代数学幾何学 A (2009/05/07) 古津先生 # 10 分遅刻した 回転の変換を考える # x,y を極座標で表す \alpha 回転 x = r \cos{\alpha} y = r \sin{\alpha} \alpha 回転したものを \beta 回転 x' = r \cos{\alpha+\beta} y' = r \sin{\alpha+\beta} 行列とベクトルのかけ算をこれが上手くゆくように定義する A を \beta 回転する行列とすると (x') = A (x) y' y が成立するようにすれば、 A = ( \cos{\beta} -\sin{\beta} ) \sin{\beta} \cos{\beta} となる。 # 行列と行列のかけ算も、これが上手くゆくように定義する A(Bx) = (AB)x となる様に、A と B から、AB をきめたい。 [定義] 行列の積 A = ( a b ), B = ( p q ) c d r s に対して、積 AB を次の様に定義する AB = ( ap + br qa + bs ) cp + dr cq + ds [定理] (線型性) A(x+y) = Ax + Ay ( 足し算が外に出せる ) A(cx) = cAx ( スカラー倍が外に出せる ) [定理] (結合律) (AB)C = A(BC) x 軸に関する対称移動 ( 1 0 ) 0 -1 y 軸に関する対称移動 ( -1 0 ) 0 1 原点に関する対称移動 ( -1 0 ) 0 -1 # 原点以外での点対称移動は、線型変換にならない # 線対称は、原点を通る直線なら線型変換になる x 軸との角度が \theta であるような直線 l に関する線対称変換 ( \cos{2\theta} \sin{2\theta} ) \sin{2\thita} -\cos{2\theta} [定義](線型変換) T : V^2 -> V^2 : 変換 が、 線型(一次)変換 とは、 T(x+y) = Tx + Ty T(cx) = cTx となる場合。 [定理](行列との積は、線型変換) A:行列とする T_A(x) = Ax と定義すれば、線型変換 proof) 前述の通り # 実は、逆もいえる !! [定理](線型変換は、行列との積) 逆に、 T:線型変換 に対して、 行列 A が存在し、 T = T_A である。 proof) T e_1 = ( a ), T e_2 = ( b ) c d を考え、 A = ( a b ) c d とすると、 v \in V^2 = ( x ) y に対して v = x e_1 + y e_2 と表せる。 T v = T ( x e_1 + y e_2 ) = T (x e_1) + T ( y e_2 ) = x T e_1 + y T e_2 = x ( a ) + y ( b ) c d = ( ax + by ) cx + dy = ( a b ) ( x ) c d y = A v # この証明には、「線型変換に対応する行列を求める」方法が提示されている # !!! 線型変換に対応する行列を求めよ(問題) # 回転の行列/一般の変換の行列 # ということで、x 軸との角度が \theta であるような直線 l に関する線対称 # 変換に対応する行列を求めてみる。 ## 上の証明より、T による結局 e_1, e_2 の変換結果を求めればよい 図形の性質より、 e_1 の移った先は ( \cos{2\theta} ) \sin{2\thita} e_2 の移った先は ( \sin{2\theta} ) -\cos{2\theta} となるので、 これを横に並べた行列 ( \cos{2\theta} \sin{2\theta} ) \sin{2\thita} -\cos{2\theta} が答となる。 [定義](正射影) 0 でないベクトル a を考える。任意のベクトル x に対して、x から、 a に影を下ろした結果を x の a への正射影と呼ぶ。 [定義](射影子) 0 でないベクトル a を考えると、任意のベクトル x に対して、その正射影 x' を 対応させる線型変換が作れるこの線型変換を a への射影子と呼ぶ 一般に、 Tx = \frac{(x,a)}{(a,a)}a となる。 [問 1] v = ( a ), a^2 + b^2 = 1 b とする時の a への射影子の行列を考えると、 T e_1 = \frac{(e_1,v)}{(v,v)}v = a v = ( a^2 ) ab T e_2 = \frac{(e_2,v)}{(v,v)}v = b v = ( ab ) b^2 よって、 A = ( a^2 ab ) ab b^2 [問 2] a, b \ne 0, a と b が垂直 T, S : a, b への射影子 イ) # 式でやると以下の通り、なお、図で考えれば、明か T^2 = T, S^2 = S proof) # 一方をやれば、他方も同じなので a だけやってみる。 T^2x = T(Tx) = T(\frac{(x,a)}{(a,a)} a ) = \frac{(x,a)}{(a,a)} T( a ) = \frac{(x,a)}{(a,a)} \frac{(a,a)}{(a,a)} a = \frac{(x,a)}{(a,a)} a = Tx ロ) TS=ST=O proof) TS(x) = T(\frbc{(x,b)}{(b,b)}b) = \frbc{(x,b)}{(b,b)} T(b) = \frbc{(x,b)}{(b,b)} \frac{(b,a)}{(a,a)} a ここで、a と b が直交しているので、(a,b) = 0 よって、 = 0 ハ) Tx + Sy = x proof) x = pa + qb と書くことができる。 T(x) = T(pa+qb) = T(pa)+T(qb) = pTa + qTb = pa 同様にして、 S(x) = qb === # 次は、空間(三次元) [定義] T : V^3 -> V^3 が線型変換とは T(x+y) = Tx + Ty T(cx) = cTx の時 [定義] 3 次の行列 a_11 a_12 a_13 A = ( a_21 a_22 a_23 ) = ( a_ij ), B = ( b_ij ) a_31 a_32 a_33 [定義] 3 次の行列の積 AB = C = (c_ij) c_ij = a_i1 b_1j + a_i2 b_2j + a_i3 b_3j # 2 次元の場合は前の二つだけだった # 一般化する場合は、これが、n 個に増える # 行列とベクトルの積も同様に定義される [定理] A(x+y) = Ax + Ay A(cx) = cAx (AB)C = A(BC) # 証明の仕方などは、二次元とまったく同じ # 変換と行列の関係も同様 # e_1, e_2, e_3 の像を並べればよい [注意] 座標系の決め方 ( 二通りある ) x : 親指, y : 人指し指, z: 中指として、 右手系 ( 右手の場合 ) 左手系 ( 左手の場合 ) # どちらでもよいが、教科書に合せる、右手系で考える == 点に対する対称移動 [原点に対する対称移動] P:(x,y,z) が P'(-x,-y,-z) になるので、 -1 0 0 ( 0 -1 0 ) 0 0 -1 となる。 軸に関する線対称 # 軸には向きが定まっているが、一般の直線の場合はそうでない事に注意 # 直線の向きの取りかたによって、右廻りと左廻りが逆になってしまう。 # ここでは、軸廻りなので、悩む必要がない [z 軸の回りに\alpha 回転] # x, y 平面の点は、x, y 平面に写る ( z 軸と垂直なので.. ) T e_1 = \cos{\alpha} ( \sin{\alpha} ) 0 T e_2 = -\sin{\alpha} ( \cos{\alpha} ) 0 0 T e_3 = ( 0 ) 1 よって、 \cos{\alpha} -\sin{\alpha} 0 ( \sin{\alpha} \cos{\alpha} 0 ) 0 1 となる。 [ x 軸の回りに\alpha 回転] # x, y 平面の点は、x, y 平面に写る ( z 軸と垂直なので.. ) 1 T e_1 = ( 0 ) 0 0 T e_2 = ( -\sin{\alpha} ) \cos{\alpha} 0 T e_3 = ( \cos{\alpha} ) \sin{\alpha} == [ポイント!!!] 回転の行列を覚えておく 一般の線型変換に対する行列が計算できるようにする 来週、平面への射影子に対する行列を求める/できれば、これで平面と空間の話を終りにして、 一般の行列の話にしたいとおもっている。