# 遅刻した、電車が遅れた 例をいくつか 漸化式をみたす、数列全体 線型微分方程式の解の全体 == # 線型写像 [定義] V, V' : K-線型空間 T : V -> V' が、 T(x+y) = T(x) + T(y) T(c x) = c T(x) (x,y \in V, c \in K) を満す時、 T は V から V' への線型写像 という。 # 以前にも線型写像をやった。以前は、ベクトルと行列だったが、今回は # 一般の線型空間であることに注意 特に V = V' の時、T を V の線型変換と呼ぶ [定理] T : V -> V' (線型) S : V' -> V'' (線型) => S・T : V -> V'' (線型) proof) # 線型写像であることを示すには、定義をみたしていることを示すのが基本となる x, y \in V, c \in K とする。 (S・T)(x+y) = S(T(x+y)) = S(T(x)+T(y)) = S(T(x))+S(T(y)) = (S・T)(x)+(S・T)(y) # 定数倍も同様 [定義] φ ; V -> V' (線型写像) が、一対一、上への写像の時、 φ は V から V' の上への同型写像 φ は V から V' との(間の)同型対応 と呼ぶ。 # 「上への」は、必要。なぜなら「中への」同型写像もあるので.. 同型対応があるとき、V と V'は、同型であり V \~= V' で表す。 [定理] 同型は、同値関係である 1) V \~= V 2) V \~= V' -> V' \~= V 3) V \~= V', V' \~= V'' -> V \~= V'' proof) [2)] V \~= V より \exist φ s.t. V -> V' (線型、全単写) φ は全単写なので、φ^{-1} が存在する # が線型かどうかは別らない # そこで、線型であることそしめす。 x', y' \in V' とし、x = φ^{-1}(x'), y = φ^{-1}(y') とする。 すると、 φ^{-1}(x'+y') = φ^{-1}(φ(x)+φ(y)) = φ^{-1}(φ(x+y)) # φ は線型なので = x + y # φ^{-1} は φ の逆写像 = φ^{-1}(x') + φ^{-1}(y') よって、和が分られる。 # 定数倍も同様 [3)] V \~= V より \exist φ s.t. V -> V' (線型、全単写) V' \~= V'' より \exist φ' s.t. V' -> V'' (線型、全単写) よって、 φ'・φ : V' -> V'' (線型、全単写) [定理] φ が 線型、全単射 => φ^{-1} も線型、全単射 [例 11] φ : M_{m,n](K) ------------> K^{mn} \in \in A=(a_1,..,a_n) ( a_1 ) a_2 .. a_n とると、これは同型写像 ( 線型、全単射 ) よって、 φ : M_{m,n](K) \~= K^{mn} # 「同型」を言いたい場合は、「同型対応をつくって」示す [例 12] V^3 ----> R^3 \in \in v |----> ( x ) # V^3 に座標をいれる y z これも同型写像 == [線型独立] # 次元とか基底につながらる大事な話 V: K-線型空間 a_1, .., a_n \in V の時、 c_1 a_1 + .. + c_n a_n ( c_i \in K ) を、 a_1, .., a_n の線型結合 とよび、 c_1 a_1 + .. + c_n a_n = 0 を a_1, .., a_n の線型関係 と呼ぶ。 # これは c_1, .., c_n の連立方程式になっている ここで、この線型関係を満す、c_1, .., c_n は c_1 = c_2 = .. = c_n = 0 とすることによって、常に成立させることができる。 これを 自明な解 この自明な解によってつくられる線型関係を、 自明な関係 呼ぶ。 もし、自明な解いがいの解がない場合、 a_1, .., a_n は線型独立 だといい、そうでない時、( 自明でない解があるとき ) a_1, .., a_n は線型従属 と呼ぶ。 [例] e_1, .., e_n \in K^n は独立 [例] V^2 で、同一直線上にない二つのベクトルは、独立 同一直線上にある v, v' の間では、 v = kv' が成立するので、従属になる [例] V^3 で、同一平面上にない三つのベクトルは、独立 同一平面上にある v, v', v'' の間では、 v = αv' + βv'' が成立するので、従属になる [定理 3.1] a_1, .., a_n が線型従属 <=> a_1, .., a_n のある一個が、他の線型結合で表わせる。 # 「線型従属であることを示す」場合に、この「下の形を示す」場合も多く、 # また、「線型従属であること」を、この「下の形を示す」で利用することが多い。 proof) (=>) c_1 a_1 + .. + c_n a_n = 0 が自明でない解をもつので、ある c_p は 0 でない。 そこで、そのような p に対応して、 a_p = - c_1/c_p a_1 - .. - c_n\c_p a_p ( p の項目はふくまれない ) が成立するが、これは、求める形 ( a_p が他の要素の線型和 ) (<=) a_p = b_1 a_1 + .. + b_n a_n ( p の項目はふくまれない ) よって 0 = b_1 a_1 + .. + (-1) a_p + .. + b_n a_n よって、(-1) となる自明でない解をもっている。 [定理 3.2] a_1, .., a_n が線型独立 a が a_1, .., a_n の線型和で表させない => a, a_1, .., a_n も線型独立 # 独立なものを一つ増やすことができる。 # 「線型独立」を示すには、定義にもどって、「線型関係をつくる、 # 自明な解しかない」ことを示す。 proof) c_1 a_1 + .. + c_n a_n + c a = 0 を考える。 ここで、 c \ne 0 とすると、 a = - c_1/c a_1 - .. - c_n/c a_n とできるので、 a が a_1, .., a_n の線型和でかけてしまうことになる。 これは、仮定に反する よって、 c = 0 そこで、これを元の式にいれると c_1 a_1 + .. + c_n a_n + 0 a = 0 よって、 c_1 a_1 + .. + c_n a_n = 0 ここで、 a_1, .., a_n が独立 なので、これは自明な解しかない。 c_1 = .. = c_n = 0 よって、元の式も自明な解しかない。 c_1 = .. = c_n = c = 0 [定理 3.3] c が b_1, .., b_n の線型結合 各 b_i が a_1, .., a_k の線型結合 => c も a_1, .., a_k の線型結合 proof) c = \sum_{i=1}^n c_i b_i ( c_i \in K ) b_i = \sum_{j=1}^k b_ij a_i ( b_ij \in K ) よって、 c = \sum_{i=1}^n (\sum_{j=1}^k c_i b_ij) a_i となる \sum_{j=1}^k c_i b_ij \in K なので、これは、c が a_i の線型和で表されたことになる。 # これらは、来週やる定理や、それ以後でも利用するのよく覚えておくこと