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コンピュータ概論(2002/06/19)
Ver. 1.0

2002年6月19日
栗野 俊一
kurino@math.cst.nihon-u.ac.jp
http://edu-gw2.math.cst.nihon-u.ac.jp/~kurino/comp/index.html
コンピュータ概論2002/06/19 の資料

目次

お知らせ

  1. くどいようですが、講義時間にwindows updateを行うのは止めてください。Networkが混む原因になりますから。

    講義終了後などに、空いている教室などを利用して、実行してください。

演習

Excel 利用法(その2)

計算機のモデルとしての Excel

前回に、計算機のの特質として、5つの利点と、1つの欠点(2)を紹介しました。

Excelは、これらの計算機の特質を実現した典型的なシステムですので、Excelの機能を説明しながら、計算機の特質との関係について説明して行きたいと思います。

  1. さて、前回の資料を参照せずに、6つ、あげることができるかな?

記憶装置としてのセル

Excelを起動したときに、気が付くのは、画面いっぱいに広がったスプレッドシートと、その上の縦横の罫線で区切られたセルと呼ばれるたくさんの升目です。

このセルの一つ一つに、データを記憶することができ、更に、そのデータをセルの名前で参照が可能です。

これは、計算機の持つ記憶装置としての能力が発現している典型的な例になっています。

このセルには、数値だけでなく、文字列も入力することができます。このセルをどのように利用するかは、Excelの利用者の想像力しだいです。

次は、ある仮想的な家計簿の例を考えたものです。

家計簿
家計簿
項目 名称 単価 数量
4 1 食費 りんご 100 3
みかん 30 5
4 交通費 大学まで 500 1
7 食費 大根 150 1
白菜 200 1
もやし 20 3
12 交際費 コーヒー 350 1
食費 チョコレート 100 2
アイスクリーム 100 1
14 交通費 友人宅 240 1
交際費 映画 1500 1
食費 牛丼 350 1
ジュース 100 2
20 食費 りんご 100 2
バナナ 40 3
22 交際費 コーヒー 350 1
交通費 友人宅 240 1
食費 牛丼 350 1
25 食費 ピーマン 70 2
ためねぎ 50 3
もやし 20 2
交通費 大学まで 500 1
28 食費 バナナ 40 2
みかん 30 5
30 交際費 コーヒー 350 1
食費 牛丼 350 1

このデータはcsv 形式か、Excel 形式で入手できますので、好きな方の形式の所で、右ボタンを押し、メニューが出たところで「名前をつけて保存」を選んで、保存してください。

もちろん、キーボードで入力しても構いませんが..

[演習1]
家計簿のデータ(Book1)を入手しなさい。

Copy 装置としての Excel

上記の家計簿の情報をdownloadした皆さんは、すでに、Copy機として

能力を早速利用したと思います。

更に、Copy能力を堪能しましょう。

まず、Excelを起動し、上記のファイルを読み込みましょう(単に、上記のdownloadしたファイルを「開く」だけで、Excelが起動し、読み込まれます)。

[演習2]
家計簿のデータ(Book1)をExcelに読み込み、表示させなさい。

次に、[ファイル]→[新規作成]を選びましょう。

画面の右側に、[新しいBook]として、いくつかの選択肢が表示されますがその中の[空白のブック]を選びます。

すると、「内容が全て消えてしまったような表示になります」が気にする必要はありません。

単に、「内容のない空白のSheet」が、新しく表示されただけ、だからで、以前の内容は残っています。

ちなみに、この状態であれば、[Alt]キーを押しながら[Tab]をキーをポン、ポンと押すたびに、「以前の家計簿」と、「空白のSheet」が交互に表示されると思いますので、試してみてください。

[演習3]

[Alt]+[Tab]を利用して、画面を色々と切り替えなさい。[Alt]キーを押した状態で、[Tab]を何度も押すと、どうなるか?

また、[Alt]キーから手を離すとどうなるか?

今後は、このように、[Alt]+[Tab]で、画面が切り替えられることを前提で説明を続けます。

元の家計簿に、移り、「単価」の直下、「りんご」の右の「100」と入っているセル( E3のセル)の所で、ボタンを押し、その状態で、数字の右下のF28のセルまで、マウスを移動してボタンを離してみましょう。

そうすると、矩形の部分の色が、反転し、この部分が選択されたことがわかります。

この状態で、[編集]→[コピー]を選ぶ(3)と、今度は、同じ領域の周りに、縞模様がついて、この部分が「コピーされている」状況をあらわしています。

このまま、もう一つのSheetに移り、適当なセルを選らんだ上で、[編集]→[貼り付け](4)を選ぶと、そのセルを基点に、ちゃんと、セル順に内容が複写されます。

[演習4]
新しいSheetの方で、画面のあちらこちらのセルの上で、[貼り付け]を行ってみよう。貼り付けを行う対象のセルに、すでにデータがあった場合はどうなるか?
[演習5]
新しいSheetの方で、適当な矩形の部分を選択し、[コピー]や[貼り付け]試して見なさい。
[演習6]
[コピー]の代わりに、[切り取り](5)を選ぶとどうなるだろうか?
  1. Control-C ([CTRL]キーを押した状態で、[C]のキーをポンと押す)でも、同じことができます。
  2. Control-Vでも、同じことができます。
  3. Control-Xでも、同じことができます。

Excel を検索装置として使う

データは量が多ければ多いほど価値があります。しかし、逆に多ければ多いほど、参照が困難になります(6)

Excelを利用すれば、Sheelの中にあるデータをその内容で検索することができます。

[編集]→[検索](7)を選び、100と入力して[次を検索]を選べば、カーソルが、その場所に飛びます。[次を検索]を次々に押せば、次のそのデータの場所に飛んで行くことがわかります。

[演習7]
元のデータに100は、何回出てくるだろうか?
[演習8]
セルの一部を選択した状態で、検索を行うとどうなるか?
  1. 一度でも、参考資料を図書館に探しに行った経験があれば..
  2. Control-F

電卓としてのセル

Excelのセルは、単に単純なデータを入れるだけの箱ではありません。実は、計算能力を持つ箱なのです。

これまでは、単に数値データや文字列データを入力していたのですが、同じセルに、「式」を入力することによって、計算をさせることができます。

Excelでは、「式」と単なる文字列を区別するために、「=(等号)」から始まった場合は、「式」とみなすようになっています。

早速、適応なセルに「=1+2」などと入力してみましょう。

すると、セルの中は、計算した結果となる「3」が入ることがわかります。しかし、そのセルをクリックし、選択すると、画面の上のfxの所には、ちゃんと入力したままの式である「=1+2」が保存されていることがわかります。

この様ににセルに式を入れるだけで、セルはその計算をしてくれるわけです。

他のセルの引用(相対)

単に、セルに定数だけからなる式を入れもあまり意味がありません。これなら、初めから、計算結果を入れても同じようなものでしょう。

しかし、式の中に定数でなく変数を入れることができれば、その可能性一変に広がります。

例えば、3 * 4 + 5だけでは、全く意味がありませんが、3 * x + 5ならば、一次関数としてみなすことができるわけですから、結構重要なことであることがわかります。

では、この3 * x + 5の中の変数xに相当するものは、Excelでは何が相当するのでしょうか?

実は、他のセルが、この変数に相当するのです。

例えば、A1のセルに、4を入れ、その隣のB1のセルに= 3 * A1 + 5を入力(8)してみましょう。

すると、B1には、17 ( = 3 * 4 + 5 )が表示されます。

[演習9]

家計簿のデータでは、単価と個数の欄があった。当然のことながら、この二つの数の積を計算すれば料金が計算できる。

家計簿のG3, G4にそれぞれ=E3*F3, =E4*F4を入力し、料金が実際に計算されていることを確認しなさい。

上記の演習で、G3と、G4では、入力する式が異なるので、もし、これを全ての行に行うとしたら、結構大変な作業となってしまいます。

しかし、良く考えてみると、どの式も本当は、「自分のセルの二つ左のセルと一つ左のセルの積を計算している」と考えれば、全て同じ式になるはずです。

このように、自分のセルの位置を中心に考えて他のセルの位置を表現する考え方を「相対表現」と呼びます。

実は、Excelはこの考えが基本となっています。実際、G3に対して=E3*F3という式を書くと、内部的には、「自分のセルの二つ左のセルと一つ左のセルの積」と解釈しています。

つまり、別の言い方をすれば、G3,に=E3*F3, G4に=E4*F4を入力することは、全く同じものを入力しているということです。

ここで、「複写装置としての計算機の能力」が役に立ちます。

G4の内容をCopyし、G5, G6に入れても、実は、思ったとおりに働くことがわかります。

[演習10]

家計簿のG5, G6, G7にG4の内容をCopyし、実際に思ったとおりの結果になっていることを確認しなさい。

特に、セルを指定したときに、どうなっているかも考えなさい。

[演習11]
G7からG27までを選択し、Ctrol-Dを押すとどうなるか確かめよ。
  1. セルに「式」を入れるときには、最初に「=」を入れる必要があります。「=」の前に、空白を入れてしまうと、「式」とはみなされませんのでご注意ください。

他のセルの引用(絶対)

これで、各料金が計算できたわけですが、そういえば、すっかり消費税のことを忘れていました。

このままでは、消費税の計算がままなりません。

そこで、計算式としては、G3の所では、=E3*F3*1.05などのようにし、先ほどの演習11のようにCtrol-Dをすればよいのですが、良く考えてみると消費税は、3%から、5%に変わったという過去があります。世の中には、10%にしようという働きもあるので、単に*1.05もないでしょう。

世には、円周率のパイを3.14から3にしようという話もある(9)ので、このような定数もうかうかとして利用できません。

そこで、G1に1.05を入れて、G3を=E3*F3*G3とすれば、後で、G1の値を1.03でも1.1にでも変更すれば問題ありませんね。さてどうでしょうか?

[演習12]
実際に、G1とG3にそれぞれ、上記の値をいれてみなさい。そして、更に、G1の値を色々とかえてみよう。
[演習13]
G3だけでなく、G4, G5にも式を考えていれてみなさい。

確かに、この方法は間違っていませんが、重要な問題があります。それは、「複写ができない」という点です。今までの相対表現では、セルが移動するたびに、税率の入っているG1の「位置の表現」が変わってしまうからです。

この場合は、「絶対表記」を利用します。

ここでは、G1のうち、Gは変化しないので、1の方を問題とします。具体的には、これまでG1と書いていた部分をG$1と書きます(つまり、G3の内容は、=E3*F3*G$1となる)。これによって、1の方は、「絶対表記」として扱われます。

[演習14]
実際に、G3, G4, G5の内容を「絶対表記」で書き、G1の内容を書き換えるなどして、問題なく動くことを確認しなさい。
[演習15]
G6以下も書き加えなさい。
  1. 本当です。Webを検索してみましょうね!!

自動処理装置としてのExcel Sheet

ここまで来れば、Excel Sheetが多くの自動化を行ってくれていることが、わかると思います。

このように、Sheetにデータを入れるだけでなく、データの処理方法を入れるだけで、様々な計算を自動的に計算してくれるわけです。

次回は、更にExcelの様々な機能を探ってみたいと思います。

式の依存関係

ここまでくれば、色々と欲もでてきましたね。まず、最初に考えるのは小計(累積の和)ではないでしょうか?

月の初めを零とし、その後、消費した分だけの金額を考えます。これは、現在までの総計に当日使用した金額を足せばよいわけです。

そこで、H2に零を入れ、以下、H3は、=H2+G2のようにし、H4以下も同様にすることによって、この小計が計算できることがわかります。

[演習16]
実際に、H2に0や、H3以下に、式を入れて、小計の計算をおこないなさい。

この場合にきになるのは、式の依存関係です。式によって、セル間に値を利用する、されるの順序関係が生じます。

この順序に矛盾がなければ問題がないのですが、依存関係に循環が生じると問題が起きます。

式を考えるときにはこの問題を意識する必要があるでしょう。

[演習17]
適当な、セルを選んで、互いに参照するような式を入れると、どうなるかを確かめなさい。

課題提出

最後の課題の結果を前回と同様csv形式に保存した上でe-mailで送りなさい。

課題の提出方法は、「しりとり」と同じ形式(XML 形式)でお願いします。

なお、idは、20020619001, titleはExcel:book1とします。表題に、[R]と判り易い表題をつけることを忘れないように。