x) = x + a T を一般の合同変換とし、O の行きさきが O' になったとする。 a = OO' とすれば、 T_1(x) = x + a の逆変換は、 T^{-1}_1(x) = x - a となる。 # 合同変換は、常に 1-to-1, また、平面、空間上の変換は上へになるので、結局、同型になる T_o = T_1^{-1}T とすれば、これは、原点を移動しない、合同変換である。 実際 T T_1^{-1} | | v v O -> O' -> O で原点が移動しない 合同変換同士は、合同変換 よって、 T = T_1 T_2 すなわち、 T(x) = T_1(T_o(x)) = T_1(Ax) = Ax + a つまり、一般の合同変換 T は、行列 A とベクトル a を使って A x + a で表現できる、逆に、この形の変換は合同変換になっていることは明かなので、 合同変換と A x + a 型の変換は一対一に対応する # +a があるので、これは、線型変換ではない # 行列で扱いたい ( 例えば rank の計算をしたい.. ) ので無理に線型にする # これは、ちょっと強引な方法 そこで、次のようなことを考える x \~x = ( - ) # 元のベクトル x に対し次元を上げ、最後に 1 を追加 1 A | a \~A = ( ---+-- ) 0 | 1 とすれば、 Ax+a Tx \~A \~x = ( ---- ) = ( -- ) 1 1 となる。 # この形をしていれば、合同変換 [定理] T の逆変換 T^{-1} も合同変換 A^{-1} | -A^{-1} a \~A^{-1} = ( --------+----------- ) 0 | 1 とすれば、 T^{-1}(x) = A^{-1} x - A^{-1}a # これが合同変換であることは各自確認のこと !! となるので、合同変換。 [定理] T, S が合同変換なら、TS も合同変換 # 長さを変えない変換はなんどやっても長さをかえない \~A = ( A a ), \~B = ( B b ), 0 1 0 1 とすれば、 BA | Ba + b \~B \~A = ( ---+------- ) 0 | 1 よって ST(x) = S(Ax+a) = B(Ax+a)+b = (BA)x + (Ba+b) # これが群になるという話は、また来年 ## とちゅうできれちゃうというパターンが多いのは、いちいちやっている時間がないから ## 来年になったら、今回の話を思い出してください。 [定義] (運動) 運動は、合同変換で、図形を裏返しにしないもの [例(平面)] 平行移動, 回転 [反例(平面)] 線対称 # 空間では、右手系を左手系に変える場合に運動にならない [定義] (回転) 運動が、原点を変えない時、回転と呼ぶ 一般の合同変換 T は、平行移動 T_1 と、原点を変えない変換 T_o の合成となる T_1 は、T が運動かどうかとは無関係 T_o の性質によって、T が運動かどうかが解る 実は、T が運動かどうかは T_o に対応する直交行列 A に対して |A| > 0 の時、運動となる [定理] A が直交行列ならば |A| = \pm 1 proof) |A^*A| = |E| = 1 || |{}^tA A| || |{}^tA| |A| || |A| |A| = |A|^2 よって、 |A|^2 = 1 なので |A| = \pm 1 結局、運動の場合は |A| = 1 [例(平面の場合)] A = ( p q ) r s とすると、直交行列と、|A| = 1 p^2 + r^2 = 1 q^2 + t^2 = 1 pq + rs = 0 ps - qr = 0 最初の条件より、点 ( p, r ) は、単位円上の点となる、 また、点 ( q, s ) は、( p, r ) と直交するので、二通りが嗅がえられるが、 後半の条件より、一方に定まり、結局、 p = \cos{\thita} r = \sin{\thita} r = - \sin{\thita} s = \cos{\thita} となり、 A = ( \cos{\thita} -\sin{\thita} ) \sin{\thita} \cos{\thita} すなわち、回転。 \cos{\thita} -\sin{\thita} a \~A = ( \sin{\thita} \cos{\thita} b ) 0 0 1 # 空間(三次)でも同様に行えるが、面倒なのでパス 逆に、回転でない ( 運動でない.. ) 合同変換の例 ( |A| = -1 ) x 軸と角度 \frac{\thita}{2} で交わる直線 l の対称変換は A = ( \cos{\thita} \sin{\thita} ) \sin{\thita} -\cos{\thita} となり、運動でない。 # ここまでで、2 章の話題は全部終った、ただ、章末問題にいくつか「太字」で書いてある # 単語があり、今年は、2 章ができるかどうかわからないので、簡単に説明しておく [定義] \exist k \in N A^k = O の時、A は巾零 ^tA = A の時、対称行列 ^tA = -A の時、交代行列 |Ax| = |A^*x| のとき正規行列 # 5 章で使う(正規行列のスペクトル分解) [X,Y] = XY - YX を X と Y の交換子積 == 来回から、三回くらい、行列に戻る、実は行列式の話 それがおわったら、中間試験を行う予定 ( 利根川先生と一緒に行う ) == 8093 シールははってあるが、調査していない可能性がある