代数学幾何学 A (2009/04/23) 古津先生 # 先週は、平面の図形の話をしたの、今週は空間の図形の話 平面の直線の式 x = a + t v (x,p) = c == # 空間なので、今度は直線だけでなく、平面もある。しかし、最初は直線 [空間内の直線の式] 二点 A (a), B (b) を通る直線上の点 P (x) は、 方向ベクトル v = AB を考えると、 x = a + t v ( t \in R ) と表現できる。 # これは、平面の場合と全く同じ ただし、式にした場合は(平面とは)全く異なる形になる 空間内の直線の式は、一般に以下のようになる \frac{x-a}{p} = \frac{y-b}{q} = \frac{z-c}{r} # これは、二つの一次式からなっている [例] x a p x = ( y ), a = ( b ), p = ( q ) z c r とすると、 x = a + t p なので、 x a p a + t p ( y ) = ( b ) + t ( q ) = ( b + t q ) z c r c + t r となる。 これより、次の連立方程式が定まり x = a + p t y = b + q t z = x + r t この式からt を消去すると、次の直線の方程式がでてくる \frac{x-a}{p} = \frac{y-b}{q} = \frac{z-c}{r} この式の p, q, r から、方向ベクトル が定まり a, b, c から通る点 が定まる。 # 相互の変換が出来るようにしておく !!! # ただし、直線の式が必ず、上の形式ででてくるわけではないことに注意 [問 1] x + 2y + 3z = 1 3x + 2y + z = -1 #!!! 二つの平面の交線を求める計算演習問題 空間(三次元)内での一次式は、平面の式を表している。 二つの平面の式から、その平面の交線が定まる => 空間の直線は、二つの平面で表現できる これから、直線の式を求めることを考える。 取りあえず、一つの変数 ( 例えば x ) で、他の変数 ( y, z ) を表すことを 考える。 # z を x で表すには、y が邪魔なので、連立させて y を消去すると.. z = x + 1 同様に、 y = -2x -1 こことで、形式的にパラメータ変数 t を導入して x = t とすれば、結果的に x = t y = -2t -1 z = t + 1 のように、パラメータで表現できる。これができれば、式を求めるのは簡単 x t ( y ) = ( -2t - 1 ) z t + 1 0 t = ( -1 ) + ( -2 t ) 1 t 0 1 = ( -1 ) + t ( -2 ) 1 1 となる。 直線の式が、平面と空間で同じないので、 線分の表示などは、空間でも、平面とまったく同じように表現できる x = s a + t b の時 s + t = 1 => 直線 0 < t < 1 => 線分 AB [空間の直線のなす角度] v に平行な直線 l と、w に平行な直線 l' の交角をθとする ( 0 <= θ <= π/2 ) # v と w の取りかたにより、負になったり、するのだが... # 絶対値を使えば、向きに関する心配はなくなる \cos{θ} = \frac{|(v,w)|}{|v||w|} [空間内の直線と点の距離] これは、直線の式が、平面の場合と同じなので、まったく同じ議論ができ、同じ結果が得られる。 # ので省略 # 直線の話は、ここまでとして、次は空間内の平面の話 [空間内の平面] 一直線上にない、三つの点 A (a), B (b), C (c) を通る平面の式を考える。 平面の式の一般形は、次の一次式の形 a x + b y + c z = d 平面上の点 P (x) をベクトルで表現することを考える。 AP = s AB + t AB なので、 v = AB w = AC とすれば、 x = OP = a + s v + t w と表現できる。 これが、空間内の平面のベクトル表示となる。 # 直線の場合は、平行なベクトルが一本 # 平面の場合は、平行なベクトルが二本要る # このベクトルは、平面内の独立なベクトルである必要がある # このベクトルの取りかたは無数にあるので、あまり名前を付ない ## この方法を続けると、(将来、次元を上た時..) ベクトルが沢山ふえてゆく !! [問 1] 2x - y + 3z = 1 をベクトルで表記する。 [答] まず、y を他の二つの変数で表す y = 2x + 3z - 1 後は、形式的に、x を s, z を t で表すと、 x = s y = 2 s + 3 t - 1 z = t となって、媒介変数表示になる。 これより、 x s ( y ) = ( 2 s + 3 t - 1 ) z t 0 s 0 = ( -1 ) + ( 2 s ) + ( 3 t ) 0 0 t 0 1 0 = ( -1 ) + s ( 2 ) + t ( 3 ) 0 0 1 となり、ベクトル表記ができた。 # 逆に、ベクトル表記から、平面の式を求めることも考える必要がある [問 2] x 1 1 -1 ( y ) = ( 2 ) + t ( -1 ) + s ( -2 ) z 0 2 1 [答] 1 + t - s = ( 2 - t - 2s ) 2t + s より、 連立方程式 x = 1 + t - s y = 2 - t - 2s z = 2t + s が得られる。 これから、s, t を消去すると、 x - y = z = -1 が得られる。 # 前回、平面上で、三角形の内部の表現方法を学んだ。 # 今回は、空間内でのの三角形の内部の表現方法を学ぶ。 [問 3] 三つの点 P_1 (x_1), P_2 (x_2), P_3 (x_3) が作る 三角形の周並びに、内部を表す表現を考える。 # 前回は、三角形の内部だけで、周を含めなかった。 # しかし、今回は周を含めるので、等号付きの不等式になる P_1P_2 = a P_1P_3 = b とすると、平面上の P_1 P = s a + t b ( 0 <= s, t <= 1 ) となる。 よって、 x = OP_1 + s a + t b = x_1 + s ( x_2 - x_1 ) + t ( x_3 - x_1 ) = (1-t-s) x_1 + s x_2 + t x_3 となる。パラメータを改めて置き換えて t_1 = 1 - t - s t_2 = s t_3 = t とすれば、 t_1 x_1 + t_2 x_2 _ t_3 x_3 となる。 ここで、三角形内の条件は、 t_1 + t_2 + t_3 = 1 t_1 >= 0 t_2 >= 0 t_3 >= 0 となる。 # 最初の等式を不等式にかえれば、四角すい (OABC) の内部になる # 平面のもう一つの表現形式を考える。 # ここまで、内積表示がでてきていないので、内積を利用した表現を考える。 [平面の内積表示] 平面 a x + b y + c z = d を考える。 平面と同様に、原点を通る場合を考えたいので、平行移動して、 a x + b y + c z = 0 を考えると、 a p = ( b ) 法線ベクトル c とすることにより、 (x,p) = 0 がでてくる ( 平面の時と同じ ) これを再び、平行移動して元にもどしてみると、垂直なベクトルは垂直なままであり (x,p) = d が平面を表現していることになる ( 平面の内積表示 ) # こっちの方は、次元が上っても、同じ形のまま [平面の為す角] \Pi_1 : (x,p_1) = d_1 \Pi_2 : (x,p_2) = d_2 を考え、その交角θ(0 <= θ <= \pi/2) を考える。 平面の場合と全く同じ議論で、 \cos{θ} = \frac{(p_1,p_2)}{|p_1||p_2|} となる ( 平面と同じ結果 )。 [問 1] x + 2y + 2z = 3 3x + 3y = 1 の為す角。 [答[ 1 p_1 = ( 2 ) 2 3 p_2 = ( 3 ) 0 なので、 \cos{θ} = \frac{(p_1,p_2)}{|p_1||p_2|} = \frac{\sqrt{2}}{2} よって、 θ = \pi/4 # 今度は、平面と点の距離 平面 \pi : (x,p) = d と、点 P(x_0) の距離を考える P から \pi へ垂直に下した足を P' ( x_0' ) を考えると、 平面と点の距離は PP' = |x_0-x_0'| という式になる。 利用できる式は、 (x_0',p) = d x_0-x_0' = s p となること。 平面と同様にして、 \frac{(x_0,p)-d}{|p|} となる。 平面の式が、 ax + by + cz = d で与えられた時は、 \frac{|a x_0 + b y_0 + c z_0 - d|}{\sqrt{a^2+b^2+c^2}} # 平面内の直線と式の公式は、そのまま、空間内の平面との距離の式になる # ここまでは、四角いものだけをあつかってきたが、次は、まるいもの # 前回わすれていたが、 [球の式] # 平面の円と空間の球は同じ形式 一点 A (a) を中心とし、半径 r の球面の表現 |x-a| = r 内部は、<= を利用すれば良い。 # 空間内の円は ? # => 球と平面の式を連立する # 前回、放物線をむりやりベクトルで表現をしたが、今回はやらない # => 教科書の後の方に「二次曲線」の話があるので、そこで、また、考える。 [平面と直線の交角] # 定義は ? 互いに一点で交わる、直線 l と平面 \pi が与えられたとき、その二つの為す角を考える。 => l の各点から、\pi の下した足を集めると、\pi 上に直線 l' ができる この l と l' の交角を、l と \pi の交角とする。 # この定義で、ほぼよいのだが、l と \pi が直交の場合には困る # だが、その場合は、始めから 90 度だと解っているので、問題ない 直線と直線の交角は既にやったが、この時は、方向ベクトル二つだったので\cos{θ} がでるが、ところが、直線の平面の場合は、平面側が、垂直ベクトルなので\sin{θ} が出てくることに注意 ( 間違い易い !! ) == 次回の予告 行列がでてくる 2 x 2, 3 x 3 がでてくる これいがいの行列は、二章でやる 一章では、この場合だけで、あらかじめ行列のかけ算を思い出しておく