代数学幾何学 B (2009/10/01) 古津先生 # 今日から 3 章 行列式 # ただし、試験範囲は、前期の内容を含むので注意 3 章 行列式 # 2, 3 次の行列式は、すでにやっている # 2 章に高次元の行列をやったので、今度は、高次元の行列の行列式 # ただ、高次元の行列式は定義だけでも大変なので、 # 今回は、その準備だけで、今日は「行列式」はでてこない 置換(群) # 本当は、「群」なので、それを前提に話したいのだが、「群」というのは、二年生で学ぶ内容なので、 # ここでは、群に関係する内容は、かいつまんで説明し、本当の目的である、置換の内容だけをやる [定義](置換) S : n 個数の元(要素)からなる集合 ~ { 1, .., n } S -> S の一対一変換を、n 文字の置換と呼ぶ。 [定理] 置換は、有限集合上の単写なので、自動的に全射になる。 すなわち、置換は、全単射 [表現] n 文字の置換は、有限集合上の写像なので、対応表を使って表現できる 1 2 .. n ↓ ↓ ↓ i_1 i_2 i_n σ(k) = k_i 下の結果の並べかたは n! あるので、置換の種類は n! 通り 置換を表すのに、↓を省略した次のような形で表現する σ = ( 1 2 .. n ) i_1 i_2 i_n [表現] (3 文字) 置換の表現は複数かんがられる。 σ = ( 1 2 3 ) = ( 1 3 2 ) = ( 2 1 3 ) .. 2 3 1 2 1 3 3 2 1 # 表現は、n! 通りあるが、どれも同じ置換を表す [例] (3 文字) ( 1 2 3 ), ( 1 2 3 ) 1 2 3 1 3 2 ( 1 2 3 ), ( 1 2 3 ) 2 1 3 2 3 1 ( 1 2 3 ), ( 1 2 3 ) 3 1 2 3 2 1 # 3! = 6 個ある [定義] (恒等置換 / 単位置換) 1_n = ( 1 2 .. n ) 1 2 .. n σ: S -> S は、全単射なので、逆写像が存在する [定義] (逆置換) σ = ( 1 2 .. n ) i_1 i_2 .. i_n に対して、σの逆変換 ( i_1 i_2 .. i_n ) # 上下を引っくりかえした 1 2 .. n を、σの逆置換と呼んで σ^{-1} で表す。 [例] σ = ( 1 2 3 ) 2 3 1 の時 σ^{-1} = ( 2 3 1 ) = ( 1 2 3 ) 1 2 3 3 1 2 となる。 [定義] (積) σ,τ の合成をσとτの積とよび、τσ で表す σ τ τσ : S -> S -> S σ = ( 1 2 3 ) 2 3 1 τ = ( 1 2 3 ) 1 3 2 に対して、 τσ = ( 1 2 3 ) 3 2 1 στ = ( 1 2 3 ) 2 1 3 となるので、τσとστは等しくない。 # 積の順番をいれかえると、等しくならないことがある # 写像の合成なので、当然。行列と同じ。 # ここらへんは、写像の性質からでてくる、置換の性質を利用していない点に注意 # 置換独自の性質はこの後から [定義] 対称群 S_n : n 文字の置換全体の集合 # 群の性質は [1.1] で出てくる # 要素が有限なので、 有限群になっている ## ここらへんの話は、来年やるので、ここでは、「話」だけ (覚えなくてよい..) [定理 1.2] イ) σ が S_n 全体を重複なく動く 時 σ^{-1} も S_n 全体を重複なく動く すなわち、 T : S_n -> S_n は 1 対 1, 上への写像 \in \in σ -> σ^{-1} proof) σ_1 \ne σ_2 ならば σ_1^{-1} \ne σ_2^{-1} # なぜかといえば、σ_1^{-1} = σ_2^{-1} なら σ_= σ_2 となるので よって、1 対 1 # 1 対 1 なので(有限集合上の写像なので)全射 ロ) τ \in S_n を一つ固定する σ が S_n 全体を重複なく動く 時 στ も S_n 全体を重複なく動く すなわち、 R_τ : S_n -> S_n は 1 対 1, 上への写像 \in \in σ -> στ proof) σ_1 \ne σ_2 ならば σ_1τ \ne σ_2τ # なぜかといえば、σ_1τ = σ_2τ なら σ_= σ_2 となるので よって、1 対 1 # 1 対 1 なので(有限集合上の写像なので)全射 [定義] (互換) S_n の元で、 2 つの文字を交換し他の元は移動しないようなものを互換と呼ぶ。 σ(i) = j, σ(j) = i, σ(k) = k ( \forall k, k \ne i, k \ne j ) この σ を ( i, j ) で表す。 # この本では導入されていないが、他の本ではよく利用されているし、 # 便利な記号なので、この講義では、利用することにする。 [定理] (i,j)^{-1} = (i,j) [定理] 任意の置換は、互換の積で表す。 [例] S_3 ( 1 2 3 ) = 1_3 = (1, 2)(1, 2) 1 2 3 ( 1 2 3 ) = (2, 3) 1 3 2 ( 1 2 3 ) = (1, 2) 2 1 3 ( 1 2 3 ) = (2, 3) (1, 2) 2 3 1 ( 1 2 3 ) = (1, 3) (2, 3) 2 1 3 ( 1 2 3 ) = (1, 3) 3 2 1 # 一般の S_n の場合は帰納法を利用して、証明する。 # これが、できると、更に、置換に関して、制限をつけることができる # [例] (1,i) の形の置換だけで表現する # [定理] (i,j) = (1,i)(1,j)(1,i) なので.. # [例] (i,i+1) の形の置換だけで表現する # 置換を互換の積に表す方法は、色々ある # ただ、無規則なわけではなく、実は次のことがいえる [定理(1.3)] 任意の置換は、何個の互換の積で表すことができるが、 互換の個数が偶数か奇数かは、もとの置換によって定まる。 # これは、成立するわけだが、以下で、利用する場合は、証明する必要がある # その証明が複雑なので、少し、準備をしてから証明する [定義](差積) n 変数の差積 Δ(x_1,..,x_n) = \Pi_{i