情報通信ネットワーク(2005/10/28)
Ver. 1.1
2005年10月28日
栗野 俊一
目次
OSPF (Open Shortest Path First)
概要
- Link State型の典型的なRouting Protocolの一つ。
- Dijkstra(ダイクストラ)博士が開発した最短経路探索法(Shortest Path First)を利用して、経路情報( Forwarding Table )を作成するProtocolで、Openに作られた(1)ので、Open Shortest Path First (2)という名前になった。
- RIP の欠点を補う形で策定(原文)されており、中規模以上のNetworkで用いられる。
OSPF の特徴
OSPF の挙動
経路情報の交換
- Hello Messsageを交換することにより、Linkを確立する。
- Linkの変化情報(LSA:Link-State Advertisement)を交換する。
- 各々のRouterが全てのLink情報(トポロジィD.B. )を保持する。
- 各々のRouterが、獲得したLink情報を元に経路を各自計算する(このときにSPFアルゴリズムを実行する)。
- 30分に一度は、変化が無くても、Link情報(トポロジィD.B. )をリフレッシュする。
Link が切れたら
- Helloパケットが届かなくなるので、LinkのLostが判断できる。
- Linkが切れたという状態( Link State )がアナウンスされる。
- 各々のRouterが、トポロジィの変化を関知して、Tableを更新する。
RIP vs OSPF
属性 |
RIP |
OSPF |
型 |
DV |
LS |
メトリック |
Hop数(柔軟性がない) |
I/Fコスト(柔軟性がある) |
交換情報 |
計算結果 |
計算の根拠 |
情報量 |
恒常的 |
変化量による |
情報の交換タイミング |
恒常的(30秒に一度) |
変更があった場合( 30分に一回) |
計算量 |
少い |
多い |
VLSM |
対応しない |
対応している(Netmaskを伝播) |
収束速度 |
遲い |
速い |
適性 |
小さなネットワーク(16 Hop) |
中規模なネットワーク |
その他 |
古くから利用されている |
関係するRouterが全て同期している必要がある |
OSPF の周辺
LS 型の問題点
- LS型の利点:全てのRouterが全ての情報をもっている
- 全てのRouterが、最も効率的で、正しい経路を作ることができる。
- LS型の欠点:全てのRouterが全ての情報をもっている
- 全てのRouterが、それぞれ、自分の経路を計算しなければならない。
- 全てのRouterが、同一の情報をもっていないければならない。
- OSPFは、本質的に負荷の問題を抱えている。
DR(指定ルータ)
- Router間を接続するメディアの属性
- P2P :関係するRouterが2台(専用線)
- Multi Access :関係するRouterが複数台(i.e. Ethernet)
- 同一のMulti Access Media上のRouterのTableは皆同じ。
- 同一のMulti Access Media上の一台が代表して経路を計算すれば十分
- 交換する情報が減る
- 計算能力のあるRouterに経路計算を任せて、他のRouterは、Forwardingに徹する。経路計算をするRouterは高くても、Forwardingを行うRouterは安く済む。
- 代表Router (DR)を決定し、それにOSPFの作業を任せてしまう。
認証
- OSPFでは全てのRouterは、同一な情報(LSDB)を共有し、それぞれ計算する約束。
- 誰かが嘘をつくと、全員が一挙に騙される(3)。
- Securityに対する不安(4)
- 互いに、認証を行い、信頼できるところとしか、情報を交換しない。
ケーブルマルチキャスト
- Broadcastによる情報交換では、Router以外のHostにも負荷が生じる。
- 経路情報を、Cable Multicast(5)で伝達する。
- Multicastは、Broadcast(6)とは異り、Groupに参加しているHostにしか通知しない。
- MulticastのGroupの範囲は、通常は、一つのBroadcast Domainに限定されないが、OSPFが利用するのは、単一のBroadcast Domain内部だけで、Multicastを行う(7)。
- 予め、MulticastのGroupに参加していなければ、情報が流れていることさえ関知しなくてもよい。
Area
- Networkを幾つかのGroupに分割する(個々のGroupをAreaと呼ぶ)。
- Area 0という( 0以外の.. ) AreaとAreaを結ぶ、特別なAreaを設け、Area間のRouting / Forwadingを行う。
- 個々の( 0以外の.. ) Areaは、Area内だけのRoutingをすればよい。
- Area 0は、個々のAreaをスタブNetwork (あたかも内部に構造がないNetwork )のように扱えばよい。
- 交換を行う情報量を減らす。
- Area間の通信には、Area ( 0以外)とArea 0両方を結ぶRouter (ABR)の存在が不可欠
- ABRが落ると、Area全体が落る。
外部経路
- AS External :組織外の経路を組織内の経路と区別してアナウンスする仕組。
- 組織内だけでなく、組織外の経路も流すことができる。
- Multi Home等に有効。
RIP 2
RIPの改良としてのRIP-2 (8)
- RIPに上位互換
- VLSM ( CIDR )に対応
- Multicastを利用
- 認証
参考