2008/12/04 「代数幾何 B」、古津 先生 先週の内容 部分空間 和空間 ( W_1 + W_2 ) 直和 ( W_1 O+ W_2 ) の必要十分条件 ( [4.8] をやった ) # 一つ、証明を飛ばしたが、それは来週やる == [例 4] V = M_n (K) dim V = n^2 に対し、 W_1 = { X \in V | tX = X } W_2 = { X \in V | tX = -X } が、部分空間になることはすでにやった。 これが直和になることを示したい # まず、和空間であることをしめす。 X \in V とし、 X_1 = \frac{(X+tX)}{2} X_2 = \frac{(X-tX)}{2} とすると、 t X_1 = t\frac{(X+tX)}{2} = \frac{(tX+ttX)}{2} = \frac{(tX+X)}{2} = \frac{(X+tX)}{2} = X_1 よって、 X_1 \in W_1 t X_2 = t\frac{(X-tX)}{2} = \frac{(tX-ttX)}{2} = \frac{(tX-X)}{2} = - \frac{(X-tX)}{2} = - X_2 よって、 X_2 \in W_2 一方、 X = X_1 + X_2 なので、V の要素は、W_1 と W_2 の要素の和で表現できるので、 V = W_1 + W_2 # 和であることがわかったので、直和であることを示す。 # この為には、定理 4.8 の条件の一つを示せばよい # 次元をつかえば一発だが、今回は、わざと、共通部分が 0 であることを示す。 X \in W_1 \cap W_2 とすると、 tX = X tX = -X なので、 X = -X よって、 X = O すわなち、 W_1 \cap W_2 = { O } よって、 V = W_1 o+ W_2 # ここまでは、二個の部分空間の直和をかんがえていたが、次は、三個以上の場合を考える。 [定義] W_1, .., W_n : V の部分空間 V の任意の元 v が W_i の元 w_i の和で表すことができる v = w_1 + w_2 + .. + w_n ( w_i \in W_n ) この時 V = W_1 + .. + W_n とする。 一般に、 dim V <= dim W_1 + .. + dim Wn だが、 特に表しかたが一通りの時 V は W_i の直和 と呼び V = W_1 o+ .. o+ W_n と書き込む。 [定理 4.9] ( 定理 4.8 の多次元版 ) V = W_1 + W_2 + .. + W_n の時、次の三つは、同値 1) V = W_1 o+ W_2 o+ .. o+ W_n 2) W_i \cap ( W_1 + .. + W_{i-1} + W_{i+1} + .. + W_n ) = { O } 3) dim V = dim W_1 + .. + dim V_n proof) # 帰納法を利用する k=2) の時は、定理 [4.8] k>2) の時、k-1 まで成立すると仮定し、U_i で表す [1) => 3)] V = W_1 + U_1 とする。 1) より、 v = w_1 + u_1 だが、その表現は一通り なぜなら、w_1 あるは、u_1 で複数の表現があったら、 全体の v にも複数の表現があることになり、矛盾 よって、 V = W_1 o+ U_1 よって、 dim V = dim W_1 + dim U_1 一方、帰納法の仮定より U_1 = W_2 o+ .. o+ W_n だったので、 dim U_1 = dim W_2 + .. + dim W_n なので、 dim V = dim W_1 + dim U_1 = dim W_1 + dim W_2 + .. + dim W_n [3) => 2)] V = W_i + U_i より、 dim V <= dim W_i + dim U_i dim U_i >= dim V - dim W_i = \sum_{i\ne j} dim W_j 一方、 U_i = W_1 + .. + W_{i-1} + W_{i+1} + .. + W_n よって、 dim U_i <= \sum_{i\ne j} dim W_j よって、 dim U_i = \sum_{i\ne j} dim W_j すなわち、 dim V = dim W_i + dim U_i よって、定理 4.7 より W_i \cap W_j = { O } [2) => 1)] x \in V = \sum_{j=1}^n x_j = \sum_{j=1}^n x'_j と、二通りに表せたとする すると、 x_i - x'_i ( \in W_i ) = \sum_{j\ne i} (x'_j-x_j) \in U_i となり、W_i と U_i の共通要素は O だけなので、 x_i - x'_i = O すなわち、 x_i = x'_i 二通りに表せたとおもったら、同じ表現になっていることが解ったので、表現は一意であることがわかる。 == 線型変換の話 # 以前、V^n から V^m への線型変換は、実は、行列に対応していることをやった # そして、与えらえた線型変換に対応する行列を求めることが重要だった # ここでも同様な話を展開する \forall T : K^n -> K^m : 線型 \exist A \in M_{m,n}(K) s.t. T = T_A [例 1] V = P_n(K) : n 次以下の多項式全体 T_b : V -> V (T_b(f))(x) = f(x+b) とすると、T_b は、線型変換 # 本当に線型かどうかは調べる必要がある T_b( f + g )(x) = (f + g)( x + b ) = f(x+b) + g(x+b) = (T_b(f))(x) + (T_b(g))(x) T_b( c f )(x) = (c f)( x + b ) = c ( f(x+b) ) = c (T_b(f))( x ) [例 2] V = { n 次漸化式 = 0 となる数列 } # 先頭の n 項目がきまれば、残りは自動的に決るので n 次元 T : V --------> V \in \in {x_n} |-> {x_{n+1}} # T は、先頭の要素を一つだけ取り除く変換 # 先頭をとって加えるか、加えてから、先頭をとるかは結果が同じ # 先頭をとってかけるか、かけてから、先頭をとるかは結果が同じ # よって、線型変換になっていることが解る [例 3] V = { n 次線型微分方程式の解法 } D : V -> V \in \in f -> f' = D(f) # 微分なので、線型性が成立するのは明か 次に、対応する行列を求めることにする。 # 対応する行列を求めたいのだが、その前に基底を决める必要がある。なぜなら、基底が # 変ったら、その行列も変化するから。 ## V^n の時には、明かな基底 ( e_i ) があったのでそれをとったが、一般の ## 線型空間では、そのような「標準的な基底」がないので、明示的に基底を示 ## す必要がある。 E= : V の基底 \phi : V ---> V \in x = \sum_{i=1}^n x_i e_i |---> (x_1, .., x_n) このペアで、 基底 (E,\phi) を考える。 T: V --> V' で (E,\phi) : V の基底 (E',\phi') : V' の基底 とすると、 \phi' T \phi^{-1} : K^n -> K^m : 線型変換 よって、 \exist A \in M_{m,.n}(K) s.t. \phi' T \phi^{-1} = T_A T V ------------> V' | | | | | \phi | \phi' | | v v K^n ----------> K^m \phi' T \phi^{-1} = T_A [定義] この A を基底 (E,\phi), (E',\phi) に対する T の行列と呼ぶ # 「A を求めよ」という問題がある # A を求めるにはどうすればよいか ? E = E'= x \in V Tx \in V' とすると、 x = x_1 e_1 + .. + x_n e_n Tx = x_1' e_1' + .. + x_n' e_n' なので、 x_1' (x_2') = \phi'(Tx) = T_A (\phi(x)) ... x_n' = ( a_11 .. a_1n ) ( x_1 ) ... (1) .. .. a_m1 .. a_mn x_n となる。 特に T e_j = a_{1j} e_1' + .. + a_{mj} e_m' # 結局、基底を写すとどうなるかを考える [例 4] V = P2(K) とし、 (T_b(f))(x) = f(x+b) とする。 この T_b に対する行列を考えたいので、基底を决める E = E' = <1, x, x^2> とする T_b(e_1)(x) = 1 = (e_1)(x) より、 a_11 = 1, a_21 = 0, a_31 = 0 また、 T_b(e_2)(x) = x + b = (e_2 + b e_1)(x) より、 a_12 = b, a_22 = 1, a_32 = 0 また、 T_b(e_3)(x) = (x + b)^2 = (e_3 + 2 b e_2 + b^2 e_1)(x) より、 a_13 = b^2, a_23 = 2b, a_33 = 1 以上により、 1 b b^2 A = ( 0 1 b ) 0 0 1 # 基底をかえると行列が変ることに注意 # 例として、基底の順番をかえてみる F=F'= とすると、それに対応する行列 B は、 1 0 0 B = ( 2b 1 0 ) b^2 b 1 となる。 さらに、E, F' に対応する行列 C は、 0 0 1 C = ( 0 1 2b ) 1 b b^2 となる。 [例 5] V = { k 次漸化式を満す数列 } T {x_n} |-> { x_{n+1} } \phi : V ---> R^k \in \in { x_n } ( x_0 ) .. x_{k-1} は同型なので k 次元 として、対応する行列を求める。 基底は、 e_i は、 x_i = 1, x_j = 0 ( i \ne j ) とする として、 E = とする。 ここで、T e_i をそれぞれ計算してみる 0, 1, .., k-1, k 番目 0, .., k-1 e_1 = { 1, 0, .., 0, -a_0, .. } |-> T e_1 = { 0, .., -a_0, .. } = - a_0 e_{k-1} e_2 = { 0, 1, .., 0, -a_1, .. } |-> T e_2 = { 1, .., -a_1, .. } = - a_1 e_{k-1} + e_0 ... e_{k-1} = { 0, 0, .., 1, -a_{k-1}, .. } |-> T e_{k-1} = { 0, .., -a_{k-1}, .. } = - a_{k-1} e_{k-1} これで、係数がわかったので、行列を求めることができ、 A = ( 0 1 0 .. 0 ) 0 0 1 .. 0 .. 0 .. 1 -a_0 -a_1 .. -a_{k-1} となる。 [例 6] V = { k 階線型微分方程式の解の集合 } D : 微分 D に対応する行列を考えたいので、基底を考える e_i は y^{(i}}(0) = 1, y^{(j}}(0) = 0 ( i\ne j ) とし、 E =