情報通信ネットワーク(2004/10/08)
Ver. 1.1
2004年10月8日
栗野 俊一
目次
Static Routing
概要
- 直接forwarding tableの内容を作成する。
- 人間が手動で行うので面倒だが、細かい制御ができる。
- forwarding tableの内容は、設定後、変更を行わない限り、この情報が利用されるので、情報が変化しない(静的)。
- 通常は、他のDynamic Routingと併用される(1)。
詳細
- 各々の設定は、次の項目を指定する。
- Network Address :宛先のNetwork Address
- Network Mask :宛先のNetwork Mask
- Next Hop :宛先に送るために、次に転送すべき、直接通信可能な宛先
- Interface名: Router自身がこのnetworkに所属するので、下位(論理)層のProtocolで通信可能。
- IP Address :このNetworkは、このIP Addressを持つRouter (同一Networkに所属している)に中継をお願いする。
- 優先順位:同一のNetworkに対して、複数の情報がある場合(2)に、どちらを優先するかどうかを指定する。
- 優先順位の扱い:同一のNetworkに対して、複数の経路情報がある場合の選択は、次の二つで決定される(3)。
- より狭いnetwork maskを持つ経路情報を優先する。
- より優先度と高い経路情報を優先する
特別な経路情報
Classfull Network
- IP AddressにはClassがある(5)。
| Class |
範囲 |
Natural Netmask |
Network数 |
Network内のHost数 |
| - (12) |
0.0.0.0 |
/0 |
1 |
全てのIP Address |
| A(13) |
1.0.0.0 - 127.255.255.255 |
/8 |
2^7 - 1 = 127 |
2^24 = 16777216 |
| B(14) |
128.0.0.0 - 191.255.255.255 |
/16 |
2^15 - 2^7 = 32640 |
2^16 = 65536 |
| C(15) |
192.0.0.0 - 223.255.255.255 |
/24 |
2^23 - 2^15 = 8355840 |
2^8 = 256 |
| D(16) |
224.0.0.0 - 239.255.255.255 |
- |
- |
- |
| E(17) |
240.0.0.0 - 255.255.255.255 |
- |
- |
- |
- 昔は、1 Class, 1組織とし、大きなNetworkを持つ組織はClass A,中規模の組織はClass B,小さな組織には、Class Cを割り振っていた。
Routing Protocol
Routing Protocol の分類
IGP と EGP
Internetでは、複数の組織がかかわっており、それぞれ異なるNetworkの運用方針(18)で、運用されている。
そこで、統一的な一つの運用方針の元に運用されているNetwork GroupをAS ( Autonomous System :自律システム)とよび、AS内のRoutingとAS間のRoutingを区別して扱う(19)。
AS内部のRoutingを行うために、利用されるRouting ProtocolをIGP ( Interior Gateway Protocol )と呼び、AS間Routing行うために、利用されるRouting ProtocolをEGP ( Exterior Gateway Protocol )と呼ぶ。
DV .vs. LS
Routing Protocolでは、そのProtocolを利用して交換される情報( Routing Information )の形式の違いにより、次の二つに大きく分類される。
- Distance Vector型
Routing Informationとして、宛先Network addressと、そこへ到達するために、どれ位のコストがかかるか(距離が遠いか? )を、互いに交換しあい、同じ宛先に対して、複数の経路がある場合は、コストが最小のものを選ぶ。
宛先に対する距離( Distance )の表( Vector )を交換するので、この名前がある。
- Link State型
- Routing Informationとして、「どことどこのNetworkが接続されているか?」あるいは、「その接続( Link )は継がっているいるかどうか( State )」を互いに交換し、その情報に基き、(AS内の) Network全体のTopologyを全て把握した上で、最適な経路を計算する。
様々な Interior Routing Protocol
RIP
DV型の典型的なRouting Protocol。広く利用されている。
VLSMが利用できない。
OSPF
LS型の典型的なRouting Protocol。広く利用されている。
VLSMが利用できる。
IGRP
DV型のRouting Protocolで、CISCO独自。
RIP (Routing Information Protocol)
概要
- Distance Vector型の典型的なRouting Protocolの一つ。
- 仕組が簡単で解りやすいので、昔から利用されている(今でも、利用されることが多い)。
- 単純なだけに、問題点も多く(後述)、多少、規模の大きいNetworkでは、他のRouting Protocolを使うことが望まれる。
- ARPANET ( The Internetの前身)時代から利用されており、BSD Unix上にroutedとして、標準提供されていたため、Internetの発展/ unix利用の拡大(20)/ routedの利用/ RIPが蔓延る..という構造で広がった。
RIP の特徴
- Distance Vector型
- Hop数をDistanceとして扱う。
- 最大Hop数は15 ( 16は到達不能)。
- アナウンス方法はBroadcast(21)。
- アナウンスのタイミングは、30秒に一度。
- 交換する情報は、宛先のNetwork AddressとHop数の対のTable。
RIP の挙動
経路情報の交換
- Interfaceの情報から、自分の所属するNetworkをHop数0としてTableに登録する
- 自分の保持しているForwarding Tableの内容を30秒に一回Broadcastでアナウンスする。
- アナウンスする内容は、Network Addressと、Hop数の組のみ。
- アナウンスを聞いたら次の手順で、Forwarding Tableの内容を更新
- アナウンスの内容のHop数を1ずつふやす。
- アナウンスの内容と、保持しているForwading Tableを比較し、もし、Forwarding Tableにないか、あるいは、Forwarding TableよりHop数の小さな対があった場合は、Forwarding TableのHop数と、Next Hop (これは、このアナウンスを行ったRouterのIP Addressになる)を更新する。
Link が切れたら
- 各々の経路に関しては、Timerをもち、最後にアナウンスされてから180秒経過した経路は、Hop数を16 ( RIPでは「到達不能」の意味)にしてしまう。
- 他から新しい経路のアナウンスがあれば、それを用いて更新する(22)。
参考