代数学幾何学 A (2009/04/16) 古津先生 前回の残りから 二つのベクトル x, y が作る平行四辺形の面積を S とする。 x と y のなす角度を θ とし、この範囲を 0 から π とする。 すると、 S = |x| |y| \sin θ となる。 ここで、 \sin{θ} = \sqrt{1-\cos^2{θ}} # θ とし、この範囲を 0 から π としたので、\pm はいらない なので、これを代入して整理すると S = |x| |y| \sqrt{1-\cos^2{θ}} = \sqrt{|x|^2|y|^2-|x|^2|y|^2\cos^2{θ}} =\sqrt{|x|^2|y|^2-(x,y)^2} # θが不要になった # ここまではよいのだが、この後が大事、成分をいれると.. x = ( a ), y = ( b ) c d とすると、 S = \sqrt{ (a^2+c^2)(b^2+d^2) - (ab+cd)^2 } = \sqrt{ (ad-bc)^2 } = |ad-bc| この形は、あとで、行列式の形で、重要になるので、覚えておく !! == (1) 平面内の直線 # 次回、 # (2) 空間の直線 # (3) 空間の平面 # をやるが、似ているので、今回しっかりすれば、これらも簡単 # ベクトルでは、真っ直ぐなものを扱うのが得意 直線の式 y = p x + q a x + b y = c を、ベクトルで考える 二点 A, B を通る直線 l を考える A の位置ベクトルを a とする B の位置ベクトルを b とする AB = v とする. 直線 l 上の点を X とし、その位置ベクトル x を考えると x = OX = OA + AX = a + t v # v と AX は同じ直線上のベクトルなので、定数倍になっている この時、v を l の方向ベクトルと呼ぶ # t の値によって、X はどこにくるか ? t = 0 の時 x = a となる t = 1 の時 x = b となる t = 2 の時 A から B の方向へ二倍先 # 今度は逆方向 t = -1 の時 A から B と反対側で同じ所 ... この様子から、t が実数全体を動けば、X は、直線 l 上の全体を動くことが解る # この様子から、t に限定すると、色々なことが解る。 0 <= t <= 1 の時 X は A から B の間になる ( 線分 AB を表現 ) 0 <= t X は、A から B 側の半直線になる # t を色々かえると、直線上の色々な図形を表現することができる # ちょっと別の考えかたをしてみる。 x = a + t v = a + t ( b - a ) = (1-t) a + t b # これは、a と b の線型結合になっている これは一般的に x = s a + t b となる。 ここで、 s + t = 1 とすれば、 前とおなじく、A,B を通る直線の式 # しかし、前回と異り、今度は s, t と二つパラメターがあるので、それを色々 # 考えれば、別の図形もでてくる。 t = 0, s は自由 とすれば、 直線 OA を表す t は自由, s = 0 とすれば、 直線 OB を表す # ここまでは、= (等号) だったが、今度は、不等号にしてみる s + t < 1 とすれば、 直線 AB で切られた半平面で、O が入っている方 t > 0, s = 0 とすれば、 直線 OA で切られた半平面で、B が入っている方 s > 0, t = 0 とすれば、 直線 OB で切られた半平面で、A が入っている方 # 不等式にすれば、半平面を表すことができる。 辺 AB s + t = 0, s >= 0, t >= 0 # これは、一つのパラーメータでも表現できるが、次のは二つあるために表現できる 三角形 ABC の内部(境界を含まない) s + t < 1 t > 0 s > 0 # ベクトルは、このような直線で囲まれた図形を表現するために利用できる # 三角形だけでなく、多角形も同様に表現できる # 原点を含まない三角形でも、平行移動すればよいので、やはり表現できる [まとめ] 直線のベクトル表示 (その一) x = a + t v # a は直線が通る点の位置ベクトル # v は直線と平行なベクトル # 次にもう一つのベクトル表示をやるが、その前に、これと直線の式の相互書換えをやっておく 問 1 イ) 2 x + 3 y = 4 直線上の二点を取る。 A ( 2, 0 ) B ( -1, 2 ) # 適当にとってもよいが、分数は嫌なので、整数のものをちょっと探す これから方向ベクトル v を求める v = AB = ( -3 ) 2 よって、 ( x ) = ( 2 ) + t ( -3 ) y 0 2 # 直線のベクトル表示は一通りでないことに注意 !! 問 2 イ) ( x ) = ( 1 ) + t ( 2 ) y -1 1 # やり方は二つある (1) # 直線上の 2 点を求める A ( 1, -1 ) B ( 3, 0 ) これから、2 点を通る直線の式を求める y = 1/2 x - 3/2 (2) パラメータ表示にする x = 1 + 2 t y = -1 + 1 t これから、t を消去する。 # (1) と (2) はどちらでもよいが、点が必要になることがあるので、その時は(1) を、そうでない時には (2) を使うとよいだろう。 # もう一つのベクトル表示 直線の式 a x + b y = c を考える。 x = ( x ), p = ( a ) y b とすると、 ( x, y ) = c という式になっている。 # というわけで、この間の表現は簡単に交換可能 これが、もう一つのベクトル表示 特に a x + b y = 0 の場合を考える。 これは、 (x,p) = 0 ってこと。つまり、直行する。 この場合、 a x + b y = 0 は原点を通る直線あり、p は、それに垂直なベクトルであることがわかる。 元の a x + b y = c に戻すと、これは、定数分だけ平行移動しただけなので、やはり p と l が垂直 であることわかる。 つまり、p は、l に垂直なベクトルだということが解る。 この p を l の法線ベクトルと呼ぶ。 == 正射影 # これは、後々、あっちこっちで使うので、ここで簡単な場合をやっておく 射影は、一般的にあるものに一定の方向から光をあてた時、別の物の上にできた影を考えること ここでは、ベクトルを直線への影を考えるが、さらに正射影の場合は、直線と垂直な方向からの光を考える。 # 平面上のベクトルに関しては、写す先は直線しかない # 空間のベクトルの場合は、平面と同じ直線への場合ともう一つ平面への正射影がある。 ベクトル w の直線 l への正射影 w' = s v を考える # w' は l 上のベクトルになるので、v の定数倍になる l の式は x = a + t v とする # 実は、a は関係ない。なぜなら a は直線 l の平行移動させるだけだが、l を平行移動しても、w' は変らないので.. w - w' を考えると、これは、l に垂直、すなわち v に垂直 これから、 w' = s v (w-w',v) = 0 が成立する。これを連立させて w' を求めると w' = \frac{(w,v)}{(v,v)} v となる。これが、正射影の公式。 # これは、後でも出てくるので、覚えておく。 # これの応用で、点と直線の距離を計算してみる。 # 今度は a も関係ある 直線 l : x = a + t v と、 l 上にない点 W (w) との距離を考える。 W から l に下した垂線の足を W_0 (w_0) とする。 w_0 = a + s_0 v # w_0 は、l 上の点なので (w-w_0,v) = 0 # WW_0 は l に垂直 # この式は、先の正射影の式によくにているが、一部異なる。でも方法はほぼ同じ これから s_0 を求めると s_0 = \frac{(w-a,v)}{(v,v)} となるので、 w_0 = a + \frac{(w-a,v)}{(v,v)} v 欲しいのは、w と w_0 の距離なので、 d = | w - w_0 | = | w - a - \frac{(w-a,v)}{(v,v)}v | ただ、これは、ちょっと複雑なので、覚える必要はない、ポイントは、「こうゆうことができる」ということ !! # 今回は、ベクトル表示、その 1 を利用したが、今度は、表示 2 (内積表示)を使う l : (x,p)=c とすると、 (w_0,p) = c w-w_0 = t_0 p という条件になる。 これを連立させて t_0 を求めると t_0 = \frac{(w,p)-c}{(p,p)} よって、距離は、 d = |w-w_0| = |t_0 p| = \frac{|(w_0,p)-c|}{|p|} となる。更に、成分表示すると、 w_0 = ( x_0 ) y_0 とすれば、 d = \frac{|a x_0 + b y_0 - c|}{\sqrt{a^2+b^2}} となる。 # 平面の直線の話はこれで、ほとんど終り # 後、もうひとつ、直線以外の平面図形を考える 点 A を中心とし、半径 r の円の演習上の点を X とすると、 | x - a | = r となる。 # 直線以外の図形は ? => ベクトルではあまり綺麗にかけない [例] 放物線 y = a x^2 + b x + c 焦点 B と、直線 l : y = a + tv を使う。 放物線上の点を X とすると |x-b| = \frac{\sqrt{|v|^2|x-a|^2-(v,x-a)}{|v|} となる ( が、あまり簡単ではない )。 # ただ、この形だと、傾いた放物線も表現できるので、それは便利 # 以上で本日は終だが、来週との関係を説明する 今回の x = a + tv -> (2) と関係がある (x,p) = c -> (3) と関係がある となっている。 おまけ a x + b y = c で、 法線ベクトル ( a ) b は、すぐ、わかるが、方向ベクトルは、簡単ではない。 しかし、公式として、 ( -b ), ( b ) a -a を覚えておくと便利。