代数学幾何学 A (2009/06/04) 古津先生 前回まで 区分けした行列の積をやっていた == (l,m) 型の行列 A を (p,q) に区分けする m_1 m_2 m_q l_1 A_11 A_12 .. A_1q A = l_2 ( A_21 A_22 .. A_2q ) | | \ | l_p A_p1 A_p2 .. A_pq (m,n) 型行列 B を、(q,r) に区分けする # 前の行列 A の縦を m に分割したので、後の行列である B は横を # m に分割して数を揃える。 n_1 n_2 n_r m_1 B_11 B_12 .. B_1r B = m_2 ( B_21 B_22 .. B_2r ) | | \ | m_q B_q1 B_q2 .. B_qr A, B の積 C=AB は、(l,m) 型と (m,n) 型の積なので、(l,n) 型になる。 そこで、これを、(p,r) に区分けする。 n_1 n_2 n_r l_1 C_11 C_12 .. C_1r C = l_2 ( C_21 C_22 .. C_2r ) | | \ | l_p C_p1 C_p2 .. C_pr # この時、区分けしないで計算した場合と区分けして計算した場合で結果は一致するか ? # => 一致することを示すには、先ず型が等しく、さらに値も等しい必要がある # => それぞれをチェック [定理] C_su は (l_s, n_u) 型で C_us = A_s1 B_1u + A_s2 B_2u + .. + A_sq B_qu proof) A_st B_tu は ( l_s, m_t ) 型と ( m_t, n_u ) 型の積なので、 (l_s, n_u) 型になるので、型は一致する。 # 次は値 両辺の (\alpha, \beta) 成分を考える i = l_1 + l_2 + .. + l_{s-1} + \alpha k = n_1 + n_2 + .. + n_{u-1} + \\beta なので、これは、C_{su} の (i,k) 成分 = \sum_{j=1}^m a_ij b_jk A_st B_tu の (\alpha, \beta) 成分 = A_st の第 \alpha 行 とB_tu の第 \beta 列 = A の第 i 行の一部 m_1 + m_2 + .. + m_{t-1} + 1 〜 m_t と、 B の第 u 列の一部 m_1 + m_2 + .. + m_{t-1} + 1 〜 m_t の積 = \sum_{j=m_1+m_2+.._m_{t-1}}^{m_1+m_2+.._m_t} a_ij b_jk 右辺の (\alpha, \beta) 成分 = \sum_{t=1}^q ( A_st B_tu の (\alpha, \beta) 成分 ) = \sum_{j=1}^m ( a_ij b_jk ) # 抽象てきにやったので、結構、難しいが、一般には、それほど沢山に区分し # なくても役立つことが多い [例] ( 2 x 2 に区分けする ) A_11 | A_12 A = ( ------+------- ) A_21 | A_22 B_11 | B_12 B = ( ------+------- ) B_21 | B_22 A_11 B_11 + A_12 + A_21 | A_11 B_12 + A_12 + A_22 AB = ( -------------------------+------------------------- ) A_21 B_11 + A_22 + A_21 | A_21 B_12 + A_22 + A_22 # これは、成分が(行列でなく..) スカラーの場合とまったく同じ # => ただ、成分が行列なので、積の交換ができない事に注意 !!! [定理] 特に、A_21 = O, B_21 = O の時 A_11 | A_12 A = ( ------+------- ) O | A_22 B_11 | B_12 B = ( ------+------- ) O | B_22 A_11 B_11 | A_11 B_12 + A_12 + A_22 AB = ( -----------+------------------------- ) O | A_22 + A_22 [定理] 更、A_12 = O, B_12 = O の時 A_11 | O A = ( ------+------- ) O | A_22 B_11 | O B = ( ------+------- ) O | B_22 A_11 B_11 | O AB = ( -----------+------------- ) O | A_22 + A_22 # 区分けが意味があるのは、0 が多い場合と、同じ形がでてくる場合 # まえから利用している区分け -> 行列を列ベクトルの並びとみなす -> 縦に分割している [定理] A, B が共に、対角行列ならば、積 AB もまた対角行列で、その要素は、 対角要素同士の積を並べたものになる。 # 区分けは、またやるが、ここで、一旦やめて、話題をかえる。 §正方行列と正則行列 [定義] 正方行列 : 行と列のサイズが同じ行列 ( n, n ) 型 -> n 次の正方行列と呼ぶ # 正方行列がなぜ、うれしい ? # 和と差はできる # 積もできる # 単位元もある ( E, O ) # => 積の逆元は ? (割り算はできるか ..?) ... 実は、ない場合もある。 [問 1] A = ( 1 2 ) とすると、AX=E, YA=E となるような X, Y は存在しない 2 4 proof) X = ( x y ) u v とすると、 AX = ( x + 2z y + 2w ) = E = ( 1 0 ) 2x + 4z 2y + 4w 0 1 成分を比較して、連立方程式をたてると、 x + 2 z = 1 2 x + 4 z = 0 z + 2 w = 0 2 z + 4 w = 1 これは解なし。 [問 2] A = ( 1 2 ), B = ( 1 2 ) とすると、AX=B となる X は存在しない 0 0 ( 3 4 ) YA = B となる A は無限に存在する。 [問い 3] A n 次元行列で、第 k 列がすべて 0 XA = E となる X は存在しない。 proof) XA の (k.k) 成分を考えると、これは X の k 行と、A の k 列の積なので 0.。 ころが E の k,k 成分は 1 なの一致しない。 == [定義] XA = AX = E となる X が存在した場合、A は正則行列であると呼ぶ X を A^{-1} で表し、A の逆行列と呼ぶ [定理] (逆行列はただ一つ) A が正則のとき、逆行列は一つ proof) X, Y を A の逆行列とすると、 Y=YE=YAX=EX=X # 一つしかないので、記号をきめる。(二つ以上あると、記号を决めるのはちょっと難しい) [定理] A : 正則 -> A^{-1} も正則で、(A^{-1})^{-1} proof) A^{-1}A = A^{-1}A = E [定理] A,B : 正則ならば、AB も正則で、 (AB)^{-1} = B^{-1} A^{-1} # かけ算の逆行列のかっこをはずすと、順番が逆になる。 # これの順番が変ることに注意 !! proof) (B^{-1}A^{-1})(AB) = B^{-1}(A^{-1}A)B = B^{-1}EB = B^{-1}B = E [問い 1] A:正則 -> \bar{A}, {}^t A も正則 (\bar{A})^{-1} = \bar{A^{-1}} ({}^t A})^{-1} = {}^t {A^{-1}} # 転置とバーと逆はどの順番でもよい proof) (\bar{A})^{-1}A = \bar{A^{-1}A} = \bar{E} = \bar{E} = E A(\bar{A})^{-1} = \bar{AA^{-1}} = \bar{E} = \bar{E} = E [問い 2] (a b) が正則になるための条件は ? c d => ad-bc \ne 0 => |A| \ne 0 逆行列は 1 ----- ( d -b ) ad-bc -c a # 三次の行列の逆行列は公式がない 対角線の下がすべて 0 の行列を、上三角列と呼ぶ 上三角列の逆行列は(あれば..)上三角列になる。 更に、対角線が all-1 ならば、逆行列の対角線も all-1 さらに、対角線の上は、符号がかわっているだけ => 右上だけを求める == 中間テストの範囲 平面ベクトルと空間ベクトルがほとんど 一般の場合はかけ算だけ