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情報通信ネットワーク論[演習](2003/05/30)
Ver. 1.2

2003年5月30日
栗野 俊一
日本大学 理工学部 数学科
kurino@math.cst.nihon-u.ac.jp
http://edu-gw2.math.cst.nihon-u.ac.jp/~kurino/2003/ccna/ccna.html
情報通信ネットワーク論[演習]2003/05/30 の資料

目次

目的

この演習の目的は次の四つです。

IP Networkの基本
  1. IP Networkへ接続に必要な4つの情報の名前と、その役割。
  2. 自動設定(DHCPの利用法)と手動設定の違い。
  3. ping/traceroute/arp等の、IP Networkで利用する基本的なToolの利用方法。
Windows固有の内容
  1. MS-Windowsでの具体的なNetworkの設定方法。

演習

Windows(1)pcを用いた、Network実習

  1. もちろん、Microsoft Windows (MS-Windows)のことですが、つい、最近「Windows」という単語は、一般的な用語であり、Microsoftの商標にはならないとの、裁判の判定が出たばかりですから、「Windowsと言えば、MS-Windowsのことだ」という認識を改めるべきかもしれません。

Network 設定

Network 設定に必要な情報

IP Network設定に必要な情報は、以下の通りです。

IP Address

そのPCをNetwork上でユニークに識別する

IP Address の重複について

これに関して、次の二つの質問が出ましたので、それに関する回答を述べておきましょう。

Q. IP Addressが重複することはないのですか?

A.もし、そのようなことが生じたとしたら、それは、Networkの管理者が何らかのミスを行っているか、あるいは、悪意ある人が、わざとそれを行っている可能性があります。

原則として、Internet上のIP Addressは、重複させてしまうと通信ができなくなってしまいます(電話番号が重なったら何が起きるか想像してみましょう。)。

正常な管理者であれば、このようなことが起きないように注意深くIP Addressを管理しているはずですので、そのようなことは起きないと思ってよいでしょう。

また、わざと、他人と同じIP Addressを設定すると、その結果として、他人の情報を盗み聞きすることが可能になる場合もあります。そのような事が行われているとすれば、それは、通常は悪意の結果(他人の情報を盗み聞きするわけですから..)と考えたほうが良いでしょう。

まあ、もちろん、ちょっととしたミス結果としてや、トラブルを解決するために実験として、管理者が明示的に、一時的にIP Addressの重複等の一般的でない設定を敢えて行うことはありえますが、通常の状態ではないということです。

Q.でも、演習で利用するIP Addressは、あちらこちらでよく見かけるのですが、本当に重複していないんですか?

A.大変良い点に目をつけました。実は、これらのIP Addressは、実際には重複して利用されているのです。しかし、以下に述べる理由により、これは、問題がありません。

前問への回答でも繰り返し述べたように、Internetでは、原則として、通信にかかわる全てのHostは、異なるIP Addressを持ちます。これは、電話番号の例えから当然のことであると理解できると思います。

しかし、特別な仕掛けを導入することにより、丁度、電話の外線番号と内線番号のような関係を、IP Networkの中に、持ち込むことができます。

これはNATあるいは、NAPTという技術と関係があるのですが、これに関しては、後の実習で行いますので、楽しみにしてください。

さて、電話の例えにもどって説明を続けましょう。

外線は、当然のことながら一般のIP Addressと同様、ユニークでなければなりません。しかし、その一方、内線番号は、組織の中で好きな番号を利用できます。

実は、それと同じことが、IP Networkの世界でも可能なわけで、実は、演習で利用されているIP Addressは、そのような「内線番号のように組織内で、別々に利用することを想定してある特別なIP Address ( Private IP Address )」だったわけです。

したがって、会社毎に、内線番号1番があっても良いのと同じ様に、大学や、家庭毎に、同じPrivate IP Address ( 192.168.xx.xx等)が重複して利用されても構わない(というか、構わないように、特別な仕掛けがされている.. )わけです。

ただし、内線番号を利用する場合は、普通の外線と使い方が異なる(例えば、外から、内線番号に電話を掛ける場合は、一度、代表番号に電話をしてから、更に、内線番号に掛けなおす必要がある.. )と同様、Private IP Addressも、そのようなNetwork的な制限がある(具体的にどんな制限かも、後ほど..)こともついでに覚えて置きましょう。

ためのIDで、十進数の数( 0 ~ 255 :二進数で、8桁[ 8 bit ]の数)の四つ組みで、その四つの数を、'.' (ピリオド)で区切ったもの(例: 192.168.1.1 )。

原則として、PC毎に異なるIP Addressが振られます。

subnet mask

IP通信では、直接通信できるネットワーク(2)にあるHostと、そうでないネットワークにあるHostを区別する必要があるが、そのために、IP Addressの中のどの部分(先頭から何bitだけ.. )その区別を行うために利用するかという部分の長さを表す。

基本は、IP Address中の前から何bitを、Network番号とするかを示すための長さ(例: 24 bitなら/24と書く)を示すが、昔の規格との互換性のために、その長さ分のbitを1にし、残りを0にした、ip addressと同じ形式の四つ組み(例: 255.255.255.0 )で表すこともある。

default gateway

直接通信できないネットワークにあるHostと通信する場合に、その情報を中継するRouterのIP Address。

当然のことながら、このRouterとは、直接通信できる必要がある。

name server address

IP Addressとは、直接無関係だが、IPを利用した、様々なアプリケーションにおいて、IP Addressの代わりに、Domain Nameを利用するので、Domin nameからIP Addressを求めるサービスが必要になる。

このIP Addressは、そのサービスを行うサーバーのIP Addressである。

ここで、「直接通信できる」というのは、今はいい加減に「同じHubで接続されているHost」位の意味で捉えてください。

なお、次の点に注意してください。

IP Address / subnet mask

この二つが指定されないとIP通信はできない。

しかし、逆に、これだけ指定すれば、「直接通信」はできる。

gateway address
上記に加え、これが指定されれば、原則として、IP Addressを用いて、Internet上の全てのHostと通信が可能。
name server address
domain nameを利用した通信が可能。

つまり、状況によって、全ての情報が必要になるわけではないということです。

  1. 同一論理セグメント内にあるということ。あるいは、ここでは、単純に同一のHubにつながっていると考えてもよい。

Network 設定の方法

Networkの設定方法は、次の二通りがあります。

DHCPを利用する(動的な設定)方法
これは、普段利用している方法で、Windows PCが、Network上のServerに設定情報を要求し、その結果を利用します。(3)
手動で行う(静的な設定)方法

[スタート]→[設定]→[コントロールパネル]→[ネットワーク]→[TCP/IP]で設定する方法。

これは、上記の4つの情報を、具体的に設定します。

  1. したがって、普段は、上記の4つの情報を知らなくても、Networkが利用できるわけです。

Network 関係のコマンド

windowsで、利用可能なコマンド(全て、「DOSプロンプト」から起動します。)を以下に述べます。

winipcfg

DHCPによる、現在の設定を確認したり、(まだ、設定が済んでいなければ、明示的に.. ) DHCPを利用して、再設定を行うことができます。

winipcfg

このコマンドによって、MAC Addressも知ることができることに注意。

ping
pingコマンドの後に、通信の宛先( IP Addressまたは、Domain Name )を指定することによって、そことの通信が可能かどうかを判定する。
c:\usr\ccna\資料\20030530>ping 133.43.98.131
Pinging 133.43.98.131 with 32 bytes of data:

Reply from 133.43.98.131: bytes=32 time=449ms TTL=237
Reply from 133.43.98.131: bytes=32 time=53ms TTL=237
Reply from 133.43.98.131: bytes=32 time=35ms TTL=237
Reply from 133.43.98.131: bytes=32 time=59ms TTL=237

Ping statistics for 133.43.98.131:
    Packets: Sent = 4, Received = 4, Lost = 0 (0% loss),
Approximate round trip times in milli-seconds:
    Minimum = 35ms, Maximum = 449ms, Average = 149ms

c:\usr\ccna\資料\20030530>
tracert

tracertコマンドの後に、通信の宛先を指定することによって、そことの通信をするときに、追加するRouterのIP AddressのListを表示する。

c:\usr\ccna\資料\20030530>tracert -d 133.43.98.131

Tracing route to 133.43.98.131 over a maximum of 30 hops

  1     1 ms     1 ms     1 ms  192.168.0.1 
  2     9 ms     7 ms     7 ms  43.240.175.252 
  3     8 ms     8 ms     8 ms  10.18.5.41 
  4     8 ms     9 ms     7 ms  10.18.5.17 
  5     8 ms     8 ms     9 ms  10.0.18.137 
  6     9 ms     8 ms     8 ms  10.9.17.137 
  7     9 ms     9 ms     9 ms  210.171.224.150 
  8     9 ms    10 ms     9 ms  150.99.197.141 
  9    10 ms    10 ms     9 ms  150.99.197.21 
 10    10 ms    10 ms    10 ms  150.99.197.38 
 11    10 ms    10 ms    11 ms  150.99.197.226 
 12    13 ms    12 ms    11 ms  150.99.170.17 
 13    13 ms    12 ms    13 ms  133.43.230.1 
 14    18 ms    19 ms    16 ms  133.43.230.14 
 15    19 ms    29 ms    28 ms  133.43.98.7 
 16    40 ms    39 ms    42 ms  133.43.98.133 
 17    42 ms    41 ms    40 ms  133.43.98.131 

Trace complete.

c:\usr\ccna\資料\20030530>

pingに失敗した場合でも、このコマンドによって、どこで問題が生じているかが判定できる。

arp
arp tableを表示する。これによって、IP AddressとMAC Addressの対応関係を知ることができる。
その他
この他にも、多くのNetworkを利用するコマンドがあるが、ここでは、その内のいくつかを列挙しておくに留める(4)
  1. iexplore (インターネットイクスプローラ) : Webを参照するために利用される。
  2. ファイル共有:これは、直接接続すれば、利用可能になることに注意。
  3. ftp :主にunix hostとのファイルのやり取りに利用される。
  4. telnet :主にrouterやunix hostを、Networkを経由して操作する場合に利用される。
  1. 利用法については、次回以降の実習で説明する。

Network 実習

実習

winipcfgとDHCP
  1. ネットワークケーブルを接続せずにPCを起動しなさい
  2. winipcfgを実行し、どのような表示になるか確認しなさい([詳細]もクリックしてみなさい)
  3. ケーブルを接続しても、iexploreで、Webが参照できないことを確認しなさい
  4. [再設定]とどうなるかを確認しなさい。
  5. この状態であれば、Webが参照できることを確認しなさい。
  6. この状態で、IP接続に必要な4つの情報と、自分MAC Addressを記録しなさい。
ping/arp/tracert
  1. arp -aを実行し、現在のarp tableには、何もないことを確認しなさい。
  2. 二人一組になり、一方から、他方にpingしてみよう。
  3. pingの後にもう一度、arp -aを実行し、通信相手のIP Addressや、MAC Addressを確認しよう。
  4. 上記の実験をいろいろな人に対して行ってみよう。
  5. tracert -d www.yahoo.co.jpなどとして、自分のPCから、yahooまで、どれくらいのrouterを経由するかを確認しなさい。

    このときについでに、yahooのip addressも確認しておくこと。

DHCP Serverの必要性
DHCPを利用した、自動設定は、非常に便利ですが、これを利用するためには、予め、そのサービスを行うDHCP Serverが設置されてなければなりません(5)
  1. こちらでDHCP Serverを停止したら合図をします(6)

    そしたら、もう一度、winipcfgで、[再設定]を行ってください。DHCP Serverないとどうなるかがわかると思います。

  2. 再度、DHCP Serverを開始します。ここで、また、[再設定]してみましょう。
手動による設定
  1. [スタート]→[設定]→[コントロールパネル]→[ネットワーク]→[TCP/IP]で、先ほどメモした、情報の内、ip addressとnetmaskだけを設定してください。

    設定を有効にするには、再起動が必要なことに注意。

  2. この状態で、PC同士は、pingが可能だが、外(例えば、yahooとは通信できないことを確認しよう)。

    pingを使ったときに、ip addressを指定した場合と、www.yahoo.co.jpとした場合のメッセージの違いも確認しよう。

  3. 今度は、default gatewayを設定してみよう。
  4. 同様にping/tracertを利用して、今度は、ip addressを指定した場合に、yahooと通信できることを確認しよう。

    domain name ( www.yahoo.co.jp )をつけたらどうなるだろうか?

  5. 最後に、name serverも設定してみよう。
  6. やはり、ping/tracertで、yahooと通信( IP Address, Domain Nameの両方)を確認しよう。

    また、tracertで-dをつけた場合にどうなるかも確認すること。

  1. 普段は、大学側で、すでに、設置済みなので、皆さんは、意識する必要がなかったわけですが、今度は、皆さんが、そのDHCP Serverを設置する立場になるわけですから、これを意識する必要があります。

    この演習では、DHCP Serverの設置方法の実習も行う予定ですので、楽しみにしていてください。

  2. 「ケーブルを抜く」でも良い。

Hub 接続

PC間を結ぶには、HUBだけがあれば十分です。いくつかのグループ分かれて、Hubに自分のPCを接続し、それぞれ、IP Address (とNetmask)を手動で設定して、PC間の通信ができることを確認しなさい。

当然のことながら、Routerが接続されていないので、Internetは利用できないことも確認しよう。

Cross Cable 接続

Cross Cableという特別なCableがあり(7)、これだけで、2台のPCが接続できる(あたかも2 portのHubがあるかのように利用できる)ことを確認しよう。

  1. Cross Cableと通常のCable (Straight Cable)では、配線が異なることを目で見て確認しよう。
  2. 二人一組になって、Cross Cableで接続し、Hubと同様な実験をおこないなさい。
  1. この実習で、Cable作成実習( CrossもStraightも.. )が予定されていますので、お楽しみに。